悲願の金メダルを獲得したケリフ(ケリフのインスタグラムより)

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パリ五輪ボクシング女子66キロ級決勝が2024年8月10日に行われ、「性別問題」の渦中にいるイマネ・ケリフ(アルジェリア、25)が、楊柳(中国、32)を5−0の判定で破り、金メダルを獲得した。

ケリフは今大会で「性別問題」に巻き込まれ、世界中からの注目が集まる中、世界の頂点に立った。

騒動の発端となったのは46秒棄権勝ち

試合は完勝だった。開始からケリフが積極的に攻め、楊を圧倒した。5人のジャッジは、1回から3回までケリフを10−9で支持。5人が30−27の採点をつける圧勝劇で、アルジェリアに金メダルをもたらした。

今大会、ボクシング女子で起きた「性別問題」では、ケリフと女子57キロ級代表の林郁婷(台湾、28)が巻き込まれた。

海外メディアによると、両者ともに、23年に行われた世界選手権のDNA検査でXY染色体を持っていることが判明し、国際ボクシング協会(IBA)の規定違反で失格になったという。

今大会、騒動の発端となったのは、8月1日に行われた女子66キロ級2回戦だ。ケリフが、アンジェラ・カリニ(イタリア)に1回46秒で棄権勝ちしたことが、世界的に波紋を広げた。

その後、順調に勝ち進むケリフを「支持」する声が上がる一方で、批判的な声は止むことはなく、苦境の中で迎えた決勝戦だった。

「ケリフと林を曖昧な出場資格テストにおいて失格にした」

今回の「性別問題」について、英紙「デイリー・メール」(ウェブ版)は、「批判や誤った憶測が広がった」などと指摘し、問題を引き起こした要因に言及した。

「国際ボクシング協会が、昨年の世界選手権で、ケリフと林を曖昧な出場資格テストにおいて、失格にしたことに端を発している」

英紙「デイリー・ミラー」(ウェブ版)も、世界選手権でケリフと林の出場資格をはく奪したIBAを問題視。「IBAは検査のプロセスや結果に関する具体的な証拠を一切提示できなかった」と厳しい論調で批判した。

米メディア「ニューヨーク・ポスト」(ウェブ版)は、「イマネ・ケリフがボクシングで金メダルを獲得し、性別論争で彩られた2024年オリンピックを締めくくる」とのタイトルで記事を公開した。

記事では「ケリフの2024年オリンピックまでの道のりは、数々の戦いでの勝利と、それらの勝利を覆い隠してきた性別論争を経て、金メダルで幕を閉じた」とした。

ケリフと同じく「性別問題」の渦中にいる林は、女子57キロ級決勝進出を決めており、日本時間11日に行われる試合で金メダルをかけて戦う。