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インテリアとしてもすてきな室内窓(部屋と部屋の間にある窓のこと)が人気です。でも、つける場所を間違えると後悔することも。玄関と寝室の壁に室内窓をつけたKさんのケースでは、来客があると寝室が丸見え、夜遅くに夫が帰ってくると、センサーライトで寝た子を起こすことに。憧れの室内窓がストレスの原因になってしまいました。どうすればよかったのか? 一級建築士によるアドバイスも参考に。

記事の初出は2023年3月。内容は執筆時の状況です。

ぜひ取り入れたかった念願の室内窓に大満足!

2人の幼い娘と暮らすKさん夫妻は、一念発起して戸建てを新築。「憧れの室内窓がリビングダイニングや寝室について、引っ越し当初はうれしかった」と、妻は振り返ります。

とくに寝室の室内窓は、玄関側の壁に取りつけるなど、妻の希望を反映させたものだそう。当初、建築家の案では、チェッカーガラス(モザイクガラスやワッフルガラスとも呼ばれる)の小窓を高い位置につけるというものでしたが、小さな窓に満足できず、腰高の大きな透明ガラスの窓に変更。

「その方が寝室や玄関も開放的になり、インパクトのあるインテリアになると思いました」と、妻は理由を話します。

 

お気に入りの室内窓がまさかのストレスのタネに

ところが、暮らし始めると意外なことがストレスに…。

「子どもと寝室で寝てるのですが、子どもが寝たあとに夫が帰宅すると、玄関の人感センサーつき照明が光って、子どもが起きてしまうんです。それでまた寝かしつけて…。そんな日が続くとつらくて。また、お客さまが玄関から廊下に上がると、寝室が見えるのも気になるように…」(妻)

一時は、玄関照明を切り、小さいスタンドを置いたことも。しかし、暗くて玄関の施解錠や靴の脱ぎ履きがしにくく中止。ガラスや窓サイズを変えるにも費用の捻出が厳しく、これも断念。

 

結局、市販の目隠しシートをガラスに貼り、そのうえ明かりよけとして、寝室側にロールスクリーンをつけたそう。結果、玄関からは窓越しにスクリーンが見えるだけ…という残念な姿に。

「窓の位置や大きさについては、設計時に建築家から問題が指摘されたけれど、耳を貸さなかったから」と、妻は反省しきりです。

アドバイス:それぞれの空間の質を考えて室内窓を設けて

Kさんのように室内窓をつけて、すてきなインテリアを実現したい、狭さを感じないよう開放感をだしたいと思っている人も多いでしょう。しかし、つける場所はよく検討した方がいいようです。一級建築士・大島健二さんが詳しく解説してくれました。

 

●大島健二さんからのアドバイス

畳の間を襖(ふすま)で仕切っていた時代から、高度成長期以降、核家族化やプライバシー意識の変化などで、住まいの個室化が進みました。その後「もう少し各部屋同士のコミュニケーションを取りたい、プライバシーは守りつつ気配は感じたい、通風・採光をしたい」という揺れ戻しの現象が起きています。

そんななかで注目されるようになったのが、室内窓。リビングと2階の個室のコミュニケーションをよくするため、吹き抜けに室内窓を設けるなど、効果的な使い方も増えています。

しかし昨今は、単なる「おしゃれインテリア・装飾窓」というだけの「室内窓ありき」で設計が進められることが多く見られるようになりました。

とくに寝室には、機能として睡眠の質に重きを置く必要があり、「音・光・暑さ寒さ」などを慎重に調整して設計したいところです。玄関とは対極の空間なので、安易に室内窓を設けるべきではないでしょう。

室内窓は、それぞれの空間の質をどうしたいのかをよく考えて設ける必要があります。