昨春、無事大学に入学した鈴木福さん。朝の情報番組『ZIP!』の木曜パーソナリティに最年少で抜擢され、早朝の現場をこなしつつも大学に通い、学業と芸能活動の両立を続けています。芸能活動をしながらの受験勉強についてや、「芸能人だからコネで入学した」という心ない誹謗中傷に対しての率直な思いについて聞きました。(全2回中の2回)

【画像】ちょっと待って…色気がすごいんですが!と話題 20歳になった福さんの“大人のオトコ”なショット ほか(全7枚)

仕事と受験準備の両立は「楽しみながら」やっていた

『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』より

── 大学受験をされて、今は大学に通われていますよね。大学進学への道を選んだ理由は?

鈴木さん:そもそも周りから「大学には行ったほうがいいよ」って言われることが多かったんです。仕事をもっと頑張っていこうと思っていた時期でもあったので、自分ではあまりピンときていなかったのですが…。周りの意見を聞いていて「大学行くのもいいかも」と思い始めました。

いろいろ調べていくうちに、大学で勉強するのって楽しそう!と思うようになり、「こういうことをやってみたい」というのが出てきたりして。だから1年間ぐらいは本当に楽しみながら、受験の準備をしていたかな。

── とはいえ、仕事が忙しい合間を縫っての準備ですよね。撮影現場に勉強の道具を持っていったりして、睡眠や遊びを削りつつ、という感じだったのでしょうか。

鈴木さん:もともと常に仕事をしている意識があるので、遊びの時間を削るとか、そういう感覚はあまりなくて。遊びに行くのも、スケジュールが空いていたら行く、みたいな感じなんです。だから、仕事にプラスして「受験への準備」というやるべきこと、というかやりたいことがひとつ増えた、という感じでした。とにかく、たくさん本を読みましたね。

── 仕事の合間に? 

鈴木さん:そうですね。車の移動中に本を読んだり、文章を打ったり。テストの前日まで地方にいることも多かったです。だからこそ常にいい成績を取れるように、日々準備はしていました。

── 世の中のお母さんは、福さんの勉強術を知りたいと思うのですが(笑)。 

鈴木さん:僕の場合は、一般受験と違うAO入試だったので、やっぱり特殊な部分はあります。「芸能人だから入れたんでしょ」なんて声も聞こえてきたけど、周りの人たちは僕がそれなりにやっていたことを知ってくれています。もちろん「受験のために8時間勉強しました!」というような時間は取れなかったけど…。逆に言うと、僕にとっては、仕事を精一杯頑張ることも受験の一部だと思っていたんです。

『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』より

── そういった心ない声にイヤな気持ちになったりしませんでしたか? 

鈴木さん:知らない人がそう言っていることは、残念だなぁとは思います。でも、気持ちはわからなくもないな、というか。本当に一生懸命勉強した人たちに、僕が勝てると思わないし。

でも、僕は僕なりの道で頑張っていたわけで。面と向かってそう言われたら「ごめんなさい」ってなるけど、僕の周りで一緒に授業を受けている子たちでそういうことを言ってくる人はいないから。周りの子たちは、「福を見てると、頑張らなきゃって思う」と言ってくれてるし、僕はメンタルが強いほうなので(笑)。周りがわかってくれていることに感謝ですね。

大学での学びを生かし、俳優「鈴木福」をつくり上げたい

── 今は大学でどういうことを学んでいますか?

鈴木さん:いろいろ学んでいる最中で、「これをやってます」と言えるようになるのはまだ先なんですけど。ただ「俳優をやりながら大学生をやる」程度なら簡単なこと。ただただ卒業のために、誰にでも書けるような論文を書くのではなく、何か自分にしかできないことをしたいです。そう思いながら、日々勉強しているところです。

『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』より

── 俳優という仕事に、いま学んでいることをどう生かしていきたいですか。

鈴木さん:大学生としての学問や研究をしたうえでの「鈴木福」をつくり上げられたらな、というのはすごく思います。世の中には、まだ自分の知らない世界があふれています。大学には「この人、何者なんだ!?」っていう人がいっぱいいて、とても刺激になっています。学問の分野からお芝居につなげられることも意外にあったりして。

── 今は『ZIP!』のコメンテーターなどもなさっていて、仕事の幅もさらに広げていらっしゃいますよね。

鈴木さん:僕じゃなくて専門的な人がしゃべったほうがいいんだろうな、と思うこともあります。でも、現場で「ありがとう」と言われることが、仕事を頑張る力になる。だから僕もそれに応えるように、いろいろと吸収していきたいです。そのために日々の勉強やリサーチは、欠かさないようにしています。

── これからどんなふうに活躍していきたいですか?

鈴木さん:最近では、SNS上にも動画があふれていて、作品を倍速で観る人も増えていると聞きます。だからこそ僕は、倍速ではもったいないと思えるくらいの作品を増やしたいです。つい映画館に足を運びたくなるような、そんな作品に携わっていけたらと思います。

日本に影響を及ぼすエンターテイメントに携わっていけたらうれしいな、と思うようになったのも、大学に進学して、いろいろな人に出会えたから。今は大学で、そのためにどんなことをできるかを学んでいる最中です。自分の俳優業を僕の視点で開いていくっていうのも、きっと僕ができることとしておもしろいことだと思っているので、それができたらと思っています。

PROFILE 鈴木 福さん

俳優。2004年東京都生まれ。1歳より芸能活動を開始。2011年に7歳でドラマ『マルモのおきて』に出演し、注目を集める。同ドラマ主題歌として、「薫と友樹、たまにムック。」名義でシングル「マル・マル・モリ・モリ!」が大ヒットし、『第62回NHK紅白歌合戦』に史上最年少で出場。現在は大学に通いながら、『ZIP!』の新木曜パーソナリティーに最年少で抜擢されるなど、さらに活躍の場を広げている。今年6月には、初のフォトエッセイ『笑う門には福来る 20年間の笑顔と感謝』(主婦と生活社)を上梓。

取材・文/松崎愛香 写真提供/テアトルエンターテインメント、大逈 円(昭和基地\50)