玄関は、意外に後悔しがちな場所です。住み始めると、周囲の視線が気になったり、雨の日に荷物がぬれてしまったり…。3年前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターは、道路から見えないよう大きな壁で目隠し。壁に囲まれたポーチをつくりました。置き配も安心、ぬれた傘を玄関室に持ち込まなくていい、ストレスのない快適な家を実現。詳しくレポートします。

家づくりでは玄関ドアのあけ閉めが見えない設計に

筆者は、夫と長男(9歳)、二男(7歳)の4人暮らし。3年前にハウスメーカーで2階建ての注文住宅を建てました。1階にはLDKと隣に趣味室、玄関、トイレ。そして2階には、浴室、洗面所、ランドリールーム、ウォークインクローゼット、子ども部屋、寝室、トイレがあります。

家づくりではクルマが停めやすいよう、道路側に塀はつくらない方向で、プランを検討しました。ただ、そうなると道路から玄関が丸見えになる可能性が。家が建ち並ぶ住宅地ですから、ご近所からの視線も気になります。そうした懸念がなくなるよう、玄関のドアのあけ閉めが、見えないような設計にこだわりました。

 

最終的に玄関ポーチ+壁で目隠しするプランに

そして実現したのが、上の図面のプランです。大きな目隠しの壁で、玄関ドア付近を道路(図面左手)から隠す形に。そして、雨にぬれないよう、屋根をかけています。ちなみにオレンジ色の枠で示した玄関ポーチは、実寸で幅181×長さ252.5cmです。

目隠しの壁の左右どちら側からでも、玄関ドアへ入れるようになっているので、壁があっても出入りがしやすいです。また、すぐ横には自転車置き場や、自家用車の駐車場が。この動線もコンパクトで、とても便利。

玄関ドアの横には、壁(自転車置き場の仕切り壁と建物の壁)があるので、玄関ドアが少し奥まった場所にあるような印象を受けます。

 

こちらの写真は、道路側から斜めに見たところ。玄関ドアをあけた状態で撮影しましたが、家の中はほとんど見えません。スッピンやパジャマ姿でも、奥まっていて見えないので安心。

いつも身だしなみが整っていればいいのですが、現実はそうでないことも(笑)。そんなとき、もし壁がなかったら、近所の方に見られないかとヒヤヒヤしていたと思います。

屋根をかけたポーチと横壁で、雨の日もぬれず快適

こちらは玄関の中からドアをあけた眺め。この玄関ドアを隠すようにある左右両側の壁と、道路側にある目隠しの壁、屋根、これらのおかげで雨風が強くても、雨露がドア付近まで吹き込みません。これがとてもよかった! 実際に暴風雨のときにかなり効果を感じました。

また雨の日、目隠しの壁に取りつけられたポストに、郵便物を取りに行くときも、ぬれないですみます。道行く人と目が合ってしまうこともありません。

 

こちらは雨の日の写真です。グレーなのでわかりにくいかもしれませんが、段差より上にはまったく吹き込んでいません。

以前暮らしていた家の短い庇(ひさし)つきの玄関では、雨の日はドアをあけたら、雨粒が吹き込んできて大変。傘の用意やレインコートを着る準備も、室内ですませなければなりませんでした。また、庇が短いため、玄関前は1人しか立てませんでした。狭い玄関ポーチで用意するのもひと苦労。

その点、今は広々と空間をとったので、玄関ポーチに出て準備ができ、ストレスが格段にへりました。子どもたち2人との外出のときもスムーズ。3人一緒に立っていても余裕の広さです。

屋根の下でぬれた荷物をふいたり、雨具を片づけたりするのも、ゆっくりできて快適。土間タイルなので、水がたれても気になりません。

 

また、家の中にぬれたものを玄関ポーチに置いておけます。室内に持ち込まなくていいのも便利です。傘も、写真の場所にかけられるようにしています。ですから傘立ては持っていません(乾いたら土間収納にかけておく場所あり)。

乾かしたいときも、風が通るおかげか玄関内に置くより、よく乾きます。雨が当たらない場所なので、またぬれてしまうこともなしです!

壁が死角に。置き配も道路から見えないので安心

わが家は宅配ボックスがありません。宅配ボックスをつけると、郵便受けがすごくでっぱってしまい、通り抜けのジャマになりそうだと思ったからです。

置き配をよく利用するのですが、この目隠し壁+ポーチのプランにしたことで、不便は感じていません。玄関ドア横(写真)に置いておいてもらえば、壁が死角になって、見えないからです。道路から丸見えだと、盗難など心配な面がありますが、これなら安心です。

そして、不在のときにもし雨が降っても、荷物がぬれない! おかげで安心して利用できます。

 

自転車置き場も壁に隠れてすっきり。アクセスもいい!

玄関ポーチ横の軒下に自転車を置くことで、家の正面側からは自転車が見えません。ぐちゃぐちゃに停めていても、この壁のおかげで隠れてすっきり(笑)。

 

自転車置き場側から玄関ポーチまでが近いと、すぐ自転車に乗り込めます。自転車をよく使うわが家では、自転車からの動線がよいことで、かなり暮らしの満足度が上がりました。

デメリットをあげるなら、玄関が暗くなること

デメリットとしては、玄関ドアが奥まっているため、日中でも玄関内が暗いことでしょうか。明かりとりの地窓もつけたもののイマイチ。自動でつく照明が必須です。そのぶん夏は日差しをさえぎってくれるので、少し涼しい気がします。

あとは、玄関ポーチではありませんが、自転車置き場の庇が高すぎて、軒下なのに自転車の後方が一部ぬれてしまうことくらい。ただこの点についてはデザインの問題や建ぺい率の問題もあるので、うまい解決方法は見いだせないのですが…。

筆者にとっては、暮らしやすくてとても満足ゆく玄関の間取りになりました。プライバシーを守る意味でも、実用性の面からも、目隠し壁&玄関ポーチの組み合わせは、よい選択でした。