SBIグローバルアセットマネジメントは10月26日、2024年3月期第2四半期決算を発表した。(写真は、決算発表のオンライン画面のキャプチャ)

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 SBIグローバルアセットマネジメント <4765> は10月26日、2024年3月期第2四半期決算を発表した。連結売上高は49億89百万円で前年同月比22.3%増、経常利益は13億63百万円で同10.5%増と、12期連続の増収、14期連続の増益を達成した。売上は7期連続、経常利益は12期連続で過去最高を更新した。当日、決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「4−9月期は世界株価が期の半ばに上昇したものの期末には期初の水準に下落し、債券価格は右肩下がりに下落を続けるなど、運用環境としては2022年の株安・債券安に匹敵するほど非常に厳しい環境だった。しかし、その中にあっても増収増益を確保できるだけの事業ポートフォリオを持っていることが重要で、当期の決算は、そのことを表した決算内容だった」と振り返った。

 主要サービス別の売上高は、アセットマネジメント事業のSBIアセットマネジメントが前年同期比41.2%増と全体をけん引。また、ファイナンシャル・サービス事業のメディア・ソリューションが同24.3%増と健闘した。朝倉氏は、「3月にモーニングスターブランドを返還したことによって投信関連データ提供を主力とするファイナンシャル・サービス事業が厳しくなるのではないかと懸念されていましたが、決算の数値に出ている通り、ブランド返還の影響はほとんどなかった。むしろ、コロナ禍で開催が見送られていた資産運用セミナーが新NISAのスタートを前に、コロナ禍前以上に開催要請が高まっており、今期の業績拡大に寄与している」と語っていた。

 アセットマネジメント事業の成長の軸は、SBIアセットが提供する低コストのインデックスファンドに対する継続的な資金流入にある。今第2四半期は株式市場も債券市場も運用環境としては厳しい6カ月間だったが、その間もSBIアセットのインデックスファンドには月次の資金流入が継続した。むしろ、7月以降は月間の資金流入額が400億円を超え、2022年1月から21カ月間の平均348億円を上回る資金流入額になった。この資金流入を支えているのが、ネット証券会社を通じた投信の積み立て購入の拡大がある。SBI証券を通じた同社インデックスファンドの受益者数は9月末時点で183.6万人と前年9月末比30.5%増、また、積立口座数は129.8万口座と同27.4%増になった。朝倉氏は、「SBI証券は9月末から株式の売買手数料を無料にする『ゼロ革命』をスタートし、口座数が大きく伸びていると聞いている。さらに、来年1月に始まる新NISAの関係で資産運用への関心が高い。まだまだSBI証券を通じた投信の積立は拡大すると期待される」と、投信積立を通じたインデックスファンドへの資金流入は続くと見通していた。

 SBIアセットでは、9月にインド株のSENSEX指数に連動する「SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド」を新規設定したが、10月20日には国内初のグローバルサウス地域の株式(中国とロシアを除く)を投資対象とした「EXE−iグローバルサウス株式ファンド」を新規設定した。信託報酬率を0.582%(税込み)と既存の新興国株式ファンドが1.5%を超えることと比較して非常に低く抑えた。また、11月28日には国内債券ファンドで業界最低コストの0.099%(税込み)で「SBI日本国債(分配)ファンド(年4回決算型)」の新規設定を予定している。朝倉氏は「インデックスファンドは、ポートフォリオ運用のツールの一つとして空いている資産クラスを埋めるピースを提供することが重要。『グローバルサウス』や『円債』などは、いずれもSBIアセットのラインナップになかった資産クラスだ。今後も欠けているピースを埋めるようファンドラインナップを拡充したい」と語っていた。

 また、今後の商品戦略として「低コストのアクティブファンドシリーズ」の設定を検討しているとした。11月に設定する「SBI日本国債(分配)ファンド(年4回決算型)」はカテゴリー平均の信託報酬率が年0.410%のところ、年0.099%というずば抜けた低コストで提供するアクティブファンドだが、「現在、アクティブファンド全体の信託報酬率の平均は年1.51%という水準にある。これを大幅に下回るアクティブファンドをシリーズとして投入し業界に一石を投じたい」(朝倉氏)とした。

 一方、ファイナンシャル・サービス事業は、「新NISA」が成長のドライバーとして期待される。同社が提供している投信販売機関向けのタブレットアプリ「Wealth Advisor」は9月末時点で522社、11万5943台が利用される大きな投資情報プラットフォームになっているが、このアプリに対して、販売金融機関のゴールベースアプローチのサポートを強化するために顧客残高情報連携(CRM連携)が進展してきたという。現在までにCRM連携を実現しているのはメガバンクなど8社だが、地方銀行をはじめ11社が導入を検討中だという。さらに、新NISAで「成長投資枠」対象ファンドから対面販売金融機関の主力商品にもなっている毎月分配型が除外されたことによって、ファンドラインナップの見直しを進める販売会社が多く、ラインナップ分析やモニタリングなどファンド評価会社としての事業にも引き合いが来ている他、新NISAをテーマにしたセミナーの開催も全国から要請が多く、これらがファイナンシャル・サービス事業の業績を押し上げる要因になっていると語った。(写真は、決算発表のオンライン画面のキャプチャ)