NHKで放送中の人気自然番組『ダーウィンが来た!』の劇場版第5弾が3月8日(金)より公開。今回スポットを当てたのは、いまだ多くの謎に包まれた恐竜たち。太古の大陸・ゴンドワナを舞台に、新たな説を交えて彼らの生態に迫っている。そこで、過去2作に続き、今回もナレーションを務めた水瀬いのりさんにご登場いただき、見どころを直撃。知られざる世界を一足早く体験した彼女に、作品や恐竜への思いをうかがった。

 

水瀬いのり●みなせ・いのり…12月2日生まれ。東京都出身。NHK『ダーウィンが来た!』放送内の次回予告アニメ『マヌ〜ルのゆうべ』にてツノゼミのツノミン役を担当。主な出演作に「心が叫びたがってるんだ。」(成瀬順役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(レム役)、「五等分の花嫁」(中野五月役)など。9月15日(日)より兵庫県を皮切りにライブツアーも開催。公式HP/X/Instagram/LINE/YouTube

 

【水瀬いのりさん撮り下ろし写真】

 

時代を超えて少しずつ解明されていく恐竜たちの研究内容にロマンを感じました

──『劇場版ダーウィンが来た!』シリーズで水瀬さんがナレーションを担当するのはこれで3作目になります。今回は“恐竜”がテーマになっていますが、完成した作品をご覧になってどのような印象を持ちましたか?

 

水瀬 《命》を軸に、恐竜たちの生態に関するさまざまな説を描いた作品でしたので、驚きと新鮮さでいっぱいでした。そもそも私の中で恐竜というと、動物園や水族館で出会える動物ではないので、どこかしら空想の世界にいる生き物のようなイメージがあったんです。博物館などに展示されている骨を見て、“本当にこんなにも大きな生き物がいたんだ!?”と実感することはあっても、実際に恐竜たちが大自然の中で暮らしている様子までは、なかなか想像ができなくて。でも、今作にはいろんな恐竜たちが登場し、彼らがどんな生活をして、自然と共存していったかが描かれているんです。ひと言で恐竜といっても、肉食系か植物食系かによって行動の仕方が異なりますし、そうしたところからも、改めて恐竜たちも私たち人間と同じようにいろんな生き方があったんだなと知ることでき、本当に勉強になることばかりでした。

 

──爬虫類っぽい色合いの恐竜たちだけでなく、それぞれ皮膚の色や柄にも個性や特徴があって驚きました。

 

水瀬 そうなんです。意外とカラフルできれいなんですよね。今作には2022年に報告されたばかりの新しい話が盛り込まれていたりと、最新の研究結果も反映されていて、そこも見どころの一つになっています。恐竜に関する研究や調査は日々、世界中で行われていて、過去に発掘したものと新たに発見された情報がジグソーパズルのようにはまり、今まで分からなかったことが明らかになっていく。そこがすごく面白いですよね。それに、自分たちが見つけた調査内容が今はまだ謎だらけでも、未来の研究者たちにとっての解明の糸口になるかもしれなくて。そうした、“過去”と“現在”と“未来”の全てが一つに繋がっているというところにもロマンを感じました。

 

──ナレーションの作業はいかがでしたか?

 

水瀬 やはり《命》がテーマになっていますので、ドラマチックな部分もあり、原稿を読みながらいろんな興味が湧いてきましたね。特に印象的だったのが戦いのシーンでした。私にとって恐竜同士の争いというと、縄張り争いであったり、食料にするために相手を倒すというイメージが強かったんです。でも、この作品では彼らにも家族があり、守るべきものがあるからこそ戦っているといった姿も描かれている。それに、彼らの中には“なんとしてでも生き延びるんだ”という本能的な強い思いがあり、そのことが彼らの生態をも進化させたり、知恵を使った戦い方を見いだしていったんだということがよく分かりました。そうした、凶暴さだけではない恐竜の一面も、ぜひ映画を通して感じ取っていただければなと思います。

 

──確かに、凶暴さで知られるティラノサウルスでさえもしっかりと子育てをしていたかもしれないという説は意外性がありました。

 

水瀬 ティラノサウルスって怖い印象しかなかったのに、彼らにも母性や父性があるんだと思うと親近感が湧きますし、かわいいなって思っちゃいますよね(笑)。それに、子どもを守る方法が恐竜の種類によってさまざまであるところも非常に興味深かったです。中には、敵に食べられないように歯が欠けるほど硬い殻で覆った卵を生む恐竜もいて。しかも、それほどまでに硬い卵をどうやって孵化させるんだろうと思っていたら、火口近くの地熱を利用して温めていくんです。誰かに教えられたわけでもないのにそうした工夫を身に着けていく姿を見ていると、生き物が持っている普遍的な本能って本当にすごいなと改めて感じましたね。

 

リアルな映像を観ていたら、この世界に行ってみたくなりました

──また、今作ではそんな恐竜たちが生存していた場所である超巨大大陸・ゴンドワナが舞台となっています。かつて存在していたこの大陸のことはご存知でしたか?

 

水瀬 私は初めて知りました。昔、南米やアフリカの大陸が一つに繋がっていたという話は聞いたことがあったのですが、その大陸を「ゴンドワナ」と言うんですよね。この映画では35m級の大きさがある植物食恐竜のプエルタサウルスに焦点を当て、彼らがゴンドワナ大陸でどう暮らしていたかも描いているのですが、その行動には感情移入するところがたくさんありました。衝突の冬の寒さにも負けず、食べ物を探してなんとか生き抜こうとする姿に心を打たれましたし、そうやって恐竜やいろんな生き物たちが命を繋いできてくれたから、今の私たちがあるんだなって。それを思うと、途方もない昔の話なのに恐竜たちのことを身近に感じられましたし、なんだか不思議な気持ちにもなりましたね。

 

──巨大隕石が地球に衝突したことで氷河期のような時代、衝突の冬に突入し、その結果、恐竜たちが絶滅したものだと思っていましたが、実はそうした環境下でも一部の恐竜は生き延びていたかもしれないという説は見ていて勇気をもらいました。

 

水瀬 この映画の監修をされている小林(快次)先生や植田(和貴)監督から聞いたお話では、もしかすると衝突の冬の期間がそれほど長くはなかったかもしれないという説があるんです。だから、生き抜くことができた恐竜たちがいたのかもしれない、と。でも、そうであれば、“恐竜たちが絶滅した原因は一体何だったんだろう?”という新たな謎が生まれますよね。

 

──確かに!

 

水瀬 その答えは私には分からないのですが、けどこうやって、一つの有力な仮説が生まれるたびに新しい解明に繋がったり、逆に別の謎が生まれたりするのが、本当に面白いなと思いました。

 

──未解決のことが多いだけに、小さなお子さんたちが映画を観ると、豊かな想像力で大人とはまた違った感想を持ちそうですよね。

 

水瀬 そう思います。この映画をきっかけに、もっと恐竜やこの時代のことを知りたいと思う子もたくさん出てくるでしょうし。それに、そうやって何かに興味を持つことって、探究心を養うことにも繋がっていくし、それがやがて趣味であったり、やりたい仕事に向かって動き出すための原動力にもなるんじゃないかなって思うんです。もちろん、お子さんに限らず、大人の方でも好奇心をくすぐられる作品だと思います。実際に私も映画を観た後で、恐竜図鑑を買いたくなりましたから(笑)。その意味でも、ぜひ多くの方に観ていただきたいですね。

 

──特に恐竜たちの迫力ある映像は映画館で体感してもらいたいです。

 

水瀬 本当に! 大きなスクリーンだと目の前に等身大に近い恐竜が現れて、本当に実在するようにも見えるでしょうし、没入感も半端ないと思います! きっと劇場版でやる意味もそこにあるんだろうなと感じました。それに、この映画で描かれている恐竜自体は精密なCGですが、本物の景色を背景に合成しているので、どのシーンもすごくリアルなんですよね。現実にある世界なんじゃないかと錯覚して、私もちょっとだけあの中に入ってみたいなって思いました。怖いから、行くにしてもほんのちょっとだけでいいんですけど(苦笑)。

 

──(笑)。もし行けたら何をしてみたいですか?

 

水瀬 植物食恐竜は大人しそうなので、彼らの首や背中に乗ってみたいですね。そんなに簡単に懐いてくれるとは思いませんが(笑)。近づこうとして、尻尾で追い払われて終わりでしょうし(笑)。でも、映画の中では恐竜たちも目を合わせてコミュニケーションを取っていたかもしれないと描かれていたので、もしかしたら相手を思いやる感情があったのかもしれなくて。そう考えたら、恐竜たちと仲良くなれる可能性もあるのかなって、そんなことも夢見てしまいますね。

 

日々、アロマオイルの効果を実感しています

──最後に、水瀬さんが最近ハマっているモノを教えていただけますか?

 

水瀬 少し前からアロマオイルにハマっています。いろんな種類が入ったキットを購入し、香りだけでアロマの名前を当てるということを夜な夜なしています(笑)。また、その日に一番ピンときた香りをディフューザーに入れて眠るのも楽しみの一つになっていますね。

 

──日によって好みの香りが変わるんですか?

 

水瀬 そうなんです。昨日はすごく好きな香りだったのに、今日嗅いでみたらあまり気持ちに刺さらなかったり。きっと自分の体調や自律神経が左右しているのだと思うのですが、そうした感じ方の違いがあるのも面白いです。また、種類によってはバスソルトに香りづけをしてお風呂で使えるモノであったり、殺菌作用や免疫力向上の効果をもたらすオイルもあるので、今はいろいろと試している最中です。

 

──実際に効果は感じられますか?

 

水瀬 びっくりするぐらい違いますね。寝付きもよくなりましたし、疲労回復具合もこれまでとの違いを感じます。きっと好きな香りに包まれていると自然と呼吸も深くなるので、そのことでぐっすりと眠れているというのもあるんでしょうね。

 

──なるほど。では、いろいろと試しながら、アロマオイルごとに自分にとってどんな効果があるのかを調べてみるのも面白そうですね。

 

水瀬 確かに! そうやって統計を取っていくことで、“私の緊張緩和オイル”みたいなのが作れるかもしれませんし(笑)。「明日は緊張と仲良くなるぞ!」みたいな日の前夜は気持ちが上がる香りを調合してみたり。組み合わせによって本当にいろんな香りが作れますよね。

 

 

恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!

2024年3月8日(金)全国ロードショー

 

【映画「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:植田和貴
監修:小林快次
エンディングテーマ:MISIA
制作:NHKエンタープライズ
映像提供:NHK

ナレーター:水瀬いのり
ヒゲじい:龍田直樹

(STORY)
今から6600万年前、太古の大陸「ゴンドワナ」には、40mにも達する超巨大植物食恐竜・プエルタサウルスや10m級の肉食恐竜・マイプなどが生存し、生きるために死闘を繰り広げていた。ところが、巨大隕石の衝突によって彼らの生活環境は一変。火災や寒冷化が地球上のいたるところで起き、生き物たちは絶滅の危機に瀕する。しかし、そんな環境下でもたくましく生き抜こうとする恐竜たちがいた……。

(C)「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」製作・配給 ユナイテッド・シネマ

 

撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ