【U-17日本代表 採点・寸評|セネガル戦】サッカーIQの高さを示した10番。MOMは2得点の高岡ではなく...
[U-17W杯 GS第3節]日本 2−0 セネガル/11月17日/Si Jalak Harupat Stadium
U-17日本代表は現地11月17日、インドネシアで開催されているU-17ワールドカップのグループステージ(GS)第3節でセネガルと対戦。前半はスコアレス、後半に途中出場の高岡伶颯が2ゴールを挙げ、2−0で勝利した。
【動画】高岡伶颯、ヘッドで先制弾&猛プレスで追加点!
本稿では、現地の取材記者によるチームや選手、監督の採点・寸評をお届けする。
【日本代表・総評】
採点「6.5」
引き分け以上でGS突破が決められる日本の狙いは明確だった。圧倒的なフィジカルとパワーを誇るアフリカ王者に対し、「このゲームは下手に前に出ると、一発でやられる」と言い切った森山佳郎監督は、スローペースのゲームを選択した。
ただ、それは消極的に試合を進めるというわけではない。無闇に飛び込んで相手にカウンターを狙われる展開を避けるためであり、0−0の時間帯を長くするための策だった。
攻め残りをする相手の両サイドハーフと1トップの対応に苦慮し、最終ラインを強引に破られる場面はあった。ミドルレンジから強烈なシュートを浴びたシーンも一度や二度ではない。そのたびにCBの土屋櫂大、本多康太郎らが身体を張る。それでも弾けなければ、守護神の後藤亘が好セーブを見せ、相手に得点を許さなかった。
前半はなかなか決定機を作れなかったが、本当の勝負は相手の運動量が落ちてきた後半。55分に山本丈偉と高岡伶颯を送り込み、攻撃のギアを入れ直す。
この策がハマり、井上愛簾が背後に抜け出し、そのルーズボールを高岡が拾ってゴール前に迫るシーンが増えた。62分には柴田翔太郎が右サイドを駆け上がり、ゴール前にクロスを入れる。狡猾な動きでDFの間に潜り込んだ高岡がフリーでヘディングシュートを放ち、ゴールネットを揺らした。
その後も上手く守りつつ、隙を見てロングカウンターを発動。72分には高岡が高い位置からプレスを掛けると、GKからボールをかっさらってゴールに結び付けた。
このまま逃げ切った日本が2−0で勝利。我慢しながらゲームをしっかりコントロールし、ノックアウトステージに挑む権利を手にした。
【個人採点・寸評】
GK
1 後藤亘 7 MAN OF THE MATCH
安定感のあるプレーは今日も健在。とりわけ素晴らしかったのが、ミドルシュートへの対応。パワフルな一撃を独特の間合いで打ってきた相手に対し、重心をしっかり残してギリギリのところで外に弾き出す。MOMに値する素晴らしい活躍だった。
DF
3 小杉啓太 6
豊富な運動量でピッチを所狭しと駆け回る。1、2戦目は左サイドでプレーした相手のエースが右サイドに回ってきたことでマッチアップし、粘り強いマークで封じ込めた。
DF
4 土屋櫂大 6
ビルドアップのミスは気になったが、肝心の守備面で仕事を果たす。大柄な相手のセンターフォワードに対し、本多と連係しながら対応。チャレンジ&カバーを徹底し、圧倒的な個に対してグループで守り切った。
DF
5 本多康太郎 6
相手にボックスの角を取られ、エリア内に侵入を許したが、要所を締めて無失点に抑える。球際で真っ向勝負を挑み、弾き飛ばされる場面もあったが、身体の強さを示してCBの責務を果たした。
DF
17 柴田翔太郎 6.5
衰え知らずの運動量で何度もサイドをアップダウンした。懸命に食らい付いて相手のサイドアタッカーを潰し、攻撃では果敢にトライして深い位置に入り込む。先制点を生んだ高精度のクロスは見事だった。
MF
7 中島洋太朗 6.5(78分OUT)
ゲームメイクを託され、長短織り交ぜたパスで攻撃を司る。運ぶプレーも目を惹き、序盤に見せた4人抜きのドリブルでゴール前に進入。広島で活躍した父・浩司氏が見守るなか、ハイパフォーマンスで勝利に貢献した。
MF
8 矢田龍之介 6(55分OUT)
今大会初スタメンとは思えない落ち着きで、テンポ良くボールを散らす。技術的なミスはほぼなく、攻守の繋ぎ役を担った。球際の強度も高く、セカンドボールに対する出足の鋭さも申し分なし。
MF
10 佐藤龍之介 7
サイドから中に入り、ハーフスペースを活用しながらチャンスに関与。右サイドから縦突破を選択する場面もあり、幅広いプレーで日本の攻撃を牽引し、サッカーIQの高さを示した。
MF
13 吉永夢希 6(90+1分OUT)
1on1で果敢に挑み、スピードでセネガルDFと互角以上の勝負を展開。状況に応じたプレーも光り、後半はリスク管理を徹底し、守備に比重を置いたポジショニングで勝利に貢献した。
FW
15 徳田誉 5(55分OUT)
クサビを受ける動きは良かったが、肝心のトラップが不安定。ボールが収まらず、中途半端なボールロストからカウンターをくらう場面も。シュートの回数も少なく、ストライカーとしての出来も今ひとつだった。
FW
16 井上愛簾 6(78分OUT)
フリーランで相手を引っ張り、中盤にスペースを生み出す。収まりも悪くなく、身体の強さとスピードを活かして局面を打開。守備でもハードワークを怠らず、ファーストDFとしての役割を全うした。
交代出場
MF
6 山本丈偉 6(55分IN)
競り合いにも逃げずに立ち向かい、泥臭いプレーでチームを助ける。技術の高さも随所に見せ、素早く味方をサポートし、正確なパスで攻撃の出発点を担う。
FW
11 高岡伶颯 7(55分IN)
3戦連発弾、さらにもう1得点。大柄なDFを手玉に取り、狡猾な動きからクロスに合わせて先制点を奪う。献身的な守備も光り、相手GKへのプレスからボールを奪って2点目もゲット。
DF
2 松本遥翔 採点なし(78分IN)
2−0でリードした状況で投入され、本職ではない右サイドハーフでプレー。タフに守り、ゲームをクローズさせる任務を遂行した。
FW
9 道脇豊 採点なし(78分IN)
セネガルの運動量が落ちた時間帯に投入され、相手DFが嫌がるランニングで最終ラインを押し下げた。
MF
20 川村楽人 採点なし(90+1分IN)
ボールを懸命に収めるなど、確実に時計の針を進めるプレーで貢献した。
監督
森山佳郎 7
狙い通りの試合運び。過去2試合の反省を踏まえ、序盤から焦らずにゲームをコントロール。相手の運動量が落ちた後半に勝負をかけ、グループステージ突破を決める勝点3をゲットした。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。
U-17日本代表は現地11月17日、インドネシアで開催されているU-17ワールドカップのグループステージ(GS)第3節でセネガルと対戦。前半はスコアレス、後半に途中出場の高岡伶颯が2ゴールを挙げ、2−0で勝利した。
【動画】高岡伶颯、ヘッドで先制弾&猛プレスで追加点!
本稿では、現地の取材記者によるチームや選手、監督の採点・寸評をお届けする。
【日本代表・総評】
採点「6.5」
ただ、それは消極的に試合を進めるというわけではない。無闇に飛び込んで相手にカウンターを狙われる展開を避けるためであり、0−0の時間帯を長くするための策だった。
攻め残りをする相手の両サイドハーフと1トップの対応に苦慮し、最終ラインを強引に破られる場面はあった。ミドルレンジから強烈なシュートを浴びたシーンも一度や二度ではない。そのたびにCBの土屋櫂大、本多康太郎らが身体を張る。それでも弾けなければ、守護神の後藤亘が好セーブを見せ、相手に得点を許さなかった。
前半はなかなか決定機を作れなかったが、本当の勝負は相手の運動量が落ちてきた後半。55分に山本丈偉と高岡伶颯を送り込み、攻撃のギアを入れ直す。
この策がハマり、井上愛簾が背後に抜け出し、そのルーズボールを高岡が拾ってゴール前に迫るシーンが増えた。62分には柴田翔太郎が右サイドを駆け上がり、ゴール前にクロスを入れる。狡猾な動きでDFの間に潜り込んだ高岡がフリーでヘディングシュートを放ち、ゴールネットを揺らした。
その後も上手く守りつつ、隙を見てロングカウンターを発動。72分には高岡が高い位置からプレスを掛けると、GKからボールをかっさらってゴールに結び付けた。
このまま逃げ切った日本が2−0で勝利。我慢しながらゲームをしっかりコントロールし、ノックアウトステージに挑む権利を手にした。
【個人採点・寸評】
GK
1 後藤亘 7 MAN OF THE MATCH
安定感のあるプレーは今日も健在。とりわけ素晴らしかったのが、ミドルシュートへの対応。パワフルな一撃を独特の間合いで打ってきた相手に対し、重心をしっかり残してギリギリのところで外に弾き出す。MOMに値する素晴らしい活躍だった。
DF
3 小杉啓太 6
豊富な運動量でピッチを所狭しと駆け回る。1、2戦目は左サイドでプレーした相手のエースが右サイドに回ってきたことでマッチアップし、粘り強いマークで封じ込めた。
DF
4 土屋櫂大 6
ビルドアップのミスは気になったが、肝心の守備面で仕事を果たす。大柄な相手のセンターフォワードに対し、本多と連係しながら対応。チャレンジ&カバーを徹底し、圧倒的な個に対してグループで守り切った。
DF
5 本多康太郎 6
相手にボックスの角を取られ、エリア内に侵入を許したが、要所を締めて無失点に抑える。球際で真っ向勝負を挑み、弾き飛ばされる場面もあったが、身体の強さを示してCBの責務を果たした。
DF
17 柴田翔太郎 6.5
衰え知らずの運動量で何度もサイドをアップダウンした。懸命に食らい付いて相手のサイドアタッカーを潰し、攻撃では果敢にトライして深い位置に入り込む。先制点を生んだ高精度のクロスは見事だった。
MF
7 中島洋太朗 6.5(78分OUT)
ゲームメイクを託され、長短織り交ぜたパスで攻撃を司る。運ぶプレーも目を惹き、序盤に見せた4人抜きのドリブルでゴール前に進入。広島で活躍した父・浩司氏が見守るなか、ハイパフォーマンスで勝利に貢献した。
MF
8 矢田龍之介 6(55分OUT)
今大会初スタメンとは思えない落ち着きで、テンポ良くボールを散らす。技術的なミスはほぼなく、攻守の繋ぎ役を担った。球際の強度も高く、セカンドボールに対する出足の鋭さも申し分なし。
MF
10 佐藤龍之介 7
サイドから中に入り、ハーフスペースを活用しながらチャンスに関与。右サイドから縦突破を選択する場面もあり、幅広いプレーで日本の攻撃を牽引し、サッカーIQの高さを示した。
MF
13 吉永夢希 6(90+1分OUT)
1on1で果敢に挑み、スピードでセネガルDFと互角以上の勝負を展開。状況に応じたプレーも光り、後半はリスク管理を徹底し、守備に比重を置いたポジショニングで勝利に貢献した。
FW
15 徳田誉 5(55分OUT)
クサビを受ける動きは良かったが、肝心のトラップが不安定。ボールが収まらず、中途半端なボールロストからカウンターをくらう場面も。シュートの回数も少なく、ストライカーとしての出来も今ひとつだった。
FW
16 井上愛簾 6(78分OUT)
フリーランで相手を引っ張り、中盤にスペースを生み出す。収まりも悪くなく、身体の強さとスピードを活かして局面を打開。守備でもハードワークを怠らず、ファーストDFとしての役割を全うした。
交代出場
MF
6 山本丈偉 6(55分IN)
競り合いにも逃げずに立ち向かい、泥臭いプレーでチームを助ける。技術の高さも随所に見せ、素早く味方をサポートし、正確なパスで攻撃の出発点を担う。
FW
11 高岡伶颯 7(55分IN)
3戦連発弾、さらにもう1得点。大柄なDFを手玉に取り、狡猾な動きからクロスに合わせて先制点を奪う。献身的な守備も光り、相手GKへのプレスからボールを奪って2点目もゲット。
DF
2 松本遥翔 採点なし(78分IN)
2−0でリードした状況で投入され、本職ではない右サイドハーフでプレー。タフに守り、ゲームをクローズさせる任務を遂行した。
FW
9 道脇豊 採点なし(78分IN)
セネガルの運動量が落ちた時間帯に投入され、相手DFが嫌がるランニングで最終ラインを押し下げた。
MF
20 川村楽人 採点なし(90+1分IN)
ボールを懸命に収めるなど、確実に時計の針を進めるプレーで貢献した。
監督
森山佳郎 7
狙い通りの試合運び。過去2試合の反省を踏まえ、序盤から焦らずにゲームをコントロール。相手の運動量が落ちた後半に勝負をかけ、グループステージ突破を決める勝点3をゲットした。
取材・文●松尾祐希(フリーライター)
※MAN OF THE MATCH=取材記者が選定するこの試合の最優秀選手。
※採点は10点満点で「6」を及第点とし、「0.5」刻みで評価。
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし。