路線バスが「シートベルトなし&立ち乗りのまま」で高速道路を走る!? 福岡で見たビックリ「珍景」なぜ実現したのか
路線バスが「シートベルトなし&立ち乗りのまま」高速を走る!?
バスが高速道路を走行する際は、シートベルト着用が義務付けられています。
一方で福岡の都心部を中心に運行する西鉄バスはシートベルトなし、立ち乗りのまま高速道路を走行できるといいます。一体なぜなのでしょうか。
西日本鉄道及び子会社が運営する西鉄バスは、保有車両台数はグループ合わせて約2700台、年間利用客数は約2億7000万人と、バス保有台数や、輸送人員、走行距離において全国トップ規模を誇ります。
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博多・天神エリアの都心部から郊外までをくまなく網羅しており、福岡県を中心に重要な交通機関のひとつとなっています。
福岡の中心地をつなぐのが福岡都市高速道路で、都市高速とも呼ばれています。
福岡空港や博多駅、天神など福岡の繁華街から、福岡市西区の姪浜、福岡市城南区の堤などをつなぐ環状線のほか、大野城市、太宰府市などに路線網を有しています。
実はこの都市高速では、西鉄の路線バスも走っています。
筆者が福岡県に訪れた際、福岡市の海辺に近い福岡タワー近辺から、天神など福岡の繁華街へ向かうバスに乗車しました。
しばらくは通常のバス同様に一般道を走行していましたが、都市高速環状線の出入り口のひとつである「西公園出入口」地点から都市高速道路を走行しはじめました。
座席に座っている乗客は、筆者も含めシートベルトをしていない状態で、車内には立ち乗りの乗客もいました。
高速道路の周囲を見渡すと他の路線バスも同様に高速道路を走行している姿が見られ、筆者が初めて福岡県を訪れたということもあり、その光景に驚いたことを覚えています。
ではなぜ路線バスがシートベルトなし、立ち乗りのまま高速道路を走行できるのでしょうか。これについて西鉄バスの担当者は以下のように話します。
「国土交通省で定める道路運送車両法で正式に認められており、基準緩和認定をいただいているためです。
都市高速を走行する際は、『都市高速を走行する距離もしくは時間が運行経路全体の2分の1以下であること』『都市高速道路内を(時速80km規制区域であっても)時速60km以下で走ること』『ABS(アンチロックブレーキシステム)がついている車両であること』が条件となっています」
都市高速を走る西鉄バスでは、走行距離や時速、安全機能が備わっていることを条件に、高速道路の走行が認められているといいます。
また都市高速を走るバスにも条件があるといい、「ABSがついている車両であること」「60km/h以下・緩和ステッカーを車両前面・後面・運転席に記載すること(運転席には60km/h以下ステッカーのみ)」「60km/h以上の速度が出た場合に運転手に警告する機能(ランプ、ブザー)が装着されていること」であることが決められているそうです。
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ちなみに、今までで乗客が立ち乗りの状態などで都市高速を走行していて、トラブルや危険性が生じたケースはなかったのでしょうか。これについて担当者は以下のように説明します。
「特にはありません。
下道も同様ではありますが、車内立ち乗りの際は安全上吊り革手すりにおつかまりいただくようお願いいたします」
路線バスが高速道路を走る姿は今では数少ないため、福岡県に訪れた際は乗車してみても良いかもしれません。