苦みの原因にもなるコーヒー「微粉」…取り除く方法はある?味わいとしての楽しみ方も伝授【専門家が解説】
コーヒーの「微粉」は、苦味や渋みの原因になります。好みにもよりますが、「味の複雑性が増す」ことから、あえて味わうという人もいます。家庭でも挑戦できるおいしいコーヒーの淹れ方について、畠山大輝氏の著書『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ出版)より、詳しく見ていきましょう。
微粉を取り除いてクリーンな1杯に
ここでは「微粉とは何か?」ということについて、解説したいと思います。
コーヒー豆を挽いたときに、自分が使いたい挽き目よりも遥かに細かい粉が出てきます。本当に小麦粉ぐらい細かい粉ですが、これを微粉と呼びます。グラインダーの性能によっても違いますが、どんなに性能のいいグラインダーで挽いても、この微粉は多かれ少なかれ必ず出ます。
微粉は、普通はあまりいいものとしては扱われません。「安いグラインダーを使うと微粉がたくさん出る」のです。なぜそれほどまでに微粉を気にするかというと、単純に細かすぎるのです。
例えば、中粗挽きの粉で2分20秒で抽出を完了するレシピの場合、そこに非常に細かい微粉がたくさん混じっていると、その微粉の分は初期で抽出が完了してしまい、その影響を受けてコーヒー全体が「過抽出」になってしまうのです。抽出が行き過ぎた状態なので、苦味や渋み、雑味などのネガティブな成分が出ています。
手挽きミルや電動グラインダーで豆を挽いたときに出る微粉の量を、できるだけ少なくしたい理由はここにあります。また、競技会などでより狙った味に厳密に抽出したいときは、ふるいを使って微粉を取り除く作業をすることが多くなります。
微粉は自分の好みに合わせる
微粉に関しては賛否両論があり、「取り除いたほうがクリアになっていい」という人もいれば、「微粉があるほうが複雑性が増すから、あえて取らない」という人もいます。私自身は、微粉があったほうがおいしいときもあるし、ないほうがおいしいときもあるので、使う豆に合わせて取ったり取らなかったりケースバイケースです。
自分でコーヒーを淹れたときに、「ちょっと苦手な味がするけど、もしかすると微粉のせいかな」というふうに感じたときは、家にある茶こし(目が細かいもののほうがいいです)を使って、コーヒー粉をふるいにかけてみてはどうでしょう。
または、世界大会のレシピで紹介したKRUVE Sifterのような器具もあるので、そちらを使えば、より効率よく、正確に微粉を取り除くことができます。
ほかにもサザコーヒーの「パウダーコントロールストッカー」という器具もおすすめです。缶の中に茶こしのような網が入っていて、そこにコーヒー粉を入れて振ると、網の目よりも細かい粉が下に落ちて、自分が抽出に使いたい挽き目の粉は網の上に残るという仕組みです。
とにかく、百聞は一見にしかずなので、微粉を取り除いたほうがいいのか、それとも取らないほうがいいのか、自分はどっちの味が好きなのかということを検証してみるのがいちばんだと思います。グラインダーの性能によっては、微粉はかなり多く出るので、意外なほど大きな違いが出るかもしれません。
あとは、微粉を何が何でも全部取り除くのではなく、ちょっと減らす程度にしてみるなどの調整をしてみるのも面白いと思います。
【写真】ふるいを使って微粉を取り除く 出所:『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ出版)より抜粋
畠山 大輝
Bespoke Coffee Roastersオーナー
コーヒー焙煎士/コーヒー抽出士