若年層のハートはがっちり

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視聴率ベスト10に入れる!

「絶対これは、20じゃなく、ベスト10に入れてやろうと思って。とんねるずの意地といいますか、『みなさんのおかです』のスタッフの意地と言いますか」

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 とんねるずの石橋貴明(62)は、「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」(フジテレビ系・6月22日放送)の放送前に、取材陣の前でこう宣言した。結局、平均世帯視聴率は7.7%、平均個人視聴率は4.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)となった。石橋の“気合”が功を奏したのか、同日放送されたフジの全番組で、世帯・個人ともにトップの視聴率だった。

 同番組は、2018年3月に終了したとんねるずの冠番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」(以下、みなおか)のコーナーが基になり、同年11月から特番に。22年までは冬のみの放送だったが、昨年と今年は7月と6月に放送された。“細かすぎる”の看板通り、今まで笑いになりにくいと思われたマニアックなモノマネや、アンダーグラウンドな芸にも光を当て、お笑い・モノマネ芸人の登竜門といえる番組になっている。

若年層のハートはがっちり

 収録後、石橋と出演者のアンタッチャブルの柴田英嗣(48)と山崎弘也(48)が報道陣に取材対応。その席で石橋は、

「絶対(視聴率ランキングの)ベスト10に入れます! これはとんねるずの意地です!」

 と、冒頭でも紹介した「高視聴率獲得」を宣言した。あまりの勢いに、取材陣も思わず聞き入ってしまう一幕があった。

「難しいこと、今から言っちゃおうかな」

石橋 これだけ、今日は絶対言おうと思って、昨日から考えたんですけど。僕、「朝日新聞」と「日刊スポーツ」をとってるんですけど、1週間の「視聴率ベスト20」が出るじゃないですか?(注・朝日新聞が毎週金曜日の朝刊に掲載) この何カ月、フジテレビの番組がベスト20に入ってないんですよ。それを見ていて、旧フジテレビっ子としたら、「何をやってんだ、フジテレビ!」と。絶対これは、20じゃなく、ベスト10に入れてやろうと思って。とんねるずの意地といいますか、「みなさんのおかです(注・「みなおか」の前番組)」のスタッフの意地と言いますか。

 このスタジオの中にも、カメラやんなくてもいいぐらいの偉い奴が現場来てくれて、絵を撮ってくれたり、セット作ってくれてんの。旧「みなさんのおかげです」スタッフがたくさんいるんですよ。

 この番組で、すげー数字が出ると、みんな喜ぶんですよ。スタッフの意地なんですよ。とんねるずの意地なんですよ。だから、絶対ベスト10入れます! 冬(の放送)も。それで来年から少しギャラ上げてくんないかな?

柴田 結局、そこだったんだ。(金に)困ってないでしょ?

山崎 タカさん上がると、我々下がる可能性あるから。

柴田 出れなくなっちゃう可能性あるから。

(石橋は「してやったり」というドヤ顔。周囲は爆笑が巻き起こる)

記者 数字のお話ですが、(視聴率を)何%取りたいとかは?

石橋 ベスト10に絶対入れて、個人(視聴率)、コア(視聴率=13歳から49歳)がっつり取って。「だから、俺たちにやらせろよ!」って感じ。フジテレビが元気がない。さっき、港浩一社長から、あんパンごちそうになったんですけど、差し入れ。「絶対ベスト10に入れますから」(と言ったら港社長が)「頼むぞ! 貴明!」。

記者 元気がないというのは、昔と比べて何が違うんでしょうか?

石橋 難しいこと、今から言っちゃおうかな。悪口になっちゃうかな。

柴田 ひとつ喝くださいよ。

石橋 とにかく、フジテレビはお祭りごとが得意な局だったけど、最近、お祭り事にできなくなってきている。「豚もおだてりゃ木に登る」って感じでテレビをつくっていたのに、今、豚がいない。おだてる人が(いない)。

山崎 誰をおだてりゃいいんだ、と。

石橋 だから、しっかり頑張って、不適切時代の代表、石橋貴明が「テレビとはこういうもんだ」と今のフジテレビのみんなに見せつけてやろうと。

コア視聴率では強みを発揮

 視聴率は上述の通り、6月22日放送のフジの全番組では世帯・個人ともにトップだった。しかし、放送時間がかぶった他局の番組を見ると、テレビ朝日系の「サタデーステーション」(世帯9.2%、個人5.2%)、TBS系「情報7daysニュースキャスター」(世帯10.1%、個人5.8%)には及ばずだった。

 そして、石橋が「トップ10に入れる」と宣言していた「週間視聴率ランキング」(ビデオリサーチ調べ、6月17〜23日)でも、残念ながら希望は叶わず。トップ10入りには平均世帯では1.8%、個人では1%足りなかった。

「最初の『細かすぎて〜』の放送となった18年から22年までは、21年放送の世帯視聴率が9%台だっただけで、他はコンスタントに2ケタを超えていました。特に20年は11.5%を記録しましたが、年に1回の放送だったので視聴者の注目度が高かったと思われます。しかし、年2回放送となった昨年の夏は7.7%で、12月はさらに下落。今回、昨年の冬よりは回復しましたが、冬の放送ではまたダウンしてしまうかもしれません。ただ、各テレビ局が最も重視しているコア視聴率は、トップ5内に入っているそうです」(放送担当記者)

 コア視聴率が重視されるのは、視聴者(13歳〜49歳)の行動範囲が広く、購買意欲も高いことから広告収入に直結しやすいことによる。「細かすぎて」はその層にはしっかり響いているようだが、

「実は収録後の取材会のあと、石橋さんの発言について、フジの広報から『“フジに苦言”のような書き方はやめてくれ』とお達しがありました。そこで各社、『愛のムチ』とか『フジに喝!』という見出しになっていましたが、あれは石橋さんだからこそ言えたこと。決して間違ったことは言っていません。コア視聴率が高いのは、短いネタをテンポよく何本も見せる構成が、今の若い人に受けているからでしょう。ただ、数字を総合的に見てみると、石橋さんにはなかなか厳しい結果といえるかもしれません」(同)

 石橋は同番組で、11月8〜9日に開催する、とんねるずの日本武道館ライブをPRしていたが、このライブも「フジテレビ開局65周年記念事業」である。フジテレビっ子としては失敗させるわけにはいかないだろう。

デイリー新潮編集部