OpenAI創設者サム・アルトマン氏らが開発した、虹彩スキャンで生体情報を取得してネットワークを構築するプロトコル「Worldcoin」が、「World」へと名称を変更しました。

こんにちはワールド:サンフランシスコで開催された新しいワールドイベントからの 5 の主要発表

https://ja-jp.world.org/blog/announcements/hello-world-5-key-announcements-from-new-world-event-san-francisco

Keynote: a new world - YouTube

Sam Altman's Worldcoin becomes World and shows new iris-scanning Orb to prove your humanity | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/10/17/sam-altmans-worldcoin-becomes-world-and-shows-new-iris-scanning-orb-to-prove-your-humanity/

「Worldcoin」は、次世代の虹彩スキャンデバイス「Orb」を使って人間の虹彩をスキャン・登録し、個人ごとのハッシュ(World ID)を生成して、そのハッシュで決済や本人認証などを行えるようにするためのネットワークを構築するものです。スキャンの対価としてハッシュと引き換えに仮想通貨の「Worldcoin(WLD)」を提供してもいます。

「Orb」はこんなデバイス。



こんな感じでスキャンします。



日本でも東京ほか複数の都道府県にOrbが設置されています。





2024年10月17日、サンフランシスコで行われたイベントにWorldcoinを開発するTools For Humanityのアレックス・ブラニアCEOが登壇し、「古い名前はもう終わり」と述べて、名称をWorldcoinからWorldへと変更することを発表しました。

Worldのビジョンでは、OpenAIが構築しようとしているような高度なAIシステムにより、いつの日かオンライン上でコミュニケーションを取っている相手が人間なのかAIなのか見分けることができなくなってしまうおそれがあるといいます。これを解決するための策が、Worldで進められる人間認証サービス「World ID Deep Face」です。

World ID Deep Faceにより、リアルタイムのビデオ会議やビデオ通話において相手が本物の人間であるかどうかが検証され、ディープフェイクなどの偽物の脅威に対抗することができると説明されています。

同イベントで、Worldによるネットワーク構築の足がかりとなる「迅速化かつ透明性の向上を果たした新Orb」が発表されたほか、World IDで本当の身元を明らかにすることなく(プライバシーを保護しつつ)国籍やパスポートの所有権を証明するシステム「World ID Credentials」や、Worldのシステムを統合する「Mini Apps」などが公表され、Worldのネットワークを10億人に拡大するビジョンが示されました。

Worldの見通しでは「AIによって生み出された富をWLDトークンを通じて人々に再分配し、AIの恩恵を誰もが利用できるようにすること」が約束されていますが、ケニアやスペインなどは個人情報保護の観点から待ったをかけています。

サム・アルトマンが立ち上げた虹彩認証仮想通貨「Worldcoin」に対してスペインが一時停止命令 - GIGAZINE



ブラニアCEOとアルトマン氏は「第一段階と第二段階、つまりOrbの開発とブロックチェーンによる分散所有権ネットワークの構築はすでに完了しています。最後の第四段階でAIの富を再分配する予定ですが、それに到達する前に第三段階の『スケールアップ』を完了する必要があります。これまで700万人のユーザーがWorld IDの登録を行っていますが、より大規模なものへと拡張していきます」と述べました。