川上麻衣子さん

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女優・川上麻衣子さんの暮らしのエッセー。 一般社団法人「ねこと今日」の理事長を務め、愛猫家としても知られる川上さんが、猫のこと、50代の暮らしのこと、食のこと、出生地でありその後も定期的に訪れるスウェーデンのことなどを写真と文章でつづります。今回は「白髪染めて半年」経っての現状について。中途半端な白髪への対策について語ります。

【写真】美容室で「白髪問題」に悩む川上麻衣子さん

春という季節に教えられる人生の楽しみ方

今年もまた桜を愛でることができたことに感謝。そして季節は春を迎えました。

近頃すっかり早起きが身についた私は、桜の木につぼみがついたときから毎日のように散歩をして、日々変わる景色を今年は存分に楽しみました。はかないからこそ愛される桜に春の息吹を感じ、移り行く季節を実感します。

時は刻まれ、立ち止まることができないのが人生。早起きした朝はなにはともあれ、生まれてきて初めて生きる「今日という新しい1日」をワクワクした気持ちで始めたいもの。

なにしろたくさんの年月を積み重ねて訪れた、今日という新しい日なのですから人生において「今日がいちばん幸せな日」と感謝して1日をスタートさせよう、と最近心に決めています。うれしいことも、悲しいことも、生きているからこその積み重ね。いつかは消えてしまうものだから、美しく今を生きたい。そんなことを桜が教えてくれるようです。

白髪染めをやめて半年の実態は?

そうは言いつつ、人間の場合は「散り際」がどうにも厄介ですから、なかなか桜のように潔くいかないのも事実です。

テーマはグッと現実的な事柄に引き戻されますが、以前お伝えしてとても反響をいただいた「白髪染めをやめてみました」のその後の経過を少し報告させていただきます。

白髪染めをやめてから3か月でもう少し様子を見ると決断したのですが、そこからさらに3か月が過ぎたところです。つまり6か月目に突入したのですが、いやはやこれは相当に根気のいる作業だということを感じています。

反響をいただいたご意見の中にも、この中途半端な時期をいかに乗り越えるかに苦労されている諸先輩方がたくさんいらっしゃいました。

そうなんです。白髪を受け入れようと決意はしたものの、やってみると意外に白髪のパワーがいまひとつなために、どっちつかずの中途半端に心悩ませる方が多いことを、身をもって実感しています。

「あなたは一体どうしたいの? どこに向かっているの?」

髪の毛が今にもそう語りかけてきそうです。白い部分は確実にその幅を増してきている一方で、黒髪の量はじつはまだまだ圧倒的に多いというのが還暦前世代の平均的な現状かもしれません。

40年来の美容師に「白髪が中途半端」問題を相談

さぁ、どうしたものか、と次のステップを探すべく、まずは長年カットをお願いしている美容師さんを訪ね相談してみることにしました。

じつはその美容師さんとの出会いはさかのぼること40年。途中、数える程度、ほかの美容師さんにカットしてもらうことはありましたが、最終的にはやはり骨格も髪質も熟知している彼のもとに戻ってしまいます。私にとって信頼のおける唯一無二の美容師さんです。

10代でデビューしていた私のことを、当時所属していた事務所の社長が、あか抜けさせたいとでも思ったのでしょう。六本木からほど近い乃木坂にあった、当時としてはまだ珍しい先進的なガラス張りの大きなヘアサロン「アトリエGORO」へと連れて行ってもらったのがきっかけです。時代の先端をいくその場所に足を踏み入れたときの緊張は今でもよく覚えています。

そこで担当してくれたのが、当時はまだ新人だった男性です。以来40年近い年月。変わらずにカットをしていただいているというわけです。

昭和の人間としては近年の髪をすくような方法ではなく、しっかりとカットしてもらえる安心感と、なによりショートカットのうまさが抜群です。

グレイヘアへの過程を乗りきるコツは?

そんな彼は私より少し年上ですが、すでに美しい白い髪となっています。相談するにはもってこいの美容師さんです。

その彼曰く、グレイヘアへの転向はかなりの時間を要するとのこと。とくに私のように黒髪を残しながらの転向は非常に難しいことがわかってきました。メッシュなどを入れることも検討してみましたが、茶髪が不似合いだった過去の記憶を考えるとブリーチを施す過程で却下。

結果、美容師さんが教えてくれた、老け顔にさせない大切なポイントである「前髪と周辺の顔まわり」だけは、携帯型の白毛隠しのようなもので対処していくという方法を取ることにしました。幸い私の場合現状、顔まわりよりも中側に白い部分が集中しているので、この顔まわりに気を配りながら、今後も進めていくことに落ち着きました。

50代からの髪に必要なもの、避けるべきもの

そしてなによりも大事なのは、じつは「ツヤ」なのだと今更ながら感じています。髪にツヤさえあれば、白が目立ち始めても可哀想な印象にはなりません。グレイヘアへの転向でいちばん避けなければいけないのが「諦めの精神」かもしれません。

どうせ年を取ってしまったのだからと諦めないこと。若い頃、寝ぐせがついたまま外出するのがいやで早起きをして朝シャンを日課にし、くるくるドライヤーが発売されればすぐに飛びついて技を習得したあの頃のように。そしてツヤは健康のバロメーター。食生活や生活習慣を見直しながら昭和世代の同志のみなさま、ともに人生楽しんでいきたいですね。