総合映像機器メーカーのBlackmagic Designが、ネイティブ解像度6048×4032ピクセルの大型フルフレームセンサーを搭載した映画撮影用カメラ「Blackmagic Cinema Camera 6K」を2023年9月5日に発表しました。巨大なセンサー全域を使ったオープンゲート撮影で、映画館の大きなスクリーンにも耐えられるほど美しい映像を撮れるというBlackmagic Cinema Camera 6Kを借りることができたので、実際にさまざまなムービーを撮影してみました。。

Blackmagic Cinema Camera | Blackmagic Design

https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/blackmagiccinemacamera

Blackmagic Cinema Camera 6Kの外観については、以下の記事でチェックしています。

Lマウント対応で6K映像を撮影できるシネマカメラ「Blackmagic Cinema Camera 6K」フォトレビュー - GIGAZINE



Blackmagic Cinema Camera 6KはLマウントレンズ対応。今回はPanasonicの24-105mm/f2.8と24-70mm/f2.8を使って撮影してみました。



また、保存メディアはUSB-Cポートに接続した外付けSSDにしました。Blackmagic Cinema Camera 6Kの対応メディアは、CFExpressカード(タイプB)かUSB-C接続の外付けストレージのみです。外付けストレージの場合、exFAT(Windows・Mac)またはHFS+(Mac)にフォーマット可能。使う前は、あらかじめPCでストレージをフォーマットしておくとスムーズです。



Blackmagic Cinema Camera 6Kでは、高ビット深度のBlackmagic RAWとH.264プロキシを同時に収録可能。対数カラースペースで撮影するLog撮影でダイナミックレンジを保存するので、動画編集ソフトなどで色編集を行う必要があります。今回はBlackmagic Designが提供している動画編集ソフト・DaVinci Resolve 18を使って、LUTによるカラーグレーディングを行いました。



以下のムービーを見ると、Log撮影した映像素材とカラーグレーディングを行った後の映像に差があることがよくわかります。なお、今回レビューで撮影した映像はほぼ全て6K解像度・24fpsで撮影していますが、YouTubeの仕様上、4K解像度の映像になっています。

Log撮影した映像素材とDaVinci Resolveで色編集した映像を並べてみた - YouTube

Blackmagic Cinema Camera 6Kは8種類の解像度で映像を撮影可能。LCDモニターに表示されるUIをタップするだけで簡単に解像度を変更できます。業務用シネマカメラというと取り扱いが難しそうなイメージがありますが、UIが非常にシンプルでわかりやすいので、初心者でも簡単に操作できるのがBlackmagic Cinema Camera 6Kの強み。



8種類の解像度で撮るとどんな感じになるのか、同じ場所から同じ構図と同じレンズで撮影した以下のムービーを見ると、アスペクト比やクロップ具合がよくわかります。センサー全域で撮影する6K Open Gateが最も広く大きく撮影できています。

【Blackmagic Cinema Camera 6K】8種類の解像度で撮影して映像を比較するとこんな感じ - YouTube

ペンギンが水槽を泳ぐところを撮影してみました。揺れる水面に反射する光と影の明暗差、光に照らされたペンギンの輪郭をしっかりと捉えています。大型センサーによって水面の微小な波が塗り絵状態にならず詳細に描写されています。

ペンギンが泳ぐ水面に反射する光と影をBlackmagic Cinema Camera 6Kで撮影してみた - YouTube

同様に、噴水を撮影してみたところ。

Blackmagic Cinema Camera 6Kで噴水を撮影してみた - YouTube

動物園の象を撮影したムービー。長い鼻で巻き上げる土ぼこりや皮膚に刻まれた細かいシワ、細い体毛が生えている様子が確認できます。

Blackmagic Cinema Camera 6Kで象を撮影、土ぼこりや細かいシワに注目 - YouTube

暗いところにいたシロフクロウを撮影したムービーがこれ。Blackmagic Cinema Camera 6Kはイメージ内のグレインまたはノイズを最小限にするよう最適化されている一方、センサーのダイナミックレンジは完全に維持されるとのこと。要するに、暗い場所で撮影しても黒つぶれが発生しにくいというわけです。

暗いところでうとうとしていたシロフクロウをBlackmagic Cinema Camera 6Kで撮影 - YouTube

近年はスマートフォンでもデジタルフィルムカメラに引けを取らないレベルの映像が撮影可能となっています。しかし、スマートフォンで夜景などを撮影すると「暗い部分が真っ黒に塗りつぶされる」という状況が発生しがち。その点、Blackmagic Cinema Camera 6Kは大型センサーを搭載したことでダイナミックレンジが非常に広く、夜景を撮影すると「黒が映える」ような映像を撮ることができます。以下は実際に夜景を撮影したところで、前半がLog撮影素材、後半が色編集した映像になっています。

Blackmagic Cinema Camera 6Kで夜景を撮影してみると明らかに黒の質が違う - YouTube

実際にBlackmagic Cinema Camera 6Kを使ってみて思ったのは、本格的なシネマカメラでありながら、操作が非常にシンプルでとにかく使いやすいというところ。5インチLCDディスプレイは大きくタッチ操作がしやすく、UIもシンプルなので初めて使う場合でもすぐに操作に慣れます。

撮影した映像をPCで色編集作業しながら見ていると、「確かにスマートフォンで撮った映像とは違う」というのがわかります。スマートフォンで撮影した映像だとぼやけてしまったりつぶれてしまったりするようなディテールがはっきりと映像に捉えられていて、細かい部分まで情報量がしっかりしているように感じました。もちろんスマートフォンで撮影した映像も十分キレイなのですが、「大画面に写して視聴する」ということを念頭に置いた場合、やはりBlackmagic Cinema Camera 6Kで撮影した映像の方に軍配が上がる印象。また、スマートフォンと異なり、レンズを変えれば撮影できる映像も大きく変わるので、より表現力が高くなるといえます。

ただし、バッテリーは実動時間で1時間もたなかった印象。業務用のシネマカメラということで、実際に使う場合は電源か替えのバッテリーを複数用意しておく必要があります。また、バッテリーとレンズを入れれば重さは2kgを超えることもあるということで、しっかりしたカメラリグやスタビライザーを使うのがおすすめです。

Blackmagic Cinema Camera 6K本体の希望小売価格は税込39万9800円。映画やドラマなど、自分なりの映像作品を本格的に制作したい人におすすめできます。