SOUNDPEATSの低価格で多機能なヘッドホン「Space」を試す

ワイヤレスオーディオ製品を手がける「SOUNDPEATS(サウンドピーツ)」が2023年11月から多機能なワイヤレスヘッドホン「SOUNDPEATS Space(サウンドピーツ・スペース)」(以下、Space)を販売している。

同社の公式Webサイトや大手Webストア「Amazon.co.jp」のほか、SOUNDPEATS取扱店で販売されており、公式WebサイトやAmazon.co.jpでの価格(金額はすべて税込)は6,980円となっている。

本機はハイエンドモデルではないものの、ハイエンドモデルと遜色がないほど充実の多機能・高機能モデルに仕上がっているのが特徴だ。今回はこのSpaceをメーカーから提供いただいたので、パッケージや同梱品、外観に加え、特徴や使用感、アプリ操作などを写真を交えながらレビューしていく。

■開封、同梱品をチェック



個装箱正面



個装箱底面



個装箱を手で持ったところ

SOUNDPEATSは2011年に中国で設立されたオーディオ製品を中心に手がけるメーカーだ。日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカなどのグローバル市場で製品を展開している。本ブログメディア「S-MAX」でもこれまでにSOUNDPEATSの製品をレビューしているが、ワイヤレスイヤホンのみで、オーバーヘッドタイプのヘッドホンをレビューするのは今回のSpaceが初めてとなる。


個装箱の上蓋を開けたところ



個装箱内の緩衝材(スポンジ)を取り出したところ



すべての内容物

内容物はヘッドホン本体の他に
・USBケーブル(USB Type-C)
・AUXケーブル
・User Guide(取扱説明書)
・SOUNDPEATS APP INTRODUCTION(アプリに関するガイド用紙)
が同梱されている。


取扱説明書は7言語に対応



取扱説明書の日本語ページ(初回使用、ペアリング、リセット、ノイキャン切り替え)



取扱説明書の日本語ページ(マルチポイント、有線モード、製品図解)



取扱説明書の日本語ページ(ボタン操作、装着方法、充電について)

取扱説明書は全45ページの小さな冊子で、対応言語は
・English(英語)
・Deutsch(ドイツ語)
・Francais(フランス語)
・Espanol(スペイン語)
・Italiano(イタリア語)
・日本語
・中文
の7言語で記載されている。そのため、1言語あたり6〜7ページの説明で、34ページから39ページまでが日本語ページになっている。

■本体の操作や仕様をチェック



左から「ブラック」「ホワイト」「イエロー」

本体のカラーバリエーションは「ブラック」「ホワイト」「イエロー」の3色展開。今回レビューで使用しているのは「イエロー」だが、実際の色味は一般的な「黄色」ではなく「ベージュ」となっている。デザイン的にはよくあるヘッドホンだが、イヤーカップの外側にSOUNDPEATSのロゴの「S」が大きく描かれている点が特徴だ。


ヘッドホン正面



イヤーカップを回転させた状態



折りたたんだ状態



イヤーパッド



ヘッドバンド

イヤーカップを90度回転させて、簡易なスピーカーとしても使うことができる。ローエンドやミドルクラスのモデルの場合、折りたためない製品も多いが、Spaceはイヤーカップ部分を折りたたんでコンパクトな状態で持ち運びできる。なお、ヘッドホンやケーブルなどを収納するためのケースやポーチは付属していない。

イヤーパッドやヘッドバンド部分には、低反発素材を使用しているため「フカフカ感」はそれほど得られないが、柔らかいプロテインレザーで覆われているため、肌触りはとても良い。


本体のサイズ



装着した状態の右側



装着した状態の左側



首にかけた状態

本体サイズは、長さが約163.39mm、幅が約188.21mm、高さが約84.32mm、重量は約264g。やや小ぶりのヘッドホンのため小柄な女性が身に着けていてもゴツさは感じにくい。かといって、オンイヤータイプの小さめヘッドホンほど小さくはなく、イヤーカップもしっかりと耳を覆うタイプのため、それなりの大きさがあり、全体的には絶妙なサイズ感を実現しているといえる。ただ、本体カラーによって、見た目のサイズ感や重量感の印象は異なるだろう。

今回、撮影に協力していただいた長真由美(おさまゆみ)さんは、身長150cmを下回る小柄な女性で、装着時のヘッドホンの大きさや存在感はそれなりにあるものの、ゴツいと感じるほどではなく、首にかけた際も同様の印象だった。


右側(R)のイヤーカップの側面

右側(R)のイヤーカップ側面には上下キーと電源ボタン、3.5mmのイヤホンジャックを搭載している。ボタンは細めでおしゃれ感があるもの、やや押しにくさは感じた。電源ボタンは長押しだが、あまり強く押し続けるとボタンの戻りがよくなかった。ボタン全体を押し込むのではなく、3.5mmイヤホンジャック側の半分を押すだけで操作がしやすくなった。

また、ワイヤレスヘッドホンではあるものの、音楽プレーヤーとAUXケーブルで接続することもでき、ケーブル接続ではハイレゾに対応している。なお、ワイヤレスにおける対応コーデックはAACとSBC。


左側(L)のイヤーカップの側面



左側(L)のイヤーカップ側面にはLEDランプを搭載

左側(L)のイヤーカップ側面にはANC(アクティブノイズキャンセリング)ボタンとUSB Type-Cコネクタ、LEDランプを搭載している。ANCボタンは短押しで「ANCオン」「ノーマルモード」「パススルー」のアナウンスが流れ、それぞれANCがオンの状態、ANCオフの通常モード、外音取込モードの順に切り替えることができる。

LEDランプはノイキャンがオフ状態の「ノーマルモード」以外で利用している際は、白く点灯し続ける仕様となっている。小さなランプではあるが、暗所で利用する場合などで点灯をさせたくない場合はノーマルモードに切り替えて利用するしかない。

外音取込モードは、本体に搭載されているマイクを通じて外の音を取り込み、音声再生を切っている状態であれば、まるでヘッドホンを装着していないかのように周囲の音が聞こえるというもの。耳を覆っていても外音が聞こえることで普通に会話などもできる。

Spaceの外音取込モードは、切り替えた瞬間はやや誇張された違和感のある音だと感じたが、次第に慣れて違和感を抱かなくなったため、普段使うには大きな問題はない印象だ。


40mmのドライバーを搭載

ワイヤレスイヤホンとワイヤレスヘッドホンのもっとも異なる点は、本体の大きさであり、大きいが故のメリットがある。まずは搭載できるドライバー(スピーカーユニット)が大きくできる点だ。

Spaceは40mmの大口径ドライバーを搭載している。一般的なワイヤレスイヤホンが10mm程度であることを考えれば約3〜4倍のドライバーを搭載していることになる。その分、音質などが良くなる効果が得られる。


長時間の利用ができる

もうひとつのメリットが、内蔵バッテリーだ。本体が大きくなればその分、バッテリーを搭載することもできる。Spaceは1000mAhの内蔵バッテリーを搭載しており、ノーマルモードであれば最大で123時間の長時間利用が可能だ。例えば1日4時間程度利用した場合で、1カ月以上は充電せずに使い続けることができる。

ワイヤレスイヤホンの場合、製品にもよるがイヤホン本体だけで7〜10時間、充電ケースと併用して最大20時間〜30時間の利用ができる。目安としては、充電ケースと併用して24時間以上利用できれば長時間利用が可能な製品といえる。そう考えると、Spaceは単体で最大123時間、ANCオン状態でも最大61時間利用できるというのは、かなり安心して使えるだろう。


マルチポイント機能

最近では珍しい機能ではなくなってきたが、Spaceにはマルチポイント接続というワイヤレスで2つの機器(プレーヤー)に同時接続できる機能も搭載している。ワイヤレスはBluetoothによる接続だが、ペアリングをした機器と2台までアクティブに接続ができる。

例えば、スマホとパソコン(PC)、もしくはスマホ2台など、同時に接続状態を保つことができる。一般的なシングル接続であれば、スマホで音楽を聴いていた後、PCでYouTubeを視聴したいと思った時、スマホ側で一旦Bluetoothをオフにするなどしてヘッドホンとのアクティブな接続を切り、その後、PC側のBluetooth設定から接続するヘッドホンを選択するという操作が必要だが、その操作が必要なくなるということだ。

Spaceでは、後から音声再生した機器を優先する仕様になっており、例えばスマホで音楽視聴している間に、PCでYouTubeを再生すると、YouTubeの音声に自動的に切り替わる。

このマルチポイント機能は2台の機器の音声を同時に再生するのではなく、有効にしたい機器を手動で切り替えることなく、どちらかの音声が優先して聞えるという機能である。

■SoundPeatsアプリ



接続中製品のホーム画面

ここからは専用アプリ「SoundPeats」について解説する。スマホにアプリをインストールした後にアプリを起動し、メールアドレスとパスワードを設定してユーザー登録(アカウント作成)をする。既にアカウントを持っている場合は、この操作は必要とせず、接続している機器、今回であればSpaceのホーム画面に推移する。

ここではホーム画面左上の3本線メニューと、ホーム画面左下にあるイコライザーアイコンをタップして推移する「カスタマイズ」について解説する。

ホーム画面左上の3本線メニューをタップするとメニュー画面が表示され、
・ファームウェアアップデート
・メッセージ
・設定
・SOUNDPEATS APPについて
・ログアウト
の5つの項目が並ぶ。この中でファームウェアアップデートをタップすると、Spaceのファームウェアアップデートができる。

ファームウェアアップデートは頻繁に使う項目ではないが、その他の項目はさらに使う頻度が少ないと思われる。筆者もこの3本線メニューを開けることすらせず、特に問題もなく利用している。


「カスタマイズ」画面(画像=左)、「プリセット」画面(画像=中央)、「イコライザー(EQ)カスタマイズ」(画像=右)

ホーム画面左下のイコライザーアイコンをタップすると「カスタマイズ」画面に推移する。カスタマイズでは
・ボリュームコントロール
・アダプティブイコライザー
・イコライザー(EQ):プリセット/カスタマイズ
・ノイズキャンセリング
・ゲームモード
・マルチポイント
の6つの項目について設定や操作ができる。

イコライザー(EQ)の項目には「プリセット」と「カスタマイズ」のどちらかが選択できるようになっており、「プリセット」の「>」をタップすると
・SOUNDPEATSクラシック
・低音強調
・低音低減
・電子音
・ロック
・民謡
・高音域の強調
・ポップ
・クラシック
の9種類のプリセットイコライザーから1つを選択できる。

一方、「イコライザー(EQ)カスタマイズ」の「>」をタップすると、低音から高音まで好みのレベルにカスタマイズできる「イコライザー(EQ)カスタマイズ」画面に推移する。ここでは10の周波数をそれぞれ+6から−6まで1段階ずつの調整が可能だ。

また、「カスタマイズ」画面にある「ノイズキャンセリング」は「ANCモード」「通常モード」「外音取り込みモード」のアイコンをそれぞれタップして切り替えることができる。

「ゲームモード」は低遅延モードのことで、デフォルト(初期値)ではオフになっているため、有効にしたい場合は、オンに切り替える必要がある。


マルチポイントをオフにした場合の画面

「マルチポイント」は、デフォルトでオンの状態になっている。右側のスイッチボタンをタップするとオンとオフの切り替えができるが、マルチポイントについてはオンオフ設定の切り替え時にヘッドホンの再起動が必要になるため、確認画面が表示される。


左から、アダプティブイコライザーの「操作の説明」画面、操作説明の2ページめ、測定中の画面、「テストレポート」の画面

「アダプティブイコライザー」は聴覚テストを実施してより最適な音質で視聴できる機能。「カスタマイズ」画面で「アダプティブイコライザー」の「詳細」をタップすると聴覚テストの画面に推移する。

注意事項を確認し、「準備ができました」をタップするとテストが開始する。様々な周波数の音が再生されるので、聞こえれば「音を聞こえる(タップ)」をタップするだけでよい。1分程度の聴覚テストが完了すると「テストレポート」の画面に推移し「最適なEQカーブ」を確認できる。

この画面でもう1度テストをやり直したい場合は画面左下の「もう一度テストする」をタップ、決定する場合は画面右下の「スタート」をタップする。もちろん確定後も聴覚テストは何度でもやり直すことができる。かなり小さな音の聞き分けも必要なため、この聴覚テストはできるだけ静かな場所で実施する必要がある。

アダプティブイコライザーと前述のプリセットイコライザーおよびカスタマイズイコライザーは併用できないため、いずれか1つを選択して利用することになる。

たとえアダプティブイコライザーで聴覚テストをしてオンにしていても、その後にプリセットイコライザーを選択すると、アダプティブイコライザーは自動でオフになってしまうので注意しよう。


1万円を大きく下回る価格ながら、ハイエンド並みの充実機能で満足度はかなり高い製品といえるだろう。特にANC、外音取込、マルチポイント、アダプティブイコライザー、ゲームモード(低遅延モード)に対応しているのは、オススメできるポイントだ。

ここまで音質については、あまり触れてこなかったが、こう見えて意外に爆音・低音強めなパワフル仕様であることも付け加えておこう。

基本的には低音もしっかり再生させており、再生する音声にもよるが、MAXボリュームにするとドライバー(スピーカーユニット)が大きくブルブルと揺れ、音圧を感じることができる。耳への負担を考えると破壊力強めの音楽でMAXボリュームはオススメしないが、仕様としてはかなりパワフルな出力が可能な製品といえる。


撮影協力:長真由美(おさまゆみ)さん
圧倒的な歌唱力と声量に加え、4つの倍音などによる美声を併せ持つ20歳のシンガー。京セラドーム大阪でプロ野球の試合前セレモニーで国歌独唱など幅広く活動している



アプリ名:SoundPeats
価格:無料
カテゴリー:カスタマイズ
開発者:Shenzhen Ginto E-Commerce Co.,Limited
バージョン:1.2.28
Android 要件:7.1 以上
Google Play Store:https://play.google.com/store/apps/details?hl=ja&id=com.thirtydays.headset&hl=ja&gl=US



アプリ名:SOUNDPEATS
価格:無料
カテゴリー:ユーティリティ
開発者:勇 杨
バージョン:1.2.7
互換性:iOS 13.0以降またはvisionOS 1.0以降、macOS 11.0以降とApple M1以降のチップを搭載したMacが必要です。
App Store:https://itunes.apple.com/jp/app/id1591177550?mt=8





SOUNDPEATS(サウンドピーツ) Space ワイヤレス ヘッドホン Bluetooth 5.3 アクティブノイズキャンセリング マルチポイント対応 最大123時間連続再生 軽量 折りたたみ可能 専用アプリ対応 ヘッドホン 有線/無線 (ブラック)
SoundPEATS(サウンドピーツ)



SOUNDPEATS(サウンドピーツ) Space ワイヤレス ヘッドホン Bluetooth 5.3 アクティブノイズキャンセリング マルチポイント対応 最大123時間連続再生 軽量 折りたたみ可能 専用アプリ対応 ヘッドホン 有線/無線 (ホワイト)
SoundPEATS(サウンドピーツ)



記事執筆:2106bpm(つとむびーぴーえむ)


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