原英莉花が国内ツアーをキャンセル、「罰金覚悟」で出場して得たスコットランド女子OPの収穫
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「一日に四季がある」というスコットランドのリンクスは選手の限界を試すような厳しさが特徴だ。
それを象徴したのが前週の「全英女子オープン」だが、その前哨戦ともいえる「ISPS Handaスコットランド女子オープン」について触れたい。
今年7月、日本のISPS(国際スポーツ振興協会=半田晴久会長)が、主催の米LPGAツアーと欧州女子ツアーから、前スポンサーの撤退により、「存続の危機」と懇願され、急きょスポンサー(3年契約)になったという経緯がある。半田会長は「リンクスという過酷なコースを経験することで、日本選手の世界レベル向上のお役に立てるのなら」と、スポンサーを引き受けた理由の一端を語っている。
この大会には、国内ツアーで活躍する原英莉花(25)が、同週の国内ツアー「CATレディース」(神奈川・大箱根CC)にエントリーしていたにもかかわらず、キャンセルして出場(ISPS推薦)した。女子プロ協会に300万円の罰金を払う覚悟で出場を変更した理由について原は、「米ツアー挑戦を目標にするに当たって、リンクスは自分の実力と経験を積むには、これ以上ないチャンスだから」とその決意を語っていた。しかし、現実は厳しいものとなった。
初日のスタート時間は現地午後2時11分。悪天候でさらに遅れ、11ホール終了時に日没サスペンデッドとなった。翌日は薄暗い早朝スタートで、おまけに強風と寒さ、深いポットバンカーや膝まで隠れるブッシュやクリーク、硬いフェアウエーやグリーンなど、日本では考えられない状況に翻弄された。その結果、2日間通算8オーバー98位という散々なゴルフで予選落ちした。それでも原の表情には一点の曇りもない。
「リンクスという知らない世界での経験で、自分の未熟さと、これから何をすればいいかがはっきり見えてきました。この経験をこれからの米ツアー挑戦に生かし、準備を整えます」と落胆どころか、むしろ目の前の霧が晴れたような表情だった。国内ツアーに安住する気はないようだ。
強風が吹き続けた全英女子オープンもそうだったが、リンクスでは風速10メートルを超える強風や激しく変わる天候は当たり前。国内ツアーの甘さを知ったプロは少なくないだろう。それでも、
「難コースで世界の強豪と戦うことこそプロ冥利に尽きる」
そう思った選手がどれくらいいただろうか。
(宮崎絋一/ゴルフジャーナリスト)