ESSEonlineに掲載された記事のなかから、3月に読みたいベストヒット記事をピックアップ!

子育てが落ち着くも、親の介護、自分の体調のことなど、何かと変化が多い50代。でもその分、気づきも多いといいます。もうすぐ60代を迎えるという人気ブロガーの中道さんが、50代を過ごして気がついたこと、そしてよりよい60代を過ごすために意識したいことについてつづってくれました。

記事の初出は2023年3月。内容は執筆時の状況です。

50代にならないとわからなかったこと

子育て中は自分のことなど後回しにして、子ども中心の生活を送っていました。末っ子が大学に入れば教育資金の見通しも立てられ、やっと子育て終了の鐘が鳴った感じがしたのを覚えています。
それが51歳くらいのとき。50代は人生の折り返し地点を過ぎており、数字だけを見て「なんだか嫌だな〜」なんて落ち込むこともありましたが、私にとっては40代までになかった自分の変化を知ることができて、良くも悪くもとっても刺激的な10年間でした。

ほんとうに、なってみないとわからないと実感していますし、これから迎える60代ってどんな変化があるのかな? 知っておきたいとも思います。なので自分よりもちょっと年上の友人と過ごす時間は興味深いものです。今回は50代の「あるある」を知っていただき共感や参考にしていただけたら嬉しいです。

(1) 健康が第一だと実感

閉経があり、ホルモンバランスもよくないからだと思いますが、無理が効かなくなりました。特に寝不足は何よりの大敵。質のいい睡眠をとると翌日は頭も体もスッキリします。

一日の始まりは“朝”といいますが、じつは“就寝”がスタート。いかにちゃんと寝るかで起きている時間の質が決まるからです。たとえ「やらなくちゃいけないこと」だとしても寝る間を惜しんでするようなことはしません。

(2) 時間は限られていることを思い知る

私の人生観が変わったのは、父が79歳で亡くなったとき。父は60歳で定年直後にC型肝炎が見つかり治療が始まりました。その後、肝がんに移行して10年間闘病しました。やっと労働から解放されたと思ったら、病気と共存する生活に。最期を看取ったのは私ですが、病院のベッドで眠る父を見て「人生は思ったほど長くはない」と痛感しました。
女性の健康寿命は75歳と言われており、私の場合、あと15年です。それって赤ちゃんが中学を卒業するまでと同じ時間。そう考えると、あっという間です。

恐怖心を煽るわけでも、悲観的でもなくて、自分を優先してやりたいことをやっていかないと、先延ばしできるほど若くはないということです。今日が一番若い日です。どんどんチャレンジしていきたいですね。

(3) 他人と比べることが減った

「隣の芝生は青い」という言葉をご存じの方も多いと思います。隣人が新車を購入したら、わが家も…なんてことはありませんか。人と自分を比べて嫉妬したり、羨ましく思ったり。目に見えるものに価値を置いていた若い頃は、歩く煩悩のようでした。

それが、どういうわけか、人のことが気にならなくなってきました。歳をとると物欲がなくなるといわれますが、そのおかげかもしれません。子離れし、自分の時間を好きに使えるようになると、他人を否定できなくなります。つまり、「私も好きにするからあなたもお好きにどうぞ」という姿勢になると他人を認めるようになるからです。そうすると、どうしても自分に合わない人間関係を手放せるようになっていきます。人間関係が整理されるのも50代です。

(4) 好奇心が再びわいてくる

多くの人が「〜あるべき」に囚われて、無難に生きようとします。昨日と同じ今日を生きることが安心安全だからです。その心のブレーキを外してあげて、子どもの心に戻れるのが50代です。田んぼや野原を駆けまわって、屈託なく遊んでいた頃はどの子もクリエイティブでした。もうそろそろ、「誰かのため」を手放して本来の自分に戻っていいのです。

あの頃は溢れんばかりにあった好奇心の芽をもう一度膨らませてみる。子どもの頃、やらされていた勉強にはさっぱり関心がなかったのに、大人になってから興味を持ったことに対しては意欲的なものです。

いつまでも若々しくイキイキしている人と、どんどん老けていく人の差は、好奇心があるかどうかだと思います。そもそも知りたいと思うだけで胸が躍る。もっと知りたいと思えば、読んだり、調べたり、行動したりと活動の幅も広がります。すると、脳が活性化されお肌にもいい影響を与えるでしょう。
そういった意味で50代は老けていく人と若返る人の分かれ道でもあります。

(5) 親のありがたみがわかる

私が、今こうして発信したりビジネスしたりできるのは、“毒親”のおかげです。かなりのモンスターっぷりでしたので、つらさや憎しみなど、様々な負の感情を抱えて50年きました。でも、その経験が人生において「大切にするものは何なのか」「守るべきものは何か」をはっきりさせてくれました。人に期待せず、主体的な生き方ができたのも、親を半面教師にしてきたからです。

もし、自分にとって理想の親だったら、幸せを感じる時間は長かったかもしれませんが、今の私はなかったでしょう。そう考えると、毒親に育てられたのには意味があったと言えます。しかも二人とも天に召されてからは、嫌なことは笑い話のネタになって、わだかまりもなくなりました。過去の嫌な事実は変わりませんが捉え方が変わったのも50代です。つらい経験を前向きに乗り越えれば、人は成長できます。

(6) 急な痛みがやってくる

まさに、50代後半は急な痛みがやってきます。床に落ちたペンを拾おうとして人生最大のギックリ腰に。歩くのもままならないのに、手を貸してくれる人もおらず。情けない姿にちょっぴり弱気になりました。その2か月後にピラティストレーナーと出会い、鍛えることに。おかげで体幹は鍛えられたのですが…。

ある日突然、左肩が痛くなり、日常生活に支障がおきるほどに。半年間鍼とマッサージに通うが治らず。それがある日、嘘のように消えてしまいました。あれは一体なんだったのだろうかと思うほど。
そうしているうち、今度は右ひざが痛くて階段の上り下りがつらい。何をしたわけでもないのに、原因不明の痛みがやってくるのも50代になってからです。体の痛みに関してはトレーナーに相談して対処しています。自分の体のことを相談できる相手が必要になってくる年頃です。

すべては自分次第

結局、50代を楽しく生きるか、つまらなくするかは自分次第じゃないでしょうか。年を重ねるほどに子どもの教育費の負担が増えるし、親の介護問題も出てきます。これからの時代は定年後のキャリアも決めなくてはいけませんし、それなりの蓄えも必要になっています。
物理的な問題を抱えることになりますが、内面が整えられていないと、前向きに乗り越えていけないと感じます。内面と向き合う作業を50代までに終えて、理想的な60代を過ごしたいと思っています。