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はじめに

フォードは最近、手頃なモデルのラインナップ空洞化が気になる。その理由は説明するまでもないだろう。欧州のエミッション規制が厳しさを増したことでコストが上昇し、安価なクルマで利益を上げるのが難しくなったからだ。そのため、低価格帯のクルマが突如として値上げされ、これまでのような台数は売れなくなるという負のスパイラルが発生。フォードのような大衆車メーカーには、とくにつらいところだ。

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昨年は、長年の主力だったフィエスタと、コンパクトSUVのエコスポーツが姿を消し、Bセグメントのラインナップはプーマのみとなった。その構成に多少ながら変化をもたらすのが、今回テストするトルネオ・クーリエだ。


テスト車:フォード・トルネオ・クーリエ1.0エコブースト・タイタニウム    JACK HARRISON

フォードの新たなボトムエンドはルーマニア製。価格はもちろんだが、実用性や万能性も備え、これまでのフォードの小型車よりもアクティブなライフスタイルを送るファミリー層に訴求できる点でも販売台数が見込める。フォードで4つある商用バンの乗用バージョンで、少し前ならニッチモデルだっただろうが、主力級の活躍ができるだけの実力を秘めているのだろうか。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

一見して、商用ベースの競合車の多くに対するアドバンテージがわかる。デザインは乗用車らしいもので、直立した大きなグリル、大面積のガラスハウス、フレアした前輪アーチや跳ね上がったデザインが印象的なウエストラインなどは、バンにシートとウインドウを足したようには見えない。

今回のタイタニウムは下位機種だが、上位グレードはさらに目を引くアイテムが備わる。アクティブ仕様には、タフな見た目のスキッドプレートやホイールアーチのクラッディングが装着され、有償で白か黒のコントラストルーフにすることもできる。


タイタニウムは16インチアルミが標準装備で、この切削仕上げ風の17インチはオプション。65タイヤによる乗り心地か、フォード車に期待されるグリップレベルか、好みかによって選びたい。    JACK HARRISON

4.3m級のボディはルーフが高く、サイドがスクエアなMPVスタイルで、キャビンは5人乗り。シトロエン・ベルランゴのショートボディよりはわずかながら小さく、ロングボディは用意されない。そこは、フォルクスワーゲン・キャディをベースとした、7人乗りのトルネオ・コネクトの領分だ。

フォードはこの手のクルマをマルチアクティビティヴィークルと呼び、一般的なMPVとの差別化を図るとともに、使用目的を明確化している。単なるファミリーカーではなく、趣味の道具なども積み込めるクルマということだ。高さのあるボディサイドとテールゲートは、中型SUVなどよりも大きく高い積載エリアを実現。天井が高く角がスクエアなので、自転車のようなかさばる積荷も楽に載せることができる。

名目上は商用ベースだが、機械的にはそうとも言い難い。プラットフォームは、プーマやフィエスタと同じグローバルBで、ホイールベースをプーマより100mm以上延長している。フロントがストラット、リアがビームアクスルという足回りはBセグメントの典型で、コイルスプリングとツインチューブのガスダンパーを前後に備える。

内燃エンジンは、商用モデルはガソリンとディーゼルを揃えるが、このトルネオ・クーリエはガソリンのみ。長年使われている998cc直3ターボのエコブーストで、最高出力は6000rpmで125ps。フルスロットルではオーバーブーストが効き、20.5kg−mの最大トルクを30秒のみ発生する。

EVのe−トルネオ・クーリエは136psで、航続距離は370km。今年の遅い時期に、ガソリンモデルと入れ替わる予定だ。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

トルネオ・クーリエは、ヴィクトリア朝時代の背が高い帽子をかぶっていても乗れそうなクルマだ。前席の頭上は大きなスペースがあり、便利なルーフストレージコンソールも備わる。

シートは最大限下げると、この手のクルマとしては珍しいほど低いドライビングポジションが取れる。フォードとしてはいかにもミニバンという運転感覚に仕立てたくなかったのだろうが、背の高いテスターでも半分下げたくらいのほうが、視認性と操縦系の高さとの関係がよくなり運転しやすいと言っていたのは皮肉なものだ。


見るからに商用車、というほど飾り気がないわけではないが、プラスティックの品質や組み付け精度などは高くない。広さは文句なしだ。    JACK HARRISON

フロントドアはとくに大きく感じられ、閉めるときには音が多少響く。運転環境は、シンプルで機能的。チープに見えるところもあるが、まったく飾り気がなくプレーンなわけではない。

表面に模様の施されたモールディングパーツは質感におもしろみを加え、なかなか効果的だが、ドアコンソールにひざを当てて体重をかけると軋んだり曲がったりする。フットウェルのメインのモールディングは持ち上がっていて、乗り降りの際に足が引っかかりやすい段差が生まれている。

デジタルのメーターパネルと自立式インフォテインメントディスプレイはダッシュボード上部に設置され、その背後にはワイドな収納スペースが隠れている。助手席側は、前に運転席側より小さい小物入れが、フットウェル横に書類入れが、それぞれ備わっている。

後席も頭上は広く、レッグルームもミッドサイズのファミリーカーに匹敵するほど。シートは、クッションがやや短くフラットで硬め。前後スライド機構はなく、取り外しもできない。ただし、フォールドとタンブルにより、荷室容量は最大2162Lに達するので、コンパクトボディでも積載性に不満はない。

荷室のサイドパネルには、片側に汚れたブーツを収めるのにピッタリなくぼみが、反対側に細々したものを置いておけるトレーが設けられている。競合車に見られるルーフコンソールやスライディングフックなどより工夫が足りないが、コストの制約を考えれば仕方ないかもしれない。とはいえ、モールディングはキャビン以上にチープな見た目で、擦り傷がつきやすそうだった。

走り ★★★★★★★☆☆☆

基本的に機能性を追求したこの手のクルマは、世界的に小型商用車の電動化が進む中にあっても、始動してアイドリングする際に4気筒ディーゼル特有のノイズが聞こえてくるのが普通だと、今だに思ってしまう。

3気筒ガソリンのエコブーストは、低回転域でわずかながら粗さを感じさせる。どうやらフォードは、商用版のトランジット・クーリエより手厚いエンジンルームの遮音を行わなかったようだ。


商用ベースということを忘れるくらい、なかなかの動力性能を見せる。とはいえ、乗用モデルとしてはもっとパワフルさを求めたくなるのも事実だ。    JACK HARRISON

しかし、一旦回してしまえば、好ましく、うるさすぎず、一所懸命働いてくれる小さなエンジンだ。そこは、他車種で長らく慣れ親しんできたとおりである。クリーンによく回り、すばらしくリニア。実用トルクは、太くはないがまずまず。速さと運転しやすさは十分合格点で、乗用車として日常使いできるレベルだ。

動力テストの結果は、公称データ以上。フォードは0−100km/hが13秒フラットとしているが、0−97km/hの計測タイムは10.8秒だった。ライバルと比較しても、シトロエン・ベルランゴ・ピュアテックよりわずかに速く、もっと軽くて背の低いダチア・ジョガーTCe110ともいい勝負だ。

とはいえ、商用車にありがちなもたつきがない、という程度だ。ハッチバックなどについて行こうと思ったら、6速MTの低めのギアを使って、エンジンをかなりハードに回さなければならない。エンジンがよく回り、ギアボックスが軽くて驚くほどショートストロークなので、その作業はちっとも苦にはならないのだが。

しかも、ブレーキとクラッチのペダルはプログレッシブかつ正確に調整されている。結果、クーリエのドライビングは、一般的なこの手のクルマより洗練されたものになっている。

しかし、軽めに負荷がかかったときでも、ペダルを床まで踏み込んでしまいがちだ。うまく付き合えるクルマではあるが、ひとやモノが多く乗ると、ややパワー不足に感じてしまうだろう。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

スタンダードなインフォテインメントシステムに純正ナビは含まれず、テスト車に付いていたナビはオプションだ。しかし、スマートフォンのミラーリングと充電デバイスはいずれもワイヤレスが標準装備で、ほとんどのオーナーが携帯デバイスを接続して使うと想定されているようだ。

そのほか、充電用のUSBポートは前後席とも2口ずつ設置。前席と荷室には、12V出力ソケットも備わる。


画面下部のショートカットがミラーリング時に消えてしまうなど、残念な点も多少あるが、おおむね使いやすいシステムだ。    JACK HARRISON

タッチ画面はかなり操作しやすいが、これはその下に選りすぐった実体ショートカットキーが用意されているおかげだ。Apple CarPlayを使うと純正の操作バーが消えるのは少々厄介だが、画面サイズを考えれば仕方ないところだ。

空調の操作はほぼタッチ画面で行うが、風量くらいは実体の調整スイッチがほしかった。ややタッチ画面に機能を集約しすぎていて、運転中の集中力をもう少し削がれないようにしてほしくはある。それでも、かなりシンプルで扱いやすい、このクルマに合っていると思えるシステムだ。

燈火類

ヘッドライトはハロゲンが標準仕様。ランニングライトは有償でLED化できる。日が長い中でのテストだったため、性能を試す機会はなかった。

ステアリングとペダル

ペダルはやや小さく、ゴツい靴を履いて運転するには間隔が近いが、それを除けば配置は良好。ステアリングコラムの調整幅は大きい。

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

良好な横方向のボディコントロールは、この手のクルマでは見落とされやすい要素だ。しかし、重い荷物を積んだ上にルーフボックスなどを取り付ける可能性が高いことを思えば、しっかりしたグリップやスタビリティ、そして多少なりともハンドリングの穏やかさに余力があることには意味があるといえる。

それらすべてを、このトルネオ・クーリエは備えている。平均的なバン由来のモデルに比較すると、乗り心地にはよりタイトな感じがたしかにある。これは、ダンパーとスプリングのレートによるものだ。そのフィールはいかにもフォード的で、コーナーやバンプを思ったよりもちょっとだけ速く、挙動を乱さずに駆け抜けることができる。


フォードの取り柄である走りは、同じプラットフォームのハッチバックやSUVほどではないまでも感じられる。    JACK HARRISON

ステアリングも、やや重めの手応えとやや早いペースで同じように感じられる。たとえ、長めのホイールベースと平均的なグリップレベルが、結局はどうコーナリングしてもアジリティを感じさせないとしてもだ。

いったんコーナーへ入ると、このクラスのアベレージよりは多少元気に走るように思える。小さくロールするが、極度な傾きにはむしろうまく耐えている。また、適切なシャシーバランスとステアリングの威勢が、運動性の限界まで保たれる。その限界は、アウトドアで気球を追いかけたり夜明けの海を目指したりして、はたまた遅刻しそうで飛ばすくらいなら、十分以上に高い。

グリップ限界では、スタビリティコントロールがやや荒くでしゃばり気味に介入する。また、コーナー途中のバンプをちょっとハードに乗り越えると、ステアリングに少々キックバックが出て、アクスルがガチャガチャ言いはじめる。

どのクルマでもそうだが、気持ちよく走れるゾーンというものがこのクルマにもある。とはいえ、それは想像するより広い。

快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆

テストは穏やかな天候のドライコンディションで行われたが、このクルマの場合、その恩恵は小さいはずだ。それでも、騒音計は、ほとんどのコンパクトなファミリーカーに負けない静粛性を示した。

80km/hでは、風切り音やロードノイズ、エンジン音を含めて64dBA、113km/hでは68dBAで、スピードを上げると、四角いボディの影響が大きくなるといっていいだろう。しかし、乗用車でもとくに後者の数値がもっと大きいものは多い。また、2022年にテストしたダチア・ジョガーは湿った路面での計測だったが、どちらのノイズもより大きかった。


バンだと思って身構えると、拍子抜けするほど静粛性は乗用車並みに高い。乗り心地もまた、商用車的な不快さを感じることはない。    JACK HARRISON

今や控えめなサイズになってしまった17インチホイールも、クルージング時のキャビンを静かに保った一因だろう。乗り心地もおおむね穏やかで、ショックはかなり抑えられている。とはいえ、速度を上げると、きついエッジを乗り越える際には多少の衝撃音が出る。標準装備の16インチホイールと65タイヤであれば、さらに快適かもしれない。

フロントシートはクッションの長さと傾きを調整できず、後席同様にちょっと硬めでフラットだ。しかし、とくに快適性が欠けているというわけではない。

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

フォードのラインナップにおいて最廉価モデルではないが、その差は数百ポンドと小さい。いずれにしろ、英国では2万5000ポンド(約513万円)以下で買えるフォードの新車はなくなった。他国で販売されるエントリーグレードのトレンドを持ってきたとしても、おそらくわずかに下回る程度にしかならないだろう。

現在、英国でのエントリーグレードはタイタニウムで、アルミホイールやルーフレール、シートヒーター、エアコン、フル装備のADASが標準仕様だ。上位のアクティブは1320ポンド(約27万円)高で、外観が若干変更され、17インチホイールと純正ナビが付くものの、割高な印象だ。


残価予想では、競合するシトロエン・ベルランゴに劣るトルネオ・クーリエ。より大型のフォルクスワーゲン・キャディは、残価率でさらに上を行く。

結局、以前ほどお買い得感で攻めてこなかったフォードだが、このクラスのガソリン車は競争が激しくなくなったのも事実だ。ダチア・ジョガーはシートの数は多いが荷室はやや狭く、シトロエン・ベルランゴ・ピュアテックは安い代わりに装備が簡素になる。

スペック

レイアウト

ベースは現行のプーマやフィエスタと同じく、フォードのグローバルBカープラットフォーム。3気筒ガソリンエンジンはフロント横置きで、前輪駆動のみの設定だ。

サスペンションは、フロントがストラット、リアがビームアクスルという、一般的な組み合わせ。前後重量配分は、実測56:44だった。

エンジン


フォードのグローバルBカープラットフォームがベースで、横置きFFレイアウト。前後重量配分は、実測56:44だ。

駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列3気筒998cc、ターボチャージャー、ガソリン
ブロック/ヘッド:鋳鉄/アルミニウム
ボア×ストローク:φ71.9×82.0mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:125ps/6000rpm
最大トルク:20.5kg−m/1750〜2500rpm
エンジン許容回転数:6000rpm
馬力荷重比:91ps/t
トルク荷重比:14.9kg−m/t
エンジン比出力:125ps/L

ボディ/シャシー

全長:4337mm
ホイールベース:2692mm
オーバーハング(前):832mm
オーバーハング(後):813mm

全幅(ミラー含む):2085mm
全幅(両ドア開き):3660mm

全高:1817mm
全高(テールゲート開き):2060mm

足元長さ(前席):最大1080mm
足元長さ(後席):740mm
座面〜天井(前席):最大1130mm
座面〜天井(後席):1090mm

積載容量:1188〜2162L

構造:スティールモノコック
車両重量:1373kg(公称値)/1426kg(実測値)
抗力係数:−
ホイール前・後:7.0Jx17
タイヤ前・後:215/55 R17 98W
グッドイヤー・エフィシエントグリップ・パフォーマンス2
スペアタイヤ:フルサイズ(オプション)

変速機

形式:6速MT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:3.73/7.9 
2速:2.05/14.3 
3速:1.36/21.7 
4速:1.03/28.6 
5速:0.82/35.9
6速:0.69/42.8 

最終減速比:4.27:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:15.1km/L
ツーリング:16.8km/L
動力性能計測時:8.2km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地)13.2km/L
中速(郊外):16.7km/L
高速(高速道路):17.6km/L
超高速:13.2km/L
混合:14.7km/L

燃料タンク容量:45L
現実的な航続距離:679km
CO2排出量:154g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:トーションビーム/コイルスプリング

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.7回転
最小回転直径:11.1m

ブレーキ

前:381mm通気冷却式ディスク
後:254mmドラム
制御装置:ABS、EBD、EBA
ハンドブレーキ:手動、センターコンソール半ばにレバー設置

静粛性

アイドリング:43dBA
全開時(3速):74dBA
48km/h走行時:62dBA
80km/h走行時:64dBA
113km/h走行時:68dBA

安全装備

ABS/EBA/EBD/DAS/ISA/AEB/TSR
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人−%/子供−%
歩行者保護性能:−%
安全補助装置性能:−%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温15℃
0-30マイル/時(48km/h):3.7秒
0-40(64):5.6秒
0-50(80):7.7秒
0-60(97):10.8秒
0-70(113):14.3秒
0-80(129):18.9秒
0-90(145):26.0秒
0-100(161):36.4秒
0-402m発進加速:18.0秒(到達速度:126.3km/h)
0-1000m発進加速:33.1秒(到達速度:156.6km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
ダチア・ジョガー1.0TCe 110コンフォート(2022年)
テスト条件:湿潤路面/気温13℃
0-30マイル/時(48km/h):4.1秒
0-40(64):6.1秒
0-50(80):8.4秒
0-60(97):11.0秒
0-70(113):15.1秒
0-80(129)19.5秒
0-90(145):26.4秒
0-100(161):37.1秒
0-402m発進加速:18.4秒(到達速度:125.4km/h)
0-1000m発進加速:33.5秒(到達速度:156.6km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):3.5秒(2速)/5.3秒(3速)

30-50(48-80):4.1秒(2速)/5.2秒(3速)/6.8秒(4速)/9.3秒(5速)

40-60(64-97):5.7秒(3速)/7.2秒(4速)/9.4秒(5速)/11.8秒(6速)

50-70(80-113):6.5秒(3速)/7.9秒(4速)/10.9秒(5速)/14.1秒(6速)

60-80(97-129):7.8秒(3速)/9.3秒(4速)/14.1秒(5速)/20.4秒(6速)

70-90(113-145):11.9秒(4速)/18.4秒(5速)

80-100(129-161):17.1秒(4速)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温15℃
30-0マイル/時(48km/h):9.4m
50-0マイル/時(64km/h):25.9m
70-0マイル/時(80km/h):51.8m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.75秒

ライバルの制動距離

ダチア・ジョガー1.0TCe 110コンフォート(2022年)
テスト条件:湿潤路面/気温13℃
30-0マイル/時(48km/h):9.1m
50-0マイル/時(64km/h):24.6m
70-0マイル/時(80km/h):47.4m

各ギアの最高速

1速:46.7km/h(6000rpm)
2速:86.9km/h(6000rpm)
3速:130.4km/h(6000rpm)
4速:172.2km/h(6000rpm)
5速:175.4km/h(4877rpm)
6速(公称値):175.4km/h(4104rpm)

6速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2636rpm/3012rpm

結論 ★★★★★★★☆☆☆

安価なコンパクトカー市場へフォードが戻ってくるというので話題になったが、トルネオ・クーリエは小さいけれど価格はかなりプレミアム寄りだった。コントラストルーフやSUV的なエクステリアなどを追加すると、競合車より数千ポンド高くなってしまう。

そのタフで堂々たるルックスはさておき、全体的な内容はこの価格に見合っているのか。イエスと言える部分もあるが、すべてではないのも事実だ。


結論:フォードらしい品質は備えているが、高くなってしまった価格に見合うものではない。    JACK HARRISON

フォードは、乗り心地やハンドリングではいい仕事をして、ほかにないような落ち着きを持たせている。しかし、装備面はそうではなかった。パッケージングは上々で、駐車しやすいサイズに十分な荷室容量を組み込む術を示してくれた。

しかし、主なライバルにだいぶ及ばない部分もある。斬新な実用装備が不足していたり、キャビンのクオリティがどうしようもなく低いところがあったり、エンジンのトルクに余裕がなかったり、といった点だ。

魅力がないわけではない。しかしこの価格なら、もう少し工夫されていて、もう少し力強く、もう少し完成されたものを期待するはずだ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

一般的な商用ベースのクルマと比べれば、外観はかなり魅力的だし、そのほかの出来に興味を抱かせる。このクルマが気になったという隣人は、荷室を見せたら驚いていた。関心を引く上で、デザイナーの仕事がいかに大事かよくわかった。

マット・ソーンダース

せっかくタイトなスペースにクルマを止めても、大きなテールゲートを開けると面倒なことになる場合は多い。しかし、山あいの駐車場で雨に降られたときは、雨具を身につけるときのちょうどいいシェルターになってくれるだろう。

オプション追加のアドバイス

買うならトップグレードのアクティブ。180ポンド(約3.7万円)のホワイトルーフを追加したいが、これを選べるボディカラーはグリーンとグレーのみだ。スペアホイールとマッドフラップを追加すれば、SUV的ルックスがより完璧になる。

改善してほしいポイント

・重い荷物を積みたいユーザーは、トルクのあるディーゼルがほしいはずだ。
・キャビンの隅々にまで気を配って、チープさや薄っぺらさをなくしてほしい。
・荷室の装備にもっと工夫を。あと、リアシートが脱着できるとうれしい。