札幌競馬場(イメージ、撮影:山中博喜)

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 GIホースをはじめ、実績馬が出走することから、「スーパーGII」や「夏競馬のハイライト」とも称される札幌記念。今年もドゥラエレーデやジオグリフ、プログノーシスなど、重賞勝ち馬が数多く顔を揃えた。

 今や夏の北の大地を彩る名物レースとなった一戦だが、実は35年前までダートで実施。JRA全10場のうち、寒冷地である札幌競馬場には長らく芝コースが設置されておらず、内回り・外回りともにダートコースだった。

 創設されたのは1965年。90年代半ばに路線整備がされるまで、JRAのダート重賞は、84年スタートのフェブラリーH(現・フェブラリーS)、ウインターS(現・東海S)、87年開始の根岸Sと数えるほどしかなく、地方競馬との交流も限定的だったことから、札幌記念は“夏のダート王者決定戦”のような意味合いもあったという。

 勝ち馬を振り返ると、76年にはグレートセイカンが“天馬”トウショウボーイを破って戴冠。85年覇者リキサンパワーはその後、86年帝王賞2着、87年のフェブラリーHを勝つなど、80年代を代表する砂巧者として鳴らした。ライフタテヤマは86年に札幌記念、タイムス杯、ウインターSをいずれも圧勝。ダート3戦3勝の成績が評価され、同年の最優秀ダートホースに選ばれている。

 その後の技術発達により、札幌競馬場にも芝コースが設置され、89年を最後にダート重賞としての歴史を終えた。最後の勝ち馬は、同年に根岸Sも制すダイナレターだった。90年からは芝重賞となり、当初はそれまでの流れを汲んでハンデキャップで行われていたが、97年のGII格上げと同時に別定重量に変更。実績馬の参戦をより促す目的で、06年から定量戦となり今にいたる。

 約60年の歴史を持つ札幌記念には、意外な事実が隠れていたのだった。