アメリカンイーグル(American Eagle)やエアリー(Aerie)などの親会社であるアメリカンイーグルアウトフィッターズ(American Eagle Outfitters)は3月7日、新たな3カ年成長計画を発表した。

多くの成長計画と同様に、この計画もまた野心的であり、今後3年間で年間3〜5%の売上成長と10%の利益率向上を約束している。同社の2023年度第4四半期決算は4%の増収を達成し、同社が正しい軌道に乗っていることを示唆したが、最近では多くの上場ファッションブランドにとって、3年どころか1年先の増収の予測でさえ難しい課題だということが判明している。

3月初頭の決算報告では、ファッション業界最大手数社の成長目標や収益目標の状況がどのようになっているのかが明らかになった。

売上が予想を下回ったブランド2社



たとえば、ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)の決算では、リブランディングの努力が報われていないことがわかった。同社の今年の売上は60億ドル(約8845.6億円)で、2023年から2億ドル(約303億7720万円)近く減少する見込みだ。ヴィクトリアズ・シークレットの経営陣は、水着への投資を増やしたり、ファッションショーを再開したりすることで、顧客獲得と維持を促進させ、失われた市場価値を取り戻すことを期待していた。

GAP(ギャップ)は3月初頭に、売上予想を140億ドル(約2兆円)横ばいに修正した。これによって同社の売上高は昨年並みとなり、アナリストの予想売上高を下回ることとなった。ここ数四半期、GAPはバナナ・リパブリック(Banana Republic)とアスレタ(Athleta)の売上減少もあり、売上高に打撃を受けている。しかし前四半期はオールドネイビー(Old Navy)の売上が2%増加したことから、売上が4%増加したGAPブランドとともに、オールドネイビーが今年の主な成長の原動力になることが示唆された。

順調に成長するルルレモン



一方、ルルレモン(Lululemon)は、「パワー・オブ・スリー x 2(Power of Three x 2)」という独自の成長計画に関して、比較的順調に推移している。

2022年に発表されたこの計画は、2021年の売上高62億5000万ドル(約9210億1000万円)を2026年までに125億ドル(約1兆8000億円)に倍増させることを目標としていた。3月5日に報じられたように、2023年度第4四半期の売上高は前年同期比15%増の30億ドル(約4420億8000万円)超となっている。これにより、ルルレモンは年間125億ドル(約1兆8000億円)という目標に大きく近づいた。同社の経営陣は、2026年の目標を達成するとの考えを改めて表明した。

特に、大量解雇やインフレといった要因による市場の混乱が続くなかで、収益目標を予測することはより困難になっている。たとえばラグジュアリー業界は、昨年末までのラグジュアリー消費の落ち込みに油断していたようで、ファーフェッチ(Farfetch)やマッチズ(Matches)の売却といった驚きの事態を招いている。

[原文:Weekend Briefing: Fashion companies’ growth is increasingly hard to predict]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida、編集:都築成果)