お金をかけなくとも工夫次第で、心豊かな暮らしをしている人は多くいます。「北欧にあるデンマークには“そこまでお金を使わずに楽しむことが上手”な人がたくさんいます。この考え方を取り入れられたら、普段抱えるストレスが少しは減るかもしれません」。そう教えてくれたのは、デンマーク出身の夫と日本でふたり暮らしているインスタグラマーの「saki+jens」さんこと、スヴェンスマーク 紗希さん。デンマーク流の豊かに暮らす知恵を教えてもらいました。

築35年の賃貸マンションで手に入れた、自分らしい暮らし

「じつはインスタグラムにインテリアの写真を定期的に上げることにしたのは、もともと家事をこまめにするのが苦手で、定期的に部屋の写真をアップするという縛りを設けて、掃除や片づけに向き合おうと思ったのがきっかけなんです」というスヴェンスマーク 紗希さん。家の中にあるものの量も多いほうだそう。

【写真】DIYしたキッチン

そんな紗希さんの夫はデンマーク人。デンマークから学んだ暮らしのヒントも多いと言います。

デンマークの人たちから学んだお金をかけない工夫

「デンマークでは社会保障や福祉が充実しているぶん税金が高く人件費も高いため、外食をしようとするとパスタとワイン1杯で8000円くらいになることも。そのため外食を頻繁にする習慣がない人が多いんです。その代わり、家族や友人を招いて自宅でごはんをつくって一緒に楽しんだりして、家での時間を大事にします。家時間が必然的に長くなるからこそ、家時間を充実させるための工夫が随所に散りばめられているんです」

 

節約というと、いろいろなものをできる限りきり詰めて我慢するというイメージがありますが、デンマークでは適度に節約しながらも楽しいおうち時間を過ごすのが一般的です。そんなデンマークの暮らしに影響を受けたという紗希さんの自宅の工夫を紹介します。

心地よくする部分と、そうでなくてもよい部分をつくる

家時間を充実させようと思ったとき、掃除をして、いらないものを捨て、ついでにスッキリしたインテリアに整えて…とあれもこれもと考えて、結局どこから手をつければいいのかわからなくなってしまいがちです。

「わが家の場合、リビングや洗面所の壁にアートを飾るなど、ソファから見える範囲や自分がより多くの時間を過ごすエリアから優先的に整えるようにしています。

また、掃除機や家電類はなるべく隠すようにしています。デンマークではプラスチックケースなどの安価で大量生産のものの種類があまり豊富でないためか、人々のおうちでもあまり見かけません。わが家ではプラスチックでできた収納用品などは便利なのでもちろん利用していますが、そのまま部屋に置くと生活感が出てしまうので、デンマークの人々のおうちに置いてなさそうなものは目に見える範囲に置かないよう、隠す収納を取り入れています」

 

家全体をグレードアップさせようと思うと金銭的にも労力も大変ですが、緩急をつけることでそれらを最小限におさえることができそうです。

手軽に気分を変えるアイテムを取り入れる

「デンマークでは日照時間の短い冬季になると、長い夜を楽しむためにキャンドルをよく利用します。人工的な明るい電灯を好まない人も多いため、リビングだけでも場所を変えていくつも置いてあるのが一般的です。わが家でも、気持ちをきり替えたいときはキャンドルの火を利用します」

 

日本ではキャンドルというと少し特別感があるものですが、デンマークでは光を補助するものとして日常の生活のなかに取り入れられているそう。日本でも、物価の値上がりが続くなどなにかとお金まわりは不安がつきものですが、うまく工夫しながら暮らしを楽しんでいきたいですね。