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ル・マン24時間レース参戦にも前向き

レッドブル・テクノロジーのクリスチャン・ホーナー代表は、同社の新型ハイパーカー「RB17」について「F1から取り除かれた良い部分すべて」を具現化したものだと表現した。

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ホーナー代表はまた、今季限りでレッドブルを去ることになった技術責任者エイドリアン・ニューウェイ氏がRB17を開発するにあたって、普段のレギュレーションの縛りから「解き放たれた」と語った。


レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表(右)

「FIAの制約もなく、コストの上限もない。マックス・フェルスタッペンでも引き出すのに苦労するような、途方もないパフォーマンスを持っています」

メルセデスAMGワンやアストン マーティン・ヴァルキリーなど、ライバルF1チームの同様のハイパーカーが公道走行に主眼を置いているのに対し、RB17はサーキット専用に設計されている。

ホーナー代表はAUTOCARの取材に対し、このようなF1以外のプロジェクトへの予算配分について「レッドブルは自動車メーカーではない」として、モータースポーツ以外に対する生産能力とリソースを制限していることを明かした。

「しかし、誰かがこのマシン(RB17)の公道仕様を望むのであれば、それに応えるコンバージョン企業がいくつかあるはずです」

RB17の生産台数を現在予定している50台以上に増やしたり、新しいハイパーカーを導入したりする見込みについて、ホーナー代表は次のように語った。

「これはわたし達にとって象徴的なモデルです。グランプリカーの生産というコア・コンピタンスからは目をそらしたくない」

「レッドブル・パワートレインズは現在、エンジンを自社生産しています。2〜3年で50台の生産であれば事業の邪魔にならず、社内の能力を投入できると考えました」

「これはわたしが強く望んでいたことです。F1を補完するものであり、邪魔するものではありません」

ホーナー代表によると、F1における新たなパートナーであるフォードに対し、RB17開発で提携を打診したものの、V10エンジン搭載のハイパーカーは「フォードのEVの基準に合わない」と判断されたという。

「ジム(・ファーリー、フォードのCEO)は乗りたがっていたよ」とホーナー代表は笑ったが、「彼らの現在の系譜には合わなかった」という。

RB17でのレース参戦には前向きだ。ホーナー代表はル・マン24時間レースに言及して「どのカテゴリーに参戦するかはわからない」としながらも、可能性を否定することはなかった。

「(アストン マーティン・)ヴァルキリーは来年のル・マンを走る予定です。RB17が走るのを見れたら素晴らしいですね」

しかし、ホーナー代表はル・マン参戦計画については明言を避けた。世界耐久選手権(WEC)のレギュレーションを満たすためにはRB17を大幅に改良する必要がある。

50台のRB17の顧客については、レッドブルが「厳選している」という。「コレクターの博物館に置く」ようなことは望んでいないとして、顧客がRB17を走らせる際にはレッドブルによる「完全オーダーメイド」のサーキット走行プログラムが用意される。

ホーナー代表は、「象徴的なオーナー」たちが顧客リストに名を連ねていると話す。3つ星シェフで有名な自動車マニアでもあるゴードン・ラムゼイ氏は、RB17の公開に立ち会っている。ホーナー代表は彼が手付金を支払ったことを否定しなかった。