洋の東西を問わないレビューは健在

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 昭和初期に宝塚歌劇団、OSK日本歌劇団と並んで“三大少女歌劇団”と称されたレビュー劇団が松竹歌劇団(SKD)だ。東京・浅草を本拠に戦後日本を大いに勇気づけた彼女らの後継団体が、今年4月から「STAS・OG東京レビュー」として再スタートを切り注目を集めている。

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レビューの灯を消さないために

 代表の榛名珠利が言う。

「私はSKDの42期生として入団し、解散公演にも出演しました。和物から洋物までさまざまなジャンルが楽しめる、SKDの“東京レビュー”が大好きでした」

 SKDは昭和3年の結成で、最大4000人の観客を収容する浅草国際劇場を拠点に華やかなレビューで人気を集めた。が、昭和50年代に入ると一般家庭へのテレビの普及や娯楽の多様化から観客動員に苦戦。平成元年には“レビュー”の看板を下ろしてミュージカル劇団に再編されたが、平成8年に解散していた。

洋の東西を問わないレビューは健在

 その後、レビューの灯を消したくないという思いから、元トップスターの千羽ちどり、高城美輝といったOGらが、平成4年にレビュー集団「STAS」を結成。若手の一人だった榛名も、メインのダンサーとして参加していた。

「年に3回、浅草を中心に公演してきましたが、昨年末に演出や振付に回っていた先輩OGの方が“30年をひと区切りにSTASを解散する”と。でも、舞台一筋で育ってきた私としては華やかなレビューをなくしたくない。そんな思いが沸き上がり、残ったメンバーたちと新しい集団を作ろうと決意しました」

再出発は16人で

 大元となったSKDは、最盛期には250人を超える劇団員を誇ったものの、解散時はわずか16人。奇しくも今年の4月に浅草花劇場で再出発を飾ったメンバーも16人だった。

「どこか16人という数に運命を感じています。SKDに在籍していたのは私を含めて2人だけ。ほかの14人はSTASから加わった子たちです。4月は1日3回の公演でしたが、いずれも立ち見が出るほどの盛況ぶり。終演後にお客様をお見送りする際“楽しかった”“次回も楽しみにしているわね”と声をかけていただきました。うれしかったです」

 8月22、23日には、レビュー歴3〜4年の若手を中心とする公演を予定している。場所は銀座のライブレストラン「GINZA Lounge ZERO」という。

「東京レビュー」復活へ

 制作を担う吉崎優葵(ゆき)は、前職が小学校の教師という異色の経歴の持ち主だ。

「社会とつながるダンスを創るのが夢。いまはアルバイトで生計を立てながら稽古に励んでいますが、辛いと思ったことはありません」

 次いで10月18、19日には浅草花劇場での本公演が控えている。SKDの“名物”とされたラインダンスはもとより、日舞、洋舞などさまざまなジャンルのレビューショーになる予定だ。

「4年後にはSKDの創立から100周年を迎えるので、ホームグラウンドの浅草公会堂で記念公演をやりたい。大きな節目の年に東京レビュー復活のスタートを切りたい」(榛名)

 自殺者まで出る団員のイジメ問題に揺れた宝塚歌劇団は、ようやく通常営業にめどが。OSKも今春まで放送されたNHK朝ドラ「ブギウギ」の効果で人気がジワジワ復活中だ。

 SKD、STASと形を変えて受け継がれてきた「東京レビュー」で令和時代を席巻できるか。

「週刊新潮」2024年7月4日号 掲載