まさかの韓国初ノーベル文学賞に反対?駐韓スウェーデン大使館前でデモする人々は何を糾弾しているのか

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初のノーベル文学賞でお祝いムード一色の韓国で、受賞に反対する人々のデモが行われて衝撃を与えているなか、彼らの主張が明らかになった。

【写真】ノーベル文学賞に怒り?まさかの反対デモ

先立って10月14日、駐韓スウェーデン大使館前では作家ハン・ガンのノーベル文学賞受賞に異を唱える人々のデモが行われた。

オンライン上に拡散された写真を見ると、彼らは「大韓民国歴史歪曲作家ノーベル賞、韓国の赤化に協力するスウェーデン・アカデミーを糾弾する」と書かれた横断幕を掲げている。

この写真1枚でもインパクト十分だが、彼らの主張の詳しい内容が明らかになってきた。

まさかの反対デモ、何を怒っている?

オンラインコミュニティや拡散された写真、動画などによると、彼らは「大韓民国愛国団体協議会」「国家非常対策国民委員会」などの保守団体のメンバーだという。デモに集まった参加者は60代から70代と推定される。

(写真=オンラインコミュニティ)ノーベル文学賞受賞反対デモ

ある参加者はマイクを持ち、「歴史を歪曲した者にノーベル賞を与えるのは話にならない。本当に悔しい」と声を上げた。

他にも「済州4・3暴動の美化、光州事件の美化、こんな赤い作家に賞をあげるなんて話にならない。正気ではないスウェーデン・アカデミー」といった発言もあった。

少し説明が必要かもしれない。

彼らが「済州4・3暴動」と取り上げたのは、一般的に「済州島4・3事件」と呼ばれる。1948年4月3日、米軍占領下にあった朝鮮半島南部だけでの単独選挙は分断を固定化するとして、済州島の青年らが反対して蜂起した。その結果、本土から軍や警察が送り込まれ、3万人の島民が容赦なく虐殺される事件が発生した。

ただ一部の保守層は、島民らの蜂起を「共産主義者の起こした暴動」との見方をしている。ハン・ガンの小説『別れを告げない』は、この「済州島4・3事件」を扱った作品だ。

ハン・ガンの小説『別れを告げない』

また「光州事件」は、1980年5月18日から27日かけて全羅南道・光州(クァンジュ)で、軍事クーデターに抗議し、民主化を叫ぶ学生が軍事鎮圧され、多くの死傷者を出した事件だ。こちらも一部の保守層は「北朝鮮の扇動による暴動」としている。

その「光州事件」を扱ったハン・ガンの小説が『少年が来る』だ。作者は、光州事件で命を落とした者がその時、何を思い、生存者や家族は事件後どんな生を余儀なくされたのかを描いた。

デモの参加者はそんなハン・ガンの作品を「歴史歪曲」と糾弾しているわけだ。保守層の歴史観と異なるわけだ。デモ参加者はYouTubeを通じて、ハン・ガンのノーベル賞受賞に抗議する書簡を駐韓スウェーデン大使館に届けたと主張している。

まさかの反対デモに対して、オンライン上では「年齢が大きいからといって大人ではない」「国の恥を全部さらしてる。罵るのももったいない」「恥ずかしい。ノーベル賞を取り消してくれと活動する世界で唯一の国」と、批判を超えて呆れの声が上がっている。

(文=サーチコリアニュース編集部O)