ウエンツ瑛士と清塚信也が丸の内COTTON CLUBで初共演 オフィシャルレポートが到着

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2024年9月15日(日)・16日(月・祝)の2日間東京・丸の内のコットンクラブで開催された、ウエンツ瑛士と清塚信也によるリサイタルのオフィシャルレポートが到着した。

シンガーソングライター・デュオ「WaT」、タレント、モデル、俳優として活動するウエンツ瑛士と、クラシック・ピアニストとして日本武道館公演や47都道府県ツアーを開催、数々の作品の劇伴音楽で作曲や演奏を担当、作曲家、俳優として活動する清塚信也。幅広い分野で活躍する2人によるリサイタルが、9月15日(日) 9月16日(月・祝)の2日間、東京・丸の内のコットンクラブで開催された。 

2人は、ミュージカル『アンドレ・デジール 最後の作品』(2023年)の主演俳優と音楽監督として出会い、その後、意気投合。『HALF & HALF』と題された本公演は「それぞれの魅力と要素を掛け合わせてお届けする」というコンセプトになっている。 

各テーブルで食事を楽しんでいる観客の席の間を通り、ステージに登壇したウエンツ瑛士と清塚信也とバンドメンバー。それぞれが配置につき、清塚が軽快にピアノを奏で始めると、バンドメンバーがそこに音と呼吸を合わせていく。そしてドラムのカウントと共に始まったのは、フランク・シナトラの名曲「Come fly with me」。ジャジーなサウンドに合わせて、キレのあるヴォーカルを響かせていくウエンツ。ピアノとヴァイオリンの音色も、その歌声に彩りを添えていく。 

歌い終わると、間髪入れず「ウエンツ瑛士ー!イエーイ」とテンション高く盛り上げていく清塚。そこから2人で楽しくトークしていく。ミュージカルの現場で出会った2人だが、そこで歌に真摯に向き合っていたウエンツを見ていた清塚は、それが世間に全然伝わっていないことに驚いたのだという。「2年間のイギリス留学で何をしていたのか、その成果を今日は見せてもらおうと思っている」と、すべて英語の楽曲をセレクトしたと、ユーモアを交えながら伝える。そして、ウエンツの音楽性を伝えたいという清塚の純粋な願いも込められたライブには、吉田翔平(Violin)、竹下欣伸(Bass)、齋藤たかし(Drums)という、彼が集めた超一流のミュージシャンも参加していた。 

「ここからはシナトラの往年のナンバーが続きます」と言うと、「Fly me to the moon」「Theme From New York,New York」と続けていく。心地よいジャズの世界に浸りながら、ハネるように、そして時に感情豊かに歌の世界を表現していくウエンツ。歌を際立たせる演奏も本当に素晴らしかった。歌とピアノ、2人だけで表現した「My Way」はとても感動的で、想いが溢れていくヴォーカルを、清塚のピアノが優しく包み込んでいるかのようだった。 

しっとりとした「My Way」のあと、シナトラの曲世界の余韻に浸ることを許さない清塚の軽快なMCが炸裂。話が止まらない清塚に、ウエンツが鋭くツッコんでいくという相性抜群のやり取りが繰り広げられていく。だが、「本当に音楽や芝居に対して真摯で、研究熱心。ひとつのワードでもすごく真剣に考えてくれる人」と、ウエンツの魅力をさり気なく伝えることも忘れない。 

続いてはポップスの世界へ。エルヴィス・コステロの「She」を、か弱い声色で歌っていく。切ないヴァイオリンと歌声を響かせたあとは、ビリー・ジョエルの「Piano man」へ。この曲の歌詞は、バーで見た人々をリアルに描写したもの。〈And the piano, it sounds like a carnival〉(ピアノはカーニバルのような音色で…)と歌うところを「華やかに歌うように」という注文が清塚からあったそうだが、バーの賑やかな情景が見えるような大胆な歌唱だった。また、三拍子のリズムも心地良く、聴いたあとに爽やかな気持ちになった。 

ミュージカルで培ったウエンツの素晴らしい歌唱力に、思わず「ブラボー」と言う清塚。「ここからはインストも聴いてほしい」と、ジョージ・ガーシュウィンの曲世界に導いていく。「今日の影の立役者であり、表の主役でもある私が、オールドアメリカンのピアノ、そしてミュージカルの礎となったガーシュウィンの『Rhapsody in Blue』を、ピアノで弾きたいと思います」と伝え、オーケストラの楽曲を、ひとりで緩急を付けながら弾いていく。圧巻のパフォーマンスに、大きな大きな拍手が起こったあと、今度はバンドで「Summer time」を演奏。艷やかなヴァイオリンの音色から、ベースとドラムが最高におしゃれでグルーヴィなリズムを刻んでいく。そして、ウエンツが再びステージに登場すると、「Someone to watch over me」を温かく、甘い歌声で披露。ヴォーカルと同じく主旋律を奏でるヴァイオリンの音色、そしてそれを支える安定感のある演奏に、心が豊かになっていく。演奏直後にもらした「音楽って良いなぁって、すごく思う」という清塚の言葉には、共感するしかなかった。 

次に、ミュージカルで出会った2人らしく、ミュージカル楽曲から「Empty Chairs At Empty Tables(レ・ミゼラブルより)」を歌っていく。これは、仲間を失ったマリウスが、空席になってしまったカフェで歌うナンバー。悲しさや絶望を感じる歌声で、曲の世界へ引き込んでいくと、最後は「ここまでいろんな曲を歌わせていただきましたが、最後はみなさまに笑顔で帰っていただきたいと思います」と、ミラーボールの光に包まれながら、エルヴィス・コステロ、マイケル・ジャクソンなど、多くのアーティストにカヴァーされた名曲「Smile」を、優しい歌声で届けていった。 

ここで本編を終えて、そのままアンコールへ。「本当に素晴らしかったでしょう?これからもウエンツ瑛士のいろんな歌を聴かせてほしい」と清塚が伝えると、ラストはジャズナンバー「You'd be so nice to come home to」を、バンドのソロ回しを交えながら披露し、ウエンツ瑛士 × 清塚信也 リサイタル『HALF & HALF』を終えた。2人の才能とトークの面白さ、いろいろな分野で活躍する2人だからこその瞬発力と表現力で観客を笑顔にさせた、正真正銘のエンターテイメントショウだった。 

文=Junichi Tsukagoshi