最低賃金1500円を目指す与野党の公約を批判する丸山達也島根県知事=2024年10月10日午後2時6分、島根県庁、垣花昌弘撮影

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 丸山達也島根県知事は10日の定例会見で、次期衆院選に向けて与野党が「最低賃金を1500円にする」との公約を掲げたことについて、実現性に疑問を投げかけた。

 最低賃金をめぐっては、石破茂首相が所信表明演説で「2020年代に全国平均1500円」と明言。立憲民主党も「1500円以上」とする公約を掲げている。

 丸山知事は「目指す方向は正しい」としながらも、「島根県内の企業が求められた時にやすやすとできるわけがない。最低賃金に対応するために中小企業がつぶれかねない。どうやって実現するのか。空手形になりかねない」と指摘。賃上げの原資を政府が負担するわけではなく、中小企業が賃上げできる環境も整備されていないとして、「恥ずかしい公約」と批判した。

 また、検診車でのX線胃がん検診で、県内の二つの検診機関が長年、法令に基づく医師の立ち会いをしていなかった問題については「大変残念な状況。法令違反の状況を発見し、是正できなかったことに責任を感じている」と述べた。検診機関に再発防止に向けて指導文書を出すことを検討しているという。

 丸山知事によると、検診の有効性について、厚生労働省に確認したところ、「検診の実施主体で判断すべきだ」との回答を受けたという。「(X線)写真の評価、読影については、国が示した指針に基づいて適切に行われているということであれば、一般的には医学的な有効性を否定すべきものではない」との見解を示した。(垣花昌弘)