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階段の上り下りがない平屋の家が人気です。日刊住まいライターは、建物をコの字型に、中庭のあるプランを採用。結果、どの部屋も日当たり良好で、アウトドアリビングも楽しめる住まいになりました。一方で、生活動線には気になる点も。とくにキッチンの位置には後悔しています。2年住んだ感想をリアルにレポート。

※記事の初出は2023年6月。年齢を含め内容は執筆時の状況です。

プライベートな空間を確保したいとコの字型の平屋に

筆者は2年前平屋の家を建てました。現在、夫と子ども4人(9歳、6歳、3歳、2歳)の6人で暮らしています。

家を建てるために用意していた土地は、南北に長い土地でした。家事もラクで歳をとっても暮らしやすい家にしたいと考え平屋を希望。しかし、平屋の場合、南側以外の部屋では日当たりの確保が難しいイメージが…。

その懸念をハウスメーカーに伝えると、提案されたのがコの字型プランです。

 

間取りは、南側にリビング(写真の図面左側)、そして中庭をはさんで北側には子ども部屋などの個室を設けるプランです。

南北から光が入る明るいLDKで、家族が集えるのがいいなと思いました。また、中庭で区切られることで、個室のプライバシーが確保できるのも魅力。このプランを採用することにしたのです。

ちなみにコの字のひらけている部分の中庭の広さは、約10畳です。

 

日当たり良好&アウトドアリビングで子どもも楽しめる

暮らしてみると、この間取りにして大正解でした。理由は4つあります。

 

1.北側に位置する部屋も明るい

子ども部屋を子どものために使用する年月は、実質的に数年程度。とはいえ、日当たりが悪くなることは絶対に避けたかった筆者。幼少時代に、日当たりがよい部屋と悪い部屋とで部屋の雰囲気がかなり違うことを感じていたためです。

コの字型にしたことで、北側の子ども部屋も十分な日当たりを確保できました。

 

2.中庭はプライベート空間として活用できる

リビングとつながっている中庭は、アウトドアリビング兼公園みたいな場所。目が行き届きやすく、子どもたちが遊ぶ空間として大活躍しています。

わが家は中庭でバーベキューをすることもあり、その際に、キッチンからもスムーズな動線で食材を持ち運ぶのにも便利です。適度に日陰ができるため、真夏でも比較的過ごしやすいです。

 

3.解放感も感じられる!窓が多くなり風通しもよい

中庭に面しているリビングや和室、子ども部屋は風通しも抜群です。とくに南側と北側の2方向の窓をあけられるリビングはかなり風が通り、開放感も得られます。

 

4.各部屋のプライバシーも確保できる

コの字型の平屋では、リビングと個室が離れている点もメリット。リビングと個室の間にある中庭が、距離を稼いでくれるためです。

わが家の場合、個室に入ってしまえば、リビングからのテレビ音声や話し声などは、ほとんど聞こえません。たとえば夜に大人がリビングでにぎやかにしていても、子どもはしっかり眠りにつけます。

コの字型の間取りにはちょっと気になる点もある

一方で、2年住んでみて少し気になる点もありました。

 

●動線が長い

リビングから水回り、子ども部屋までは距離がある点はデメリットかもしれません。大人は子ども部屋までまめに足を運ばないせいなのか、ときどき見に行くとかなり散らかっていることも。

子どもの方も、学校で使用するものを部屋まで片づけに行くのが面倒な様子。毎日使用する学校関連のものは、リビングに置いています。

このように、建物がコの字型だと、建物がない部分を回り道することに。どうしても動線が長くなりがちになり、結果、不都合が生じることになるのです。

余談ですが、「コの字型のせいで」というわけではないのですが、ほかにも動線についてちょっと残念なことがあります。

ひとつは、玄関とキッチンの距離が遠くなってしまったこと。もしも、玄関から入ってすぐキッチンがあれば、買い物してきたものを置きやすかったことでしょう。現状の間取りにしたのは、玄関にいる来客からキッチンを見せたくなかったためです。

もうひとつは、キッチンから、洗面所と浴室を離れた配置にしてしまったこと。よく言われていることですが、この3つがまとまった間取りになっていると、動線が短くなるので、もっと効率的に家事ができたように思います。

 

●中庭の外に開いている方角は視線が気になる

コの字の開いている方向は、視線が気になることがあります。わが家の場合、和室から見える場所は畑で、ときどき農作業をしている方がいます。さらにその奥は道路になっており、距離があるものの人目が気になり、和室は窓があけられませんでした。

 

そこで、視線をさえぎるために柵を設置。畑からの視線をシャットアウトでき、プライベート感もアップしました。

 

ただし、あまり外から完全に隠してしまうのは防犯面で心配だったので、柵は高くしすぎず、また角度によって中の様子もわかるような柵をチョイスしました。さらに、中庭にも防犯カメラを設置しています。

 

●吹きだまりになるため掃除が必要

もうひとつ気になるのが、枯葉がたまりやすい点です。冬はけっこう枯葉がたまるため、定期的に掃き掃除する必要があります。

以上、わが家を例に、コの字の家のメリットやデメリットを語ってきました。筆者は、日当たりがよく、アウトドアリビングとして使える中庭にとても満足。このプランを採用してよかったと思っています。