私の髪を見て「だいぶ薄いっすよねぇ」デリカシーのない美容師に唖然!落ち込む私を救ってくれたのは?

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抗がん剤の治療は、多くの場合脱毛の副作用があります。筆者も乳がんの治療時に受けた抗がん剤の副作用で、驚くほどの脱毛を経験しました。これは、脱毛後に久しぶりに訪れた美容室でのエピソードです。

脱毛

私は抗がん剤の治療をした際に、髪の毛・眉毛など、身体中の毛が抜けてしまいました。
治療から4年が経っても、前髪と眉毛は未だに薄く、出かけるときは化粧とウィッグでごまかしている状態でした。

不思議なもので、生えて来ないのは前髪と眉毛だけ。
前髪以外の部分はだいぶ伸びてきたので、4年ぶりに美容室へ行こうとすると、以前通っていた美容室は閉店。
別の美容室を予約し、事情を説明してカットをしてもらおうと思っていました。

失礼な店員

予約当日、美容室へ行くと若い男性の美容師が担当だと挨拶して、「今日はどうします?」と聞いてきました。
私が髪の薄い原因を説明しようとしたとき、その美容師が「だいぶ薄いっすよね~。切ったら目立つんじゃありません?」と髪を眺めながら一言。

私はとてもショックでしたが、気持ちを抑えて「ガンの治療で抜けちゃったんです。目立たないようなスタイルにしてもらえませんか?」と言うと「あ~、こんなに薄いとちょっと無理じゃないっすかね~。」と言われたのです。

私はとても嫌な気分になったので「それならいいです。帰ります。」と席を立とうとすると、店の奥から私と同年代の男性が出てきて、私についていた美容師に低い声で「代われ!」と言いました。

提案

その男性は私の顔をきちんと見て「失礼な対応をして本当に申し訳ありません。私が代わりに謝罪します。」と頭を下げてくれました。
「教育がなってなくて大変失礼しました。私が対応させていただきますが、よろしいですか?」と言うので、私は事情を説明。

その男性はしっかりと話を聞いてくれて、「実は、私の妻もお客様と同じ悩みを持っているんです。私がカットをしているんですが、気に入ってくれてますので、試していただけますか?」と提案してくれました。
私が「お願いします。」と言うと、その男性は「抗がん剤の後は、頭皮も敏感になっているんですよね。だからカラーやパーマはやめておきましょう。」と私の状況を理解して、丁寧にカットをしてくれたのです。

笑顔

出来上がったヘアスタイルは、ちょっとおしゃれなベリーショート!
「ワックスやムースも頭皮や髪の負担になるので、洗いっぱなしでも大丈夫なスタイルにしました。」と言ってくれました。
支払いのためにレジへ向かうと「大変な失礼がありましたので、お代は結構です。その代わりと言っては何ですが、これからもうちの店にカットをしに来ていただけますか?」とニッコリ。

私は最初の美容師の言葉にひどく傷ついていましたが、この男性の応対でとても穏やかな気持ちになることができたのです。

気遣い

名刺をくれたので見てみると、その男性は美容室のオーナーでした。
「ありがとうございます。ぜひ、これからもよろしくお願いします。」と言うと「体調の良いときで構いません。いつでもお待ちしています。」と言ってくれました。

がんの治療後の副作用に悩まされ続けている私は、このオーナーさんの一言で一つ悩みが解消し、とても嬉しかったです。
あんな素敵な気遣いができる美容師さんなら、これからもお世話になろうと思っています。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:RIE.K
国文学科を卒業し、教員免許を取得後はOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。介護士として働く。さらにシングルマザーとして子供を養うために、ファーストフード店・ショットバー・弁当屋・レストラン・塾講師・コールセンターなど、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。