現役で東大合格した長男につくり続けた「お弁当」。学校に行かせるのも大変だった毎日の支えに
アイデア満載のおいしい時短&節約メニューが人気の料理家・みきママさん。ブログやインスタでは、レシピだけでなく、3人の子育てに奮闘する姿も率直に明かしてきましたが、昨年の春に長男・はる兄が東大に現役合格。毎日欠かさず、手づくりのお弁当で受験を応援してきたみきママさんの愛情を、はる兄はどう受け止めていたのでしょうか…? みきママさんとはる兄にお話を伺いました。
「今日のお弁当はなにかな?」って毎日楽しみでした
――昨年の春にはる兄が現役で東大に合格されましたが、みきママさんが考える”勝因”
みたいなものがあれば教えてください。
みきママ:もちろんはる兄自身ががんばったからだと思いますが、日々の生活やメンタルをつくっているのは、食べもの。だから私のおかげでも…あるのかな!?
はる兄:正直、合格した瞬間は自分の努力だと思ってましたけど(笑)。でも、それからまた時間が経って、感謝の気持ちも出てきましたね。やっぱり「お弁当」って、ただお昼代をくれるのとは違って、目に見えて労力が分かるものだから。だから、自分以外でなにがいちばん合格に貢献してくれたかな? って考えると、最初にぱっと浮かぶのはお弁当でした。
みきママ:当時は朝、起こすだけで「うるせえな!」って言われてましたからね。3年間、学校行かせるのは本当に大変でした。
はる兄:僕の寝起きが悪いからね。でも、本当にお弁当はめっちゃおいしかったから、「今日はなにかな?」って毎日楽しみでした。
みきママ:つくってるときは、「品数が少ない」とかいろいろ言っていたけどね。あと「魚入れないで」って。
はる兄:それはあのときだよ。お母さんが寝坊して、弁当をつくる時間が3分しかなくて。僕が「500円くれたらコンビニでなにか自分で買うから」って言ったんですけど、「いやいや、つくるから!」って。そしたら、白いごはんの上にサバがどーんとのった弁当を出してきました(笑)。
みきママ:そんなことあったっけ!? そういえば、うちの実家もラーメン屋で忙しかったから、ごはんの上に鮭をのせただけの弁当が出てきたことがありましたね。はる兄のサバ弁当のときは、本当に時間がなかったから、前の日に焼いたサバをそのままのせたんだと思う。きっとおいしくはなかったよね。
はる兄:塩気がたりなかったんだよね。しかもサバだけで、ほかにおかずがないから、食べてて飽きるというか。
白いごはんにイナゴが3匹のってたことも(笑)
――そんなエピソードもあったんですね。今回みきママさんが出版された、『みきママの東大合格弁当』には、受験生をサポートするためのお弁当づくりのコツが載っていますよね。
みきママ:はい、切り身魚をのせただけの簡単なお弁当レシピがのっていますが、それはちゃんとおいしく食べられるようにねぎ塩ソースをかけたり、ヤンニョムだれで味つけしていますよ。
はる兄:おもしろいな、と思ったのは、白いごはんの上にイナゴが3匹のってたときですかね(笑)。
みきママ:たしか日頃の恨みを晴らしてやろうと思って、仕返しのつもりでやったのかな?
――お弁当のフタを開けて、イナゴがのっていたら驚きませんでしたか?
はる兄:いや、「うちの母親やるな」って思いましたね。うれしかったのは、うな重のお弁当です。うなぎ風に味つけしたなにかじゃなくて、本物のうなぎだったからめちゃくちゃうれしくて。普段は友達にせがまれてちょっと分けてあげたりしますが、そのときはしませんでした。
みきママ:多分そのときも寝坊したんだと思います(笑)。冷凍のうなぎならレンジでチンするだけでできますから。
はる兄:ラーメン弁当の回もけっこうあった気がするな。保温容器に温かいスープが入ってて、つけめんみたいにして食べるやつ。あれもめっちゃ楽しかったです。
みきママ:冬はやっぱり、温かい麺が食べたくなるもんね。だから本にも、麺弁当のレシピはこだわって載せました。やっぱり好物が出てきたらうれしい。あと、うちのお弁当はいつもふたが閉まらないぐらいたっぷりつめるのも特徴ですね。
はる兄:思い出した! ふたが閉まらないから中の汁がもれちゃって、机が汚れないようにいらないプリントを敷いて、その上で食べてた(笑)。でもお弁当ってそれくらい量が多いものだと思ってましたね。
お弁当が、間違いなく勉強の励みになった
――フタが閉まらないのはなかなかのボリュームですね!
みきママ:私のお弁当は、おやつの買い食いをする余力を与えないくらい量を増やしてますから。
はる兄:1回で食べきれないから、休み時間にちょこちょこ食べて、学校が終わるまでに3分の2ぐらい食べて。残りはどこかで勉強しながら、またおなかがすいたときに食べる。朝7時に家を出てから、夜11時に帰るまでの間、お弁当1つでたりたのがすごいですよね。僕がもともとお菓子があまり好きじゃないっていうのもありますけど。
みきママ:菓子パンやジュースを取る隙を与えないのがみきママ弁当(笑)。糖のとりすぎは体によくない。お弁当の中身も、「記憶力アップを助けるレシチン」「気持ちを落ち着かせるカルシウム」「免疫力をととのえるビタミンC」…と、ちゃんと栄養バランスを考えてます。今は私も管理栄養士を目指して大学で勉強中だけど、その3つの栄養素さえ入れていれば、なんとかなるって分かったので。
はる兄:僕は栄養のことは分からないけど、「これ、レシチン入ってるからね」とか言われると、「ちゃんと調べてつくってくれたんだな」とうれしいし、体のためにも残さず食べようと思う。お母さんのお弁当は冷めてもおいしかったし。
みきママ:お弁当はそこが大事。パスタやラーメンのときも、ちゃんと冷めたときに麺が固まらないように工夫して。「サバ弁当」のときみたいに、バタバタの日も結構あったけど、どんなに時間がない朝でも「なにがなんでも自分がつくったお弁当を持たせたい」っていうプライドがあって、そこは負けたくない。それは、「ママもがんばってるんだから、お前もがんばれよ」って言いたいからなのかもしれません。
はる兄:それはめっちゃ感じてました。僕は10時間くらい寝てるのに、母は睡眠5時間でも早起きしてお弁当をつくってくれていたので、申し訳ないな…って。だから母のためにもがんばらなきゃな、と思ってたし、間違いなく励みになりました。
みきママ:いいこと言う〜! やっぱり、お弁当って親から子どもへの愛情であり、メッセージでもありますよね。