【菊花賞 みどころ】歴史を変えるか、王座を奪うか...[0・1・2・5]ダービーと菊花賞の二冠は73年のタケホープまでさかのぼる

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ダノンデサイル(c)SANKEI

オークス馬チェルヴィニアが秋華賞を制し、牝馬クラシック二冠を達成して早一週間。今度は牡馬クラシック最終戦である菊花賞を迎える。

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皐月賞馬ジャスティンミラノが屈腱炎を発症し、戦線を離脱するというアクシデントがあったが、ダービーを制したダノンデサイルはこのレースを目標に調整を重ねて、ここで復帰緒戦を迎える。

京成杯でキレのある末脚を見せて重賞初制覇を飾り、クラシック戦線に名乗りを上げながら皐月賞はまさかの除外。

その影響もあり、ダービーでは9番人気という低評価に甘んじたが、先団を見ながら好位に付けて流れに乗ると、直線では内ラチを突いてジャスティンミラノを捕らえて快勝。世代の王に君臨してみせた。

そんなダノンデサイルが二冠を目指して挑む今年の菊花賞だが......ダービー馬にとって菊花賞は鬼門のレースとなっている。

過去30年、ダービーを制した馬たちの菊花賞成績を見てみよう。

1994年 ナリタブライアン 1番人気1着
1995年 タヤスツヨシ 5番人気6着
1996年 フサイチコンコルド 2番人気3着
1997年 サニーブライアン 不出走
1998年 スペシャルウィーク 1番人気2着
1999年 アドマイヤベガ 1番人気6着
2000年 アグネスフライト 1番人気5着
2001年 ジャングルポケット 1番人気4着
2002年 タニノギムレット 不出走
2003年 ネオユニヴァース 1番人気3着
2004年 キングカメハメハ 不出走
2005年 ディープインパクト 1番人気1着
2006年 メイショウサムソン 1番人気4着
2007年 ウオッカ 不出走
2008年 ディープスカイ 不出走
2009年 ロジユニヴァース 不出走
2010年 エイシンフラッシュ 不出走
2011年 オルフェーヴル 1番人気1着
2012年 ディープブリランテ 不出走
2013年 キズナ 不出走
2014年 ワンアンドオンリー 1番人気9着
2015年 ドゥラメンテ 不出走
2016年 マカヒキ 不出走
2017年 レイデオロ 不出走
2018年 ワグネリアン 不出走
2019年 ロジャーバローズ不出走
2020年 コントレイル 1番人気1着
2021年 シャフリヤール 不出走
2022年 ドウデュース 不出走
2023年 タスティエーラ 2番人気3着

...14頭が出走して[4・1・3・6]。およそ半分が馬券圏内に入っているので一見すると悪くなく見えるが、実は勝利した4頭はすべて皐月賞とダービーを制していた。

ダービーと菊花賞の二冠を目指して挑んだ馬に絞れば[0・1・2・5]。そもそもダービーと菊花賞の二冠を制したのは1973年のタケホープまでさかのぼる。

今年、ダノンデサイルが菊花賞を勝利すれば51年ぶりとなるダービーと菊花賞の二冠馬となるが......半世紀以上達成されていない難易度の高い二冠制覇を達成し、真の世代の王となるのだろうか。

そんなダノンデサイルに真っ向から向かってくるのはアーバンシックだ。

新馬、百日総特別を連勝して迎えた京成杯では出遅れたことも災いしてダノンデサイルの2着に惜敗。

しかし、皐月賞ではスタート直後に他馬に接触する不利がありながら上がり3ハロンではメンバー最速の末脚を繰り出して4着。

距離が延びるダービーでなら逆転できると注目を集めたが、末脚不発でまさかの11着大敗。クラシック級の大器と称されながら、春は無念の結果に終わった。

そんなアーバンシックが輝きを放ったのはセントライト記念でのこと。秋緒戦としてこのレースに挑むと、直線で上がり3ハロン34秒0というメンバー最速の脚を繰り出し、先に抜け出した皐月賞2着馬コスモキュランダを捕らえて勝利。念願の重賞初制覇を果たしてみせた。

春と比べるとパワーアップした馬体は距離延長にも十分対応できるだけの資質があり、ここでも勝負になること必至。京成杯、ダービーで敗れたダノンデサイルにリベンジする機会が満を持してやってきたと言えるだろう。

アーバンシックが末脚勝負を仕掛けるのならば、メイショウタバルは先行策で逆襲する。

菊花賞を制したゴールドシップを父に持つ彼は、その父からスタミナと激しい気性を継承。

そのため、デビューから2連敗を喫するなど苦戦を強いられたが、椿賞を制して迎えた毎日杯では果敢に先手を取りに行くと、直線に入ってもエンジン全開で脚色は衰えず。最後には2着馬に6馬身差を付けるという圧勝を見せた。

父譲りのスタミナを生かしたレースができれば強い勝ちっぷりを見せる馬だが、その気性が裏目に出ることもしばしば。

皐月賞でも逃げの手を打ったが、早いペースで折り合いがつかなくなって失速すると17着に大敗。ダービーは取り消してしまいレースにすら出られなかった。

春は癖の強さが仇になったが、ひと夏を越えるとこの馬も成長を見せる。秋緒戦となった神戸新聞杯でも逃げの手を打つが、今度は後続を離しつつも自分のペースで逃げて流れを作ると、直線に入ってからももうひと伸び。道悪馬場をものともせずに押し切り、重賞2勝目をマークした。

菊花賞での逃げ切りは過去30年でも2度しかないというくらいに至難の業ではあるが、スタミナ面は世代屈指のものを持つのは確か。

あとは折り合いをつけて逃げの手を打てるかどうか。この馬がマイペースで逃げられれば、ダービー馬ダノンデサイルも末脚自慢のアーバンシックも届かないかもしれない。

ダービー馬が格の違いを見せるか、それともひと夏を越した素質馬たちがリベンジを果たすか......今年の菊花賞もまた、見どころたっぷりの一戦となりそうだ。


■文/福嶌弘

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