阪神・藤川球児新監督(C)共同通信社

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 24日に行われるドラフト会議で、巨人が最速154キロ左腕の関大・金丸夢斗(4年=神港橘)を1位指名する方針を固めたことが分かった。

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 高校時代に甲子園出場はないが、関大進学後に才能が開花。最速154キロの直球にスライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリットと多彩な変化球を操り、奪三振能力が高い。さらに制球力も抜群というアマチュアナンバーワン左腕だ。

 今年3月には侍ジャパンのトップチームに選出され、プロの選手に交じり、欧州代表戦で2回4奪三振とアピールした。

 巨人の1位候補筆頭は当初、こちらも目玉候補で「20年に一人の遊撃手」の明大・宗山塁(4年=広陵)といわれていた。事情が変わったのは先月から今月にかけて。さる球界関係者がこう明かす。

「阿部慎之助監督(45)にレギュラーを確約された2年目の正遊撃手・門脇が開幕から不振に陥り、途中から三塁に回ったり、スタメンを外れる試合もあるなど、レギュラーに定着できなかった。三塁は今年36歳を迎える坂本で、三塁も守れる岡本和はあと1、2年でメジャーへ行ってしまう可能性が高い。手薄になるであろう内野手の補強が急務ということで、宗山の1位が最有力だった。しかし、22歳の中山が9、10月に15試合で打率.458と打ちまくってブレーク。阿部監督も中山を『使いたくなっちゃう』と言っていて、来年は門脇と中山で遊撃のポジションを争わせる方針のようです。門脇、中山、宗山はいずれも巧打の左打ち遊撃手。同じタイプの内野手は3人もいらないということなのでしょう」

 この関係者が続ける。

「今季は12球団トップの防御率2.49、12球団最少の381失点の投手力と守備力で、4年ぶりにリーグ優勝を奪回した。昨季から失点を126点も減らしたことが、阿部監督の手腕として評価されている。だが、今季15勝3敗で12もの貯金をつくったリーグ最多勝の菅野が、今オフに海外FA権を行使してメジャー挑戦すると表明した。来季以降も投手力を重視したチーム編成を固めていく上で、即戦力投手が不可欠になった。日本人の先発投手では、23歳の井上がローテに入って台頭したが、有望株の横川は伸び悩んでいるし、全体的に左腕不足のチーム事情がある。昨年に国学院大から西武に1位で入団し、新人ながら10勝をマークした左腕の武内より金丸の方が上とプロのスカウトは口をそろえる。つまり、金丸の2ケタ勝利は堅いということです」

「クジ引きはもうせんからな!」

 一方、藤川球児監督(44)が就任した阪神のドラフト戦略も急変した。巨人と阪神は、2年前にも高松商の浅野を巡り、岡田監督と原監督が一騎打ち。抽選の末、巨人が交渉権を獲得したが、某球団の編成担当者がこう証言する。

「あの年は就任したばかりの岡田監督が、外れ1位で中大の森下を獲得。『80点くらい』と言っていたが、阪神のスカウトには『来年からはもうクジ引きはせんからな!』と怒ったそうです。昨年のドラフト1位は、重複を避けるため、トップクラスの選手は指名することができず、『一本釣り』で青学大の下村になったのです。阪神は岡田監督が続投した時に備え、今年も高校生投手の報徳学園・今朝丸をはじめ、一本釣りができそうな1位候補をリストアップしていた。それが藤川新監督就任で風向きが変わった。藤川監督は自身がそうであるように、高卒選手の育成に力を入れる方針を持つものの、金丸は地元・神戸出身のスター候補で、実力も頭一つ抜けている。岡田監督時代は禁止されていたクジ引きが解禁となることで、競合覚悟で金丸の1位指名に舵を切ったともっぱらです」

 阪神は金丸が2回無失点だった12日の関学大戦を畑山統括スカウトを含む6人態勢で見守った。2回無安打無失点で連続自責点0を71回に更新した14日の同戦も4人態勢で視察。5月中旬の腰痛の影響を感じさせない投球を確認し、スカウト陣は安堵していた。

 ちなみに、3年連続最下位に沈んだ中日も、井上一樹新監督(53)が「どうしても投手が欲しい」と編成部に要望を出しており、こちらも金丸が1位指名の最有力候補だ。今オフのメジャー挑戦を表明している左腕・小笠原の後釜候補としてである。

 巨人と藤川監督を迎えた阪神の「シン・伝統の一戦」は、1週間後のドラフトで早くも開幕する。

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