40代50代になると健康や心のモヤモヤが増えがち。少しでも心が軽くなるように、産婦人科専門医の高尾美穂先生が親身になって答えます。今回は、貧血について教えてくれました。

健康診断で貧血が判明。薬を飲み続けなきゃダメ?

【読者の悩み】

生理は重くなく、疲れやすい程度で自覚症状はないのですが、10年前から貧血を指摘されるように。食事などでは改善せず、生理後に処方された鉄剤を数日飲んでいます。このまま続けていいのでしょうか。(Nさん・48歳)

自覚症状がなくても血の質と量をよくする対策を

女性に多い貧血。なかでも一般的なのが鉄不足による「鉄欠乏性貧血」で、赤血球に含まれるヘモグロビンが少なくなった状態を指します。

このヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ大切な役割がある成分。ただ、ヘモグロビンが基準値より少し低いくらいでは自覚症状がほとんど出ないため、検査で引っかかっても放っておく人は少なくありません。しかし体は酸欠でヘトヘトの状態です。

いうまでもなく女性は毎月の生理で血を失います。成長期は、骨や筋肉をつくるために多くの鉄が使われるので鉄不足になりやすく、そのため貧血は「若い人の病気」の印象があります。しかし、何年も生理を繰り返し出産を経験した40代も貧血の場合が多いのです。

貧血のおもな症状は疲労感やめまいです。これらの症状は更年期と似ているため混同されがちですが、原因は別物。きちんと識別するためには、血液検査をする必要があります。

女性の貧血の治療は婦人科受診も視野に

たりない鉄を補うために、数値が改善するまで鉄剤を服用し続けても問題ありません。ただ、なかなか数値が改善しない相談者さんは、生理は重くないと感じていても、自分が思っている以上に血液が失われている可能性があります。貧血は内科でも治療できますが、生理周期や出血量に変化が出やすい年齢であることや、子宮筋腫や子宮腺筋症が原因の場合もあるので、一度婦人科で受診を。

ピルで出血量を減らしつつ鉄剤を服用すれば、貧血が早く解決することも。貧血が改善されると疲れにくくなるので、今よりも毎日を元気に活動的に過ごせるようになりますよ。

なお、閉経を迎えると貧血は落ち着くのが一般的です。もし閉経後も貧血の状態が続くなら、ポリープやがんによる消化管出血の疑いも。ミドル世代ほど貧血を甘く見ないのが鉄則です。