Photo: Florence Ion / Gizmodo

Appleが今月開催したデベロッパカンファレンスWWDC 2024にて発表した、AppleのAI「Apple Intelligence」。今秋リリースされる最新OSで、AIを使った機能(一部)が多く搭載される予定です。が、実はApple Intelligence対応端末には制限があるというのは、すでに明らかになっていること。

例えば、iPhoneなら、現在の最高位機種であるiPhone 15 Pro/ Pro Maxのみでした使用できません。

なぜ、高位機種のみなのか。WWDCの基調講演後に行われたトークセッションにて、Apple上層部が説明しています。

高いモデルを売る戦略なの?

クラウド型のAIでも高位機種だけ?

Apple Intelligenceの使用端末制限についてそう感じた人は少なくないはず。トークセッションのMCであるテック系ブロガーJohn Gruber氏が、その思いを直接Appleのエラい人にぶつけました。

新しいiPhoneを売る作戦じゃないのね?

セッションに参加したAppleのAIトップ、ジョン・ジャナンドレア氏、ソフトウェアトップのクレイグ・フェデリギ氏、マーケティングトップのグレッグ・ジョスウィアク氏の答えは、もちろんNO。

だとしたら、最新のiPad、Macだけしか使えないとしておくのが賢いのでしょうけどね。

と苦笑い。

問題は、AIが考え予測を行うプロセス「推論(インファレンス)」。

単純にいえば、これはAIがリアクションするのにかかる時間のことです。ジャナンドレア氏は、大規模言語モデルでは、ここに莫大な計算コストがかかると説明。

理論上ではかなり古い端末でもAIモデルを走らせることはできます。しかし、あまりにスピードが遅く、使えるレベルにはないのです。

AIを可能にするさまざまな要素

パソコンの肝となるスペックといえば、CPUとGPU。近年のAI強化によって、NPUという言葉も頻繁に耳にするようになりました。NPUとは、AIタスクを専門に処理してくれるプロセッサですが、その性能指標となるのがTOPS。

AppleがインテルチップからARMベースの自社チップに移行をはじめた2020年。Apple Intelligence対応モデルに搭載されているM1チップにはすでにNPU能力があったものの、その力は11TOPS。M2チップは15.8TOPS。最新iPad Proに搭載されているM4チップが38TOPS。

iPhoneなどに搭載されているAチップシリーズ。最新版のiPhone 15 ProにはA17チップが搭載されています。が、iPhone 14 Proに搭載されているA16 Bionicでも、17TOPSの能力があるのですが…。しかし、AppleいわくチップだけがAIモデルを利用できる条件にはならないといいます。

チップが最重要なのはもちろん、他にもさまざまな端末構成要素の条件があり、メモリもその1つ。14 Proは6GBなのに対し、15 Proは8GBなんですね。

…こうなってくると、Apple Intelligence発表後に発表されるiPhone 16のスペックが楽しみですね。

AI対象端末を拡大するSamsung

AI機能搭載スマートフォンで少し先を行くSamsung。最新機種のGalaxy S24のみで使えた機能が拡大し、はやくもGalaxy S23でも使えるように。中価格帯のGalaxy S23 FEも対象なのは太っ腹です。(しかし、もちろん端末によって、S24で使えるすべてのAI機能が使えるわけではありません。)

今後、Appleも少しずつより多くの端末で機能が解放されていく可能性は十分にあります。

ちなみに、今回のWWDCで話題となった「Math Notes」機能は、フェデリギ氏いわくApple Intelligenceで構築されているわけではないので、古い端末でも使えるようになるとのこと。普通の人が、機能説明だけで何がApple Intelligenceで何がそうではないのかを見極めるのはちょっと難しそうですね…。

AppleのAIトップジョン・ジャナンドレア氏も交えてのApple Intelligenceに関するトークは1:16:15あたり。