関西風味な世界にハマり、笑っているうちに涙を流していた…そんな家族の物語。リーディングアクト「一富士茄子牛焦げルギー」は、小説を原作にして、3人の俳優が“ぼく”と“おとん”と“おかん”を演じ、時に“語り部”や“ぼくの親友”となり物語を紡いでいきます。

毎年恒例となったこの舞台で、家族を演じる岡粼彪太郎、羽野晶紀、山西惇の3人にABCテレビ塚本麻里衣アナが直撃!「スタンダップ!」では放送できなかったパートも含めて、3人の「家族感」が伝わるインタビューを丸ごとお届けします!

©リーディングアウト「一富士茄子牛焦げルギー」製作委員会 撮影:須佐一心

―みなさん、それぞれ今どんなお気持ちですか?

山西(以降:山)「僕はタイトルの読み方さえもわからないところから始まって、その意味がわかると、じーんとするんですよね。『もうこのタイトル最高やん』と」

岡粼(以降:岡)「前回演じてみて、思春期だったときを思い出しました。その時に自分にも同じことが起こったら、こんな感情になるのかなって。今年は、再演っていう経験が初めてなので、ちょっと緊張もするんですけど、いい意味で慣れた感じでできたらなって思います」

羽野(以降:羽)「私も大好きな作品なんです。毎回新鮮にやってて。好きなシーンがすごくたくさんあるからどのシーンも大事にやらなあかんし」
 
 

―再演、再々演と、どう舞台に臨んでますか?

羽「リーディングアクトだから、最初はナレーションと、おかんを演じるのをどう使い分けようと。再演のときは、役のところはもうちょっとこんなふうにって、欲を出しながらやってみたりとか。あ!去年はこたちゃん(岡粼)が新人だったから!また初々しいんですよ!」

―鮮度ですか?

羽「日に日に鮮度が落ちるんじゃないですよ。日に日に良くなっていって、本当に初日と千秋楽ともう全然違う!でも初日は初日で初々しいんですよ。こたちゃんはめっちゃ勘がいいんです。もうちょっとこうしてほしいなっていうのを言うてないのに分かる子です」

―岡粼さんご自身ではどうですか?

岡「全くそんなつもりはなくて。本当に感じたままやってるというか」

羽「だから、『稽古場でもっといっとけよ!』みたいな」

(一同爆笑)

羽「本番なったらめっちゃええんですよ、お客さんがいたらいい感じなったりね。(岡粼の

肩をお母さんみたいにポンポン叩きながら)稽古場から頑張りなさいよ」

岡「頑張ります!」

(一同爆笑)

―リーディングアクトって演劇だけでも朗読だけでもないんですよね?

羽「さらにもう一つ、原作たなかしんさんが絵本作家なので、背景に素敵なたなかしんさん

の絵がたくさん出てきます。毎回ちょっとずつ足してくれたりするんですよ、絵を。去

年は辰年が来るから、辰の絵が増えてた気がすんねんけど。私だけ?」

岡「増えてたと思います」

羽「せやろ。幻じゃなさそうです笑」

―山西さんはリーディングアクトはご経験ありますか?

山「ほぼ初めてです。コロナ禍のときに、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんと古田新太くんと一緒にリーディングアクトが完全に無観客やったから。今回はお客さんの前で初めてなんで。なんか楽しそうやね」
 
 

―皆さんは関西のご出身です。岡粼さん、全編関西弁で演じるっていうのはどうですか?

岡「感情乗せやすいです。言葉の意味を理解してそのまま口に出せば、もうそれが正解なんで。それはやりやすいんですけど、たまに台本にめっちゃコテコテな関西弁があって、どうしよっかなっていう迷うときはありますね」

―誰かにアドバイスを求めたり?

岡「演出の河原さんに」

羽「でも河原さん、関西人ちゃうねん」

―でも河原さんがアドバイスを?

岡「はい」

(一同爆笑)
 
 

―羽野さんと山西さんは京都のご出身。関西弁もいろいろですよね?

羽「上げたり下げたりするところが逆やったり」

―河原さんが細かく『上げてください下げてください』って?

羽「ないないない!だって河原さん気づかへんもん」

(一同爆笑)

山「でも関西弁の芝居は嬉しいです。ナチュラルに感情が出しやすいし、登場人物に対する共感が増すっていうかね」
 
 

―去年東京公演のお客様の反応はいかがでしたか?

岡「笑いどころではすごく笑ってくれますし、感動するところでしっかり感動してくれまし

た。意外と関西の方がちょっとお笑いに厳しかったりして」

(一同爆笑)

©リーディングアウト「一富士茄子牛焦げルギー」製作委員会 撮影:須佐一心

―楽しみなシーン、見どころ、教えていただけますか?

山「おとんがメインの役で、彪太郎くんとの絡みを楽しみにしています。ただそれ以外に2つほど役を演じます。一つは…どこまで言ってもいいんやろ」

羽「一つは人間じゃないなあ」

山「で、もう一つは世代がね…自分の年から考える、もう5分の1ぐらい」

(一同爆笑)

「その辺ですかね。やっぱり5分の1くらいの年齢の役って、映像ではもう確実にないし」

(一同爆笑)

山「確実に出オチになりますからね」

羽「私も楽しみ。このままやるんか、何か被るんか…そうや!振り乱すから被ってたら大変なことになるやん。でも被っといて落ちる方がウケるな」

山「ウケるウケへんやないやろ」

(一同爆笑)

岡「ぼく役は最初の方はめっちゃ明るく見えるんですけど、お話が進んでいくと実は暗い部分があって。最初はそう感じさせずに、うっすらそういう雰囲気を、しっかり演じて伝わるようにできればなと。それとやっぱり『一富士茄子牛焦げルギ―』というタイトルをどう回収していくのかは、見どころです」

羽「今回山西さんが加わって、新しい家族なので、どんな感じで夫婦ができるのかは楽しみです。だって付き合い長いですけど、今まで夫婦役とかないもの」

山「舞台は15、16年ぶり。出会いはものすごく前」

羽「大学生くらいのとき」

山「今の彪太郎くんくらいのとき」

羽「その時はフサフサやったから覚えてない」

山「覚えてないってどういうことや!」

岡「あははは」

山「その時はもちろんフサフサでしたよ!」

(一同爆笑)

羽「関西小劇場で」

山「それがお互い結婚して子どもがいて、親になって。そこが楽しみ」
 
 

―そしてこんな素敵な息子さんがいる役で。

岡「(照)」

山「笑って泣ける舞台です。ぜひ劇場までお越し下さい」

岡「誰でも共感できるお話です。温かい気持ちになっていただけたらなと思います」

羽「多くの方に観ていただきたいです。劇場でお待ちしています」