女児が3時間以上も閉じ込められていた学校の送迎車。水筒の中身を飲み干してしまった女児は、自力で脱出した(『Metro.co.uk 「Five-year-old girl smashes her way out of school van after being left inside」(Pictures: PIX11)』より)

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米ニューヨークで今月12日、学校へ向かう送迎車のバンに乗っていた5歳女児が車内に取り残された。運転手は「女児が寝ていたから気付きませんでした。ミスだったんです」と釈明したが、停職処分となった。女児はこの経験でトラウマを抱え、学校に通えなくなってしまった。米ニュースメディア『PIX11』などが報じた。

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今月12日午前7時頃、米ニューヨーク市クイーンズ区の私立学校「Al-Ihsan Academy」へ向かう送迎車のバンを運転していたファルークさん(Faruk)が、車内に5歳女児を取り残してしまった。当時、女児は後部座席で眠っており、女児の存在に気付かず全員が車を降りたと思い込んだファルークさんは、そのまま10分ほどバンを運転して予約していた病院に向かった。

病院のそばの道路に停車していたバンの中で目を覚ました女児は、車内に閉じ込められたことに気付いた。当時の外気温は約28度であり、エンジンの止まった車内の温度は次第に上昇した。暑さをしのぐために制服を脱いだり、持っていた水筒で水分を補給していたが、全て飲み干してしまった。

どうにかしてこの状況から脱出しようと考えた女児は、履いていた靴底の硬い部分で車の窓を割った。バンから出た女児は、通りかかった人に助けを求め、父親のマフタブル・ブイヤンさん(Mahtabul Bhuiyan)の電話番号を伝えて電話をかけてもらった。電話をかけてくれた人は、緊急通報用電話番号「911」にも連絡した。

マフタブルさんの話では、女児は7時から10時半まで3時間半も車内に閉じ込められていたそうで、「娘は亡くなっていたかもしれないんですよ」と怒りを露わにした。

米ニュースメディア『PIX11』の取材に応じたファルークさんは、「女の子は寝ていたから、車内にいたことに気付きませんでした」と話した。「なぜ、後部座席を確認しなかったのか?」と尋ねられると、「ミスだったんです。時々忘れることだってあります。分かるでしょう?」と答えており、事態の深刻さを理解していないようだった。

学校は今回の件について、「今回の不幸な出来事には、深い悲しみを覚えています。運転手は停職処分になりました。我々は女児のご両親と面会し、今後も支援を続けていきます」とコメントした。

マフタブルさんは緊急事態に備え、毎週娘と一緒に電話番号を覚える練習をしていたと話しており、「バンに3時間以上も閉じ込められたのに、娘は意識を失いませんでした。娘の勇敢さを心から誇りに思います。どうやってこの状況に対処したのか、想像もできません」と娘の無事を喜んだ。

しかし、女児はこの経験でトラウマを抱え、通学を拒否している。マフタブルさんは「娘は疲れ切っていて、睡眠や食事もできていません」とその様子を明かした。

このニュースが各メディアに報じられると、「賢い女の子だ。直感が素晴らしい」「水筒があってよかった」など女児の無事を喜ぶ声のほか、「学校や運転手を起訴して逮捕すべき」「亡くなってもおかしくなかったのに、運転手は停職処分だけなの?」「私だったら確実に学校を訴えているよ」など、学校や運転手への非難の声が多数寄せられた。

なお2022年11月には、不審者に後をつけられた下校途中の小学生男児が、とっさに入った店で「ママのふりをして」と店員にSOSを求め、難を逃れた。

画像は『Metro.co.uk 「Five-year-old girl smashes her way out of school van after being left inside」(Pictures: PIX11)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)