中国でトキ24羽が野生復帰、性比を近づけ繁殖を容易に

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秦嶺ジャアントパンダ研究センターと陝西漢中トキ国家級自然保護区管理局は15日午前9時ごろ、トキ24羽を、陝西省咸陽市を流れる黄河の支流の一つ渭河に野生復帰させました。情報によりますと、24羽は血縁関係が遠いうえ、雄と雌の比率が理想的で、健康状況と発育状況はともに良好ということです。

秦嶺ジャアントパンダ研究センターでシニアエンジニアを務める董栄氏は、「トキは本来単婚繁殖で、雄と雌が1羽ずつの組み合わせとなるため、今回の野生復帰では雄と雌の比率を1対1に近づけた。年齢も2歳近くから10歳までで、繁殖期にある。今後これらのトキが野生の群れを形成し、繁殖個体の形成が容易になり、個体数の増加につながる」と紹介しました。

トキの活動パターンは、1年を繁殖期、放浪期、越冬期に大別でき、今回野生復帰を実施した10月はちょうど放浪期と越冬期の間にあります。

董氏は、「越冬期に入ると集団を形成しやすくなり、集団が形成されるとつがいができやすくなることから、翌年順調に繁殖期を迎えることができる」と説明しました。

今回野生復帰した24羽のうち、9羽はバックパック型の北斗衛星追跡装置を装着しています。

これについて、陝西漢中トキ国家級自然保護区管理局の牛克勝局長は、「トキの生息は集団が特徴で、単独ではない。北斗衛星追跡装置の装着を通じて、具体的な餌を探す場所、夜の休息場所などの情報を入手できる。追跡装置を装着したうちの1羽の休息場所が分かれば、他のトキの居場所も周辺の森だと判断できる」と紹介しました。

中国北西部の陝西省安康市寧陝県が2007年5月に初めてトキの野生復帰を実施して以来、陝西省では秦嶺山脈北部に6カ所のトキ復帰個体群が形成され、効果を得ています。しかし、復帰したトキの個体群はまだ規模が小さく、離れているため、個体群間での遺伝子交換が困難です。同じ秦嶺山脈北部にトキの野生復帰を続ければ、個体群の数を増やし、既存の個体群の規模を大きくし、生息地の面積を広め、安定的な複合個体群を作り、リスク対応能力が強くなるとみられています。この地域のトキの野生復帰の方式と経験を模索することを通じて、他の地域の野生復帰に経験を与えることができます。

中国は現在、実験を通じてトキの高地や寒冷地における生存能力、野生復帰後の越冬生存性、陝西省中部・南部への移動について研究しています。観測したデータを通じて、トキの保護と研究を続けていくとのことです。(提供/CRI)