野菜をたっぷり使ったレシピが人気で、いまやインスタフォロワー約19万人のイソカカさん。プラントベースのレシピの数々を掲載した今年1月に発売した著書『イソカカのからだ整う野菜のレシピ』(扶桑社刊)も、大好評です。そんなイソカカさんのレシピを絶賛するのが、タレントの福田萌さんです。かねてから親交があり、お互い3児の母である二人による対談第2回目。今回は、福田さんによるイソカカさんの料理の感想やお二人の野菜との向き合い方について伺いました。

イソカカさんのレシピ本は「野菜の魅力に気づける」

 ――イソカカさんの著書『イソカカのからだ整う野菜のレシピ』は、もう福田さんも読まれたとのことですが、ご感想はいかがですか?

【写真】イソカカ家の食卓

福田:「今日の食卓にもう1品欲しい!」と思ったときに、すごく役立つレシピ本だなぁと思いました。まず、野菜の項目別にレシピが載っているので、見やすいですよね。「今日はナスが余っているからこれでなにかつくれないかな」とか「キャベツだったらなにがつくれるのかな」などと、食材別のアイデアがわきやすいのがいいですね。

イソカカ:萌さんにそう言っていただけて、めっちゃうれしいです。思わず顔がニヤけちゃいますね。

福田:日本では、食生活をすべてヴィーガンにしている方は、そこまで多くはないと思うんです。でも、野菜を食べたい方や野菜を食べさせたい方はいっぱいいますよね。「主菜は決まったけれど、副菜はなににしようかな?」と悩む人が、新しい野菜の魅力に気づくレシピじゃないかなって感じました。

イソカカ:レシピをつくるときに、「いかに人がつくりやすくて、『自分でつくってみよう』と思えるレシピをつくるか」を一生懸命考えました。その想いが萌さんに通じたんだなと思うと、自分の努力が報われた気がします。

レシピ本に書いてある「少々」や「適量」がわからない人に向けたい

福田:もうひとつ、いいなと思ったのは調味料の量が明確な点ですね。たまに料理本を見ていると、「『適量』じゃわからないんだから、はっきり言ってくれ!」「『少々』ってひとつまみなのか、ふたつまみのなのか、具体的に書いてくれた方がありがたいなぁ」って思ったり(笑)。

イソカカ:調味料の量については、できるだけ明確にするように意識しましたね。私は小さい頃から料理が好きで、3歳くらいからキッチンに立っていたので、調味料の入れ方や素材の火の入れ方などは、なんとなくの感覚でやっている部分が多かったんです。

でも、いざ自分で情報発信するようになると、「自分がいままで感覚でやっていた部分をちゃんと言語化しないと伝わらないんだ!」ということが身に染みてよくわかりました。

――じゃあ、本をつくる際も、そこを意識されたんですね。

イソカカ:はい。自分の中では「少々」とか「適量」ですませていた部分を、きちんと表記するように意識しました。しかも、グラム表記だと、忙しいお母さんはいちいちハカリを出して測ってられないので、できるだけ大さじや小さじの表記を使うようにして。わかりやすく、簡単につくれるように心がけました。

夫が料理をする場合

福田:人に料理を教えるときは、できるだけ具体的にした方がよいというのは、私自身も日々痛感しています! いま、私が第三子を出産してから、夫がゆるやかな育休に入っていて、いろんな動画を見ながら、毎食夕飯をつくってくれるんです。

イソカカ:わー、すてき。いいですね!

福田:そして、そんな夫が料理中によく私に質問するのが、調味料の量についてなんですね。先日も、「『少々』ってどのくらい?」と聞かれたので、「小さじの先にちょっと載せたらいいよ」というと、「小さじってどれ?」と再度質問されるんです。料理ビギナーの人だからこそ、そのあたりの基本を知らないので、イソカカさんのレシピみたいにきっちり書いてくれる方がありがたいです。

――福田さんのパートナーである中田敦彦さんは、どんなスタイルでお料理するんですか?

福田:うちの夫は、レシピを完璧にトレースするタイプですね。たとえば、最近は料理研究家のリュウジさんのレシピ動画を見ているんですが、リュウジさんは料理中にハイボールを飲むじゃないですか? すると、夫も動画内の同じタイミングでグイっとハイボールを飲むので、夕飯をつくり終わったときには酔っぱらって疲れ果てています(笑)。でも、つくってくれたものはおいしいので、子どもたちは喜んでいます。

イソカカ:パパのつくるごはんは、子どもにとっては特別ですよね。うちの夫は基本的に料理をつくらないんですが、それは私のこだわりが強すぎるから、「料理についてはあまり口を出さんとこう」と思っているんだと思います。

ただ、私が疲れているときには察してくれて、「今日の夕飯は近所のお弁当をテイクアウトしてきたよ」とか「ピザの出前を取ろうか」とは言ってくれますね。子どもたちはお弁当やピザは大好きなので、逆に喜ばれています。

食は生活の一部。できない部分は自分を許すことも必要

福田 イソカカさんは毎日完璧な料理をつくっていそうなイメージがあったので、お弁当や宅配ピザの日もあるんだと知って、安心しました(笑)。

イソカカ:とんでもない! 料理のお仕事をしているからといって、いつでも料理を完璧につくっているわけじゃないですよ。いまも、冷凍庫には生協で買った冷凍のオムそばを常備しています!

福田:そうなんだ!

イソカカ:せっかく料理をつくっても子どもに受け入れられないことだって、本当にたくさんあるんですよ。先日なんて、第二子が「これすごくおいしい!」というから、どの料理かなと思ったら、冷凍食品を解凍しただけのやつで(笑)。がっかりする気持ちもありますが、こういう味つけなら子どもは喜ぶんだなって参考にさせてもらっています。

福田:あははは。子育てをする上では、ルールを決めきらずに、自分の中の臨機応変さを大事にしたほうがよいですよね。

イソカカ:そう思います。食は暮らしの一部であって、なくては生きていけないものなので、ある程度融通を利かせて、臨機応変につき合っていくのがいちばんなのかなって思っています。第一子のときは「これはダメ」「あれもダメ」とガチガチにやり過ぎて、本当に大変だったので、できないところは自分を許していく姿勢を大事にしたいなと。

福田:私もサロンを立ち上げたときは、なにが正解かわからないし、母親に聞いても時代が違うから情報が間違っていそうだし、不安でした。でも、いまはいろんな方と情報交換もできているし、だいぶ臨機応変になれたと思います。

シンガポールに住んでわかった「日本の野菜はおいしい」

――福田さんはシンガポールにお住まいなので、手に入る野菜も日本とはちょっと違ったりするんでしょうか?

福田:違いますね。シンガポールの野菜は、どちらかというと中華圏の野菜が多くて、チンゲンサイや白菜とかが多いです。ただ、これはあくまで個人的な感想なのですが、日本に比べると、おいしい野菜に出会える確率が低いなと思います。

たとえば、アボカドにしても、日本で売っているように、おいしくて柔らかいアボカドに出合える確率は3分の1くらいなんですよ。

イソカカ:そんなに確率が低いんですか。

福田:はい。それに比べると、日本はどの野菜も、味も濃いし、色もいいし、つやつやしていて、おいしいです。私からすると、日本の野菜は宝石みたいに見えます。生産者さんが丁寧につくって、収穫されてからすぐに市場に出まわっていて、スーパーで手軽に買えて、すばらしいですね。そんなおいしい日本の野菜が手に入る環境にいるのだから、ぜひいろんな人に野菜をもっと味わってほしいです。

イソカカさんのレシピは、普通の人がいままで出合ったことのない味つけや食べ方がたくさんあるので、これまでは「野菜は脇役」と思っていた人でも、「野菜って主役なんだ!」と感じられる料理に出合えると思います。私自身も、今後イソカカさんのレシピを通じて、今まで以上に野菜好きになれそうな気がしていますから!

イソカカ:わー、ありがとうございます! ぜひ、今後もよろしくお願いします!

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