オリンピックを控えたパリ。紙は廃止、交通規制、通れなくなる道や公園などができているようです。「1月末からフランスとスイスに行ってきました。フランスは6か月ぶりだったのにもかかわらず、オリンピックを控えて、ずいぶん変わっていました」と話すのは、フランス文化研究者のペレ信子さん。久しぶりにフランス旅行に行こうという人が参考になる、今のパリの情報を教えてくれました。

長距離電車に乗るときは急な変更に気をつけて!

スイスからフランスへ鉄道で戻ろうとしたときのこと。電車の乗り継ぎ時間など事前にインターネットでしっかり確認し、切符も買って早い時間に駅に着き、駅前カフェでのんびりと時間をつぶしました。

【写真】フランスの駅

11時01分発の電車に乗るために10時45分に駅に戻り、何気なく電光掲示板を見たところ、乗るはずの11時01分の電車はなんとキャンセル。その下に小さく「この電車に乗る予定だった人は3番線の10時52分発の電車に乗ること」とフランス語で書いてありました(キャンセルになった電車より早い出発!)。

そこから重いスーツケースを持ち上げて走り、なんとか3番線ホームへ。電車には間に合いましたが、その電車がどこ行きで何時に着くのか全くわからない状態。幸い、ヨーロッパ用のSIMカードを携帯に入れていたので乗車してから検索し、乗ろうと思っていたのが急行で今乗っているのが各駅停車だと分かりました。

その電車が乗り継ぎ駅に到着するのは、次に乗り継ぐ電車が出発した10分後と知って愕然。どうしようと思っていたところ、なんと各駅停車は乗り継ぎ駅に時刻表より5分早く到着。そして乗り継ぎ電車はこのような事がよくあるのか、まだ駅で待っていました。到着すると同じ状況の人々が一斉に乗り継ぎの電車に走り出しました。

 

それでも自分の目の前で乗り継ぎ電車のドアを押さえてくれた女性がいなければ乗車できなかったくらいのタイミング。冬なのに汗が吹き出しました。

インターネットの情報にしがみついていてはわからない

インターネットでどんなに調べても実際に起こっていることは違う、というのは全てのことが計画通りきっちりと動いている日本のような国からするとちょっとしたショックです。周りの人に聞いたり助け合ったりすることが必要なのがヨーロッパだと、久しぶりに実感しました。

 

フランス国内の電車に乗るときも、始発駅からどの電車が何番線ホームから出るのか、出発時間前10分きってからわかるときもあります。みんな早めに来てじーっと電光掲示板を見つめ、ホームの番号が出るなりガラガラとスーツケースを引っぱって早足になります。

大きな駅はホームに行くまでに自動改札があってチケットのQRコードをかざさないと通れないのです。それに戸惑っていると後ろから怒号が飛びます(冷や汗)。

 

自分の席のある車両まで行く時間がなければとにかく乗車してしまって中で移動、と思ったりしますがTGV(高速鉄道)は途中の駅で切り離されて別々の方向に行くときもあるのでいちばん後ろに乗って電車の中でいちばん前の車両まで歩く、ということが不可能な場合もあります。とにかく急ぐしかない! のです。

 

メトロの切符もレシートもエコのために廃止

昨年の夏にパリに来たときは、まだカルネという10枚綴りのメトロの紙の切符が売られていましたし使われていました。パリのメトロの切符は駅から出るとき回収されないので以前は思い出に取っていたという方もいると思います。

この紙の切符の販売が終わりました。今はNavigoという交通系ICカードを買う必要があります。カルネは10枚つづりなので昔買ってまだ数枚残っている方はそろそろ使用も終了しそうですのでお早めにお使いください。

日本も同様ですが、コロナをきっかけにして非接触決済が広がったフランス。タッチ決済は便利で今回もほとんどタッチ決済していましたが、「レシートいりますか?」と聞いてくれるところもあれば、言わなければレシートが出ないときもあります。

あるとき、画面に値段が出ないままタッチを促されてタッチしてしまい、その後レシートを出してと言ったら断られたことがありました。

あとでインターネットの明細を確認してホッと胸をなでおろすことになりましたが、フランスでタッチ決済の場合は値段を確認するかレシート(フランス語ではTicket「チケ」)をもらうよう気をつけてください。

この紙の切符やレシート廃止はエコロジーを考えての措置だそうです。

 

「フランス人は英語を話さない」も昔の話に

カフェで財布に残った小銭を集めて支払ったときにお店の若い女性が驚き、すぐには小銭を見分けて数えられなかったのを見て、キャッシュレスの時代が来たなあと実感。

ちなみに「フランス人は英語を話してくれない」は、パリでは昔話になりました。