昨今、話題のひとり旅。でも、未経験の人にとっては、なかなか一歩を踏み出せないもの。海外にもひとり旅をするという60代ブロガーの中道あんさんに、ひとりで旅する魅力を教えてもらいました。

ひとり旅が人生を豊かにする7つの理由

ひとり旅が好きというと、「友達がいないの?」とか「さみしくないの?」など、ネガティブなイメージをもつ人もいますが、心配はご無用! ひとり旅ほど楽しいものはないと思っています。もちろん、親しい仲間と一緒に過ごす旅は、おばちゃんが女子高生に戻ったかのようなはしゃぎっぷりで年齢を忘れさせてくれるほどイキイキとします。それは旅しながら「だれかとの一緒にすごす時間」を楽しむもの。ひとり旅とは違ったおもしろさです。

ひとり旅は、自分の中にいるもうひとりの自分との対話を楽しむものと言ってもいいでしょう。なぜなら、自分が自分を連れていく旅。思い立ったらすぐに行動できるのが利点ですから。もし、だれかと一緒ならスケジュールの調整や計画をすり合わせる必要があります。が、ひとり旅は自分会議でサクッとすませられる忙しい現代人には理にかなった趣味だと思います。

そこで、まだひとり旅をしたことのない人に向けて、ひとり旅のメリット7つと、おすすめの始め方3つをご紹介します。

(1)自分のペースで旅を進められる

どこに行くかも、なにを食べるかも、いつ食べるかも自由に決めていいのです。途中で気が変わったら予定を変更したっていいし、疲れたらホテルくつろいでもいい。自分のペースでホテルで読書三昧やテレワークも可能。気兼ねなく自分の気持ちを優先できるのがひとり旅の醍醐味です。

(2)人に合わせなくてもいい

いくら親しい関係でも、相手に気を使うものです。ホテルを選ぶのだって、相談して決めなくてはいけないし、遠慮してつい「なんでもいい」と相手に合わせてばかりいたら、気疲れしてしまうことも。

案外、自分に合わせることは普段の生活はなかなか叶わないので、自分との対話が存分できるのがひとり旅です。

(3)「自分でできた!」という自信になる

ひとり旅って「怖くないの?」とよく聞かれます。たしかに、国内ですら初めてというだけでトンネルの中にいるような気分になることもあるでしょう。でも、それを、乗り越えるから「やった!」「案ずるより産むが易し」となって自信がつくのです。

私はかつては地図が読めない女でした。でも、Googleマップを何度も使っているうちに道に迷う確率がグンと下がりました。頼りになる相手がいないことは自分を成長させます。

(4)自分だけの宝物が増える

だれかと思い出を共有することはすばらしい。けれど、自分だけの思い出は宝物のように愛おしくないでしょうか。歳をとればとるほど、未来より過去のボリュームは大きくなっていく。

その過去に自分しか知らないすてきな出来事をたくさんもてれば、またがんばろう! と思えてくるんじゃないでしょうか。

(5)自由に予算を決められる

金銭感覚は人によって違います。寝るだけだから、ホテルに費用をかけたくない。布団じゃなくてベッドがいい。豪華な食事より地元B級グルメを食べ歩きたい。これらは一緒に行く相手と折り合いをつけていかないと価値観のズレが生じてしまいます。その点ひとり旅は、予算を自由に決めていいので、そのあたりのストレスは発生しません。

(6)自分を好きになれる

かなり仲のよい友達でも、ずっと一緒にいると態度や言動にイラッとしたりモヤモヤしたりすることも出てくるのではないでしょうか。だれかと一緒に旅するというのは、相手のことを好きになるか嫌いになるか、ひとつの賭けのようなところがあります。そういう意味で、ひとり旅ではすべて向き合うのは自分なので、嫌いになることはないと思います。

(7)知らない人とも話せるようになる

ひとりで観光していたら分からないこともそのままになりがち。そんなとき、話しかけるのも自分自身。観光ボランティアガイドさんなら、知識量も豊富ですごく説明も上手です。ちょっと質問したら、たくさんのことを教えていただけます。

旅先の出会いは一期一会のもの。だからこそ、気持ちよい会話を続けようという気になります。道をたずねたり、ご当地グルメを教えてもらったりするうち、知らない人に声をかけて話したりできる人になっていました。

ひとり旅のメリットはまだまだありますが、とくに私がよかったと思う7つのことを紹介しました。

ひとり旅のハードルを下げる、おすすめ旅3つ

とはいえ、ひとり旅、どこから始めたらいいの? という人もいるでしょう。いきなり、海外にひとり旅というのもおっかないものです。まずは以下の3つのような旅から始めてみるのはいかがでしょうか?

●近場温泉旅行に日帰り旅

じつは、私もここからスタートしました。温泉地の旅館などでは日帰りサービスをしているところは増えつつあります。宿泊客がチェックアウトが完了する11時からチャックインが忙しくなる15時までの間。温泉とおいしいお料理を堪能して、残った時間はのんびり…。宿泊するよりもリーズナブルなので、おすすめです。

●推しのライブを見に地方旅

アイドルグループや観劇など、自分が応援する推しが出ているライブや劇場を泊りがけで観にいくのもいいでしょう。それこそ、現地で推し仲間との新しい出会いが生まれるかもしれません。

私の友人は韓国アイドルを推しており、ランチに誘っても「推し活で忙しい」と言ってつき合ってくれません(笑)。同じ趣味の友だちの存在は人生に豊かさをもたらすのではないでしょうか。

●おひとり様ツアーに参加してみる

自分で計画を立てるのが苦手だったり、やっぱりひとりは不安という人も多いでしょう。そこで、旅行会社が主宰するおひとり様向けのツアーがおすすめです。じつは、私は運転免許がなくて、行きたくても行けない場所が結構あります。そんな人でも集合場所にさえ間違わずにいけば、目的地まで送り届けてくれます。添乗員さんもいますし、参加者全員がひとりなので、孤独感を感じることもないでしょう。

今年行ってきたパリひとり旅では、現地バスツアーにひとり参加しましたが、座席も2シートをひとりで座れるのでストレスがありませんでした。

このように、コロナ禍を経て、「ひとり時間」をすごす機会が増えた思います。なんとなく友人を誘いづらい、でも自由に行動したい人は、「ひとり旅」を始めるチャンスです。ひとり旅でうんと自分と向き合ってみませんか?