判断を誤らせる「認知バイアス」その意外な正体とは?

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注意を怠ったり、忘れっぽい、怠ける、パニックを起こすなどは誰にでも起こること。これらは、脳による独特の作用である偏見や先入観に満ちた「認知バイアス」によって引き起こされる。

そこで認知バイアスの数多くの事例を知ることで、そこから導かれる知見を身につけることができるのが、『脳のクセを徹底活用! 「認知バイアス」最強心理スキル45』(神岡真司著、清流出版刊)だ。

◾️誰でも持っている「認知バイアス」 その特性とは

本書では、最新の心理学理論をベースにしたコミュニケーションスキル向上指導に定評があるビジネス心理研究家・日本心理パワー研究所主宰の神岡真司氏が、仕事、お願い事、恋愛、ピンチのときなど、仕事や日常生活に活かしていくための心理スキルを紹介する。

人は物事をとらえる際に、その多くを直感で判断している。瞬間的、無意識的に考える脳の「システム1」を機能させ、「これはお得だから買おう」「危険だから近づくのはやめよう」と判断し、行動に移している。これは人類の生存戦略に直結する重要な脳の働きになる。

しかし、直感で判断できず、「どうやってこの商品の売り上げを伸ばすか」など、熟考を必要とする場合もある。こうした場面では、システム1の直感に導かれつつ、論理的かつ理性的思考を行う脳の「システム2」を起動させて考える。こちらは脳に多大な負荷がかかるため、システム1が「速い思考」、システム2が「遅い思考」と呼ばれている。

ただ、システム1にもシステム2にもそれぞれ欠陥がある。ヒューリスティックとは、経験則とも言い、主にシステム1での判断の際、複雑な問題を簡易な事柄に置き換える作用のことを指す。速く答えが出せるが、置き換えた事例が適切でない場合もあり、これがシステム1の弱点を導く。また、ある特定の状況下で起こる認知の偏りや歪みによって、さらにバイアスのかかった直感的判断も下しがちで、これが「認知バイアス」と呼ばれる現象になる。そして、システム2にも欠陥がある。睡眠不足や体調不良で、熟考が面倒になると、システム1の出した誤った答えに便乗するといったケースもある。このようなヒューリスティックへの過度の依存で生じる認知バイアスは100以上あると言われている。



脳の作用である偏見や先入観を引き起こす認知バイアスに自分が振り回されることなく、むしろ、日常生活に活かすためにはどうしたらいいのか。その方法を本書から身につけてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

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