©︎IMAGO/Jan Huebner

 再びボルシア・ドルトムントではここのところ、キャプテンに関する議論が再燃し始めている。マルコ・ロイスが自ら辞任したことにより、今シーズンからはエムレ・ジャンがキャプテンマークをつけてプレーしているのだが、しかしながらチームと同様にジャンもまた昨季後半戦の勢いをみせられず、先日のヴォルフスブルク戦ではサリフ・エズカンの先発の座を譲ってベンチスタート。その結果で最終的にドルトムントは無失点で1−0と接戦をものにし、決勝点を決めたのが元主将マルコ・ロイスだったのである。

 木曜日に行われた記者会見にて、テルジッチ監督は「別にジャンへの罰ではなく、エズカンにチャンスを与えたのだよ」と説明。つまり過密日程の中でジャンに休養を与えつつ、練習で好パフォーマンスをみせていたエズカンに相応の報いを与えたということだ。とはいえ今回はそれで説明がついても、引き続きジャンの調子が上がることがなければ、いくら指揮官が沈静化を測ってもさしたる効果はないだろう。それはジャンのみならず、チーム全体に言えることだ。

 ただ今回のヴォルフスブルク戦に関していえば、ドルトムントはこれまでみせていた荒れた、オープンな展開から「フライブルク戦での後半に続き、ヴォルフスブルク戦でも忍耐と覚悟が見てとれた。取り組んでいることに良い反応が見られているし、これが続けたばまた熱いサッカーをみせられるだろう」と期待感を示した。「特にロイスが今、まさにそれをみせてくれている。非常に状態がよく、途中出場と練習での印象で先発の座を掴み取り、このチャンスをものしたんだ。まさにこれこそ模範的な道。日々こうやって限界まで自分を追い込むことで上達していくものだよ」

ホッフェンハイム戦でのジャン先発復帰の可能性は?

 特にヴォルフスブルク戦でテルジッチ監督は、ヌメチャとのダブルボランチとしてサリフ・エズカンを起用したことからも、今回の試合で再びジャンを起用する可能性はある。このシステムではリエルソンが高い位置に構えたため攻撃では3バックに変化する形となっており、その結果で支配率とパス成功率が上がり、ロイスのゴールに繋がった。対人戦勝率60%も有利に働いたといえるだろう。相手をゴールから遠ざけ、自らを相手陣内に近づけつつ安定化をはかり、あとは個人の力で得点を決める。その思惑通りのプレーだった。まだそのオフェンスに華麗さまでは見られないとはいえ、長時間に渡って優勢に試合を進めていたことに変わりはない。ケールSDもこれには目を細め、「正しい一歩」と手応えを強調する。

 なお今回のホッフェンハイム戦に向けては、勝ち点差1ということから順位表を上げるチャンスでもある。「それはヴォルフスブルク戦でもフライブルク戦でも一緒だったさ」とテルジッチ監督。「厳しい戦いになるだろうし、それに向けた準備をしている」と述べているように、特に今季のホッフェンハイムは若きストライカー、マキシミリアン・バイアーの活躍などで、セカンドボールから一気に危険な場面を作るなど好調だ。「彼がこのまま順調に成長してくれるといいね」とドイツの若手FWについて願ったテルジッチ監督だが、ただこの試合での活躍は願い下げだろう。ちなみにこの試合では長期離脱中のモリーとムニエに加え、マルセル・サビっツァも負傷により欠場を余儀なくされる。

ホッフェンハイムの先発予想:Baumann - Kabak, Brooks, Vogt - Kaderabek, Grillitsch, Skov - Prömel, Kramaric - Weghorst, Beier

ドルトムントの先発予想:Kobel - Ryerson, Süle, Hummels, Bensebaini - Can, Özcan - Malen, Reus, Brandt - Haller