F1モナコGPの”盛り下がり”の元凶はルール「改悪」にあり レギュレーションを精査する時期に来ているのでは?

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開始早々のクラッシュで赤旗中断となったモナコGPは、ドライバーにとってフラストレーションがたまるものだった(C)Getty Images

 F1モナコGPが単調に終わったことでスポーティングレギュレーションの問題点が浮き彫りになった。特に決勝では1周目の多重クラッシュで赤旗中断となったが、中断中にタイヤ交換が認められており、ほとんどのマシンが70周以上もある残り周回を再レース直前に履き替えたタイヤで走りきり、ほとんど順位に変動はなかった。各車がタイヤをいたわって超スローペースで走ったことで、フラストレーションを訴えるドライバーが続出した。

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 海外メディアによると、6位に沈んだレッドブルのマックス・フェルスタッペンも「皆が赤旗後にフリーストップ(自由にタイヤ交換)ができたため、最後まで(ハードよりも性能低下が速い)ミディアムタイヤを履かなければならず、僕たちの戦略はぶちこわしとなった」と首を傾げた。

 赤旗中断時のタイヤ交換以外に「改悪」になったといわれてもおかしくないルールが近年になって採用されている。例えば、業界では「ヨンダツ」とも呼ばれるトラックリミット違反だ。コース外走行を制限するルールで、予選アタックなどではラップタイム抹消などの処分が下されるなど妥当な面がある。問題は決勝中だ。

 違反が確認されて警告を受けた後に再犯した場合は、10秒のペナルティータイムを科されるケースがほとんどとされるが、違反の疑いがある走行の件数が膨大で審議する側がすべての事案を監視できない恐れもある。それにコックピット内で寝そべりながらドライブするドライバーの目線の高さは低く、違反に注意しながら走るのは難しいとドライバーからの苦情もひっきりなしにある。

 このほかペナルティー方式が細分化されたこともマイナスに作用しているという。レース中のペナルティーとして、以前は軽微な違反にはピットレーンを減速して通過するドライブスルーが科され、それより重い場合はピット作業をせずに指定の場所で10秒間停車するストップアンドゴーが主な罰則だった。

 が、近年では5秒と10秒のピットストップペナルティーも追加され、ペナルティー消化後にそのままピット作業が認められる場合もある。特に単純明快なドライブスルーが適用されるケースが少なくなっている傾向にあり、レース展開をややこしくさせている。このほか速いマシンは罰則として受けたタイム分をコース上で稼ぐことも可能で、不公平な面もあるという。

 これらのルールがF1での「三大・改悪」と呼ばれているかは定かではないが、今回のモナコGPのように白熱するはずのレース展開に水を差すこともある。改めてスポーティングレギュレーションの隅々を精査する時期には来ている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]