好ジャンプを見せた伊藤有希(左)を笑顔で迎える高梨

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 「ノルディックスキー・ジャンプ・全日本選手権」(20日、白馬ジャンプ競技場)

 女子ラージヒル(ヒルサイズ=HS134メートル)決勝が行われ、北京五輪代表の高梨沙羅(クラレ)は133・5メートル、122・5メートルの合計228・6点で2位だった。同代表の伊藤有希(土屋ホーム)が、236・2点でノーマルヒルとの2冠を達成した。

 高梨は1本目から最長不倒の133・5メートルのビッグジャンプを見せたが、着地でテレマーク姿勢を入れられず優勝に届かなかった。長らく課題とする部分だけに、試合後は「テレマーク」を連呼。「テレマークが決まらないと話にならない。それができてから試合に出るくらいじゃないとだめなんだなと思う。今の取り組み方じゃだめ。これからはテレマーク勝負になってくる。28歳の目標はテレマークにしたい」と、自分に言い聞かせた。

 今春にルール改正が行われ、テレマーク姿勢の加減点の幅がアップ。従来より着地が重要視される採点基準となった。飛距離に強みを持つ高梨に取ってネガティブに働くルール変更のため苦戦は続いているが、少しずつ克服に向かいつつもある。

 実際、この日の122・5メートルを飛んだ2本目は、飛型点で1人のジャッジが20点満点18点を付ける高評価。ヒルサイズに比べて斜度がきついK点付近であれば、テレマークを入れられるようになってきたという。

 「私は重心が低くて、(動きを)小さくすると座っているように見える」と苦悩ももらしつつ、「徐々に『できているよ』と初めて周りに言われるところまできている。まだ足りないけど、(テレマークを)出す姿勢はすごく見えると言ってもらえる」と一定の手応えも口にした。

 4度目の出場がかかる26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪へ向けて、テレマークが鍵になる。

 ◆テレマークとは 板をそれぞれ前後にずらし、膝を曲げてショックを吸収しながら、上半身を起こしながら両手を広げて着地する姿勢のこと。飛型点の大きな採点要素で、姿勢が取れなければ減点される。テレマークの言葉は、スキーが盛んなノルウェーのテレマーク地方に由来する。