出演映画をPRした小柳亮太(左)と千原せいじ

写真拡大

 元幕内・豊山の小柳亮太、お笑いコンビ・千原兄弟の千原せいじが5日、新潟市内で映画「十一人の賊軍」(白石和彌監督、11月1日公開)の取材会に出席。出演作への思いを語った。

 山田孝之、仲野太賀がダブル主演を務める今作は、旧幕府軍と新政府軍による戊辰戦争が舞台。罪人たちが「決死隊」として砦(とりで)を守る任務に就く集団抗争劇で、「日本侠客伝」「仁義なき戦い」シリーズなどを手がけた脚本家・笠原和夫さんが1964年に執筆した幻のプロットが原案となっている。

 新潟市出身で、故郷が舞台となる作品で俳優デビューを果たした小柳が演じるのは、多くの村人を無差別に殺害した大悪党・辻斬。そうそうたるキャストの中での初演技に「最初は、皆さんが演じているものに乗っかったら何とかなるんじゃないかと思ってました。でも白石監督はちゃんと見透かしていて、『そのままでいい、そのままでやって。飾らなくていい。できない人なりの味が出るから、それでいいんだ」と言われて。それをただ鵜呑みにしてました。本当に貴重な経験をさせてもらった」と、自然体で撮影に臨んでいたと振り返った。

 せいじの役柄は、辻斬と同じく決死隊の1人となる罪人・引導。坊主でありながら数多くの女犯(にょぼん)により死罪を言い渡された、というキャラクターだ。せいじは今年5月、天台宗の僧侶となったことを公表。決断したのは撮影後だといい「今はお経を唱えるのは上手いんやけど、撮影の時はお坊さんじゃないので。申し訳ないけどむっちゃ下手なんです」と明かした。「お経にも方言みたいなものがあるけど、役でやっているのはどこにもひっかからない完全オリジナル。ど素人のお経です。(試写で自分がお経を読む姿を見て)ひどいな、このお経。こいつはひどいお経読むな、と」。

 砦での撮影は、出演者が「こんなにしんどい現場はない」と口をそろえるほどハードだったが、そのなかで場の空気を明るくさせた存在がせいじだった。「皆さん疲弊しているなかで、せいじさんがボソッと言ってくれたことで皆が明るくなったりとか。それで皆が口数を取り戻した」と小柳。せいじは「笑いに変えるというよりかは、思っていること、大人やから皆が言わないことを大きな声で言ってただけです。『これ終わったら皆でキャバクラ行くぞ!』って約束したり」と笑みを交えながら回想した。

 小柳の力士時代の経験も、撮影チームがまとまる上で大きな役割を果たした。先にクランクアップした小柳は、再び現場を訪れると自らちゃんこを用意。炊き出しは現場で大好評だったといい「相撲枠で呼ばれたと勝手に思ってたので(笑い)。撮影中は相撲っぽいことがまったくできなかったんで、何か形で残したいなと。みんなに食べて頂けて、僕にとっても良い思い出になりました」と声を弾ませ、せいじも「色んな人から色んな料理をケータリングで提供して頂いて。千葉の鋸南の僻地ですよ。猿の家族がうろうろしているような。そこにクランクアップしているのに来てくれて。チームワークは抜群に良かったなと思います」とうなずいた。過酷な撮影で生まれた一体感は今も残っているそうで「撮影終わってからも2、3回飲みに行ってて。その時に仲野くんが言ってたけど『こんなに集まって飲みに行く現場は初めてです』と。いまだに付き合いありますね」。

 見どころを聞かれたせいじは「本当に11人、その11人に絡んでくる人間たち(の物語)が物理的によくまとまったなと。試写会で『あのシーン、カットやったらどうしよう』とか自分のなかであったんです。それは全部残ってたんで良かった。僕の見せ場はキープできております」とPR。小柳は「時代ものですけど、現代の人が見ても色んなことに置き換えて物事を考えられる作品になっていると思うので。僕はめちゃくちゃはまって3回見たんですよ。それぐらいすごい。戦闘シーンは1番見てもらいたいです」と、自身が迫力あふれる殺陣に挑戦した場面をあげた。