元神戸監督リージョはペップをたしなめた...試合中の指示は有効なのか「ベンチで叫ぶのは自分の仕事不足の証明」
かつてヴィッセル神戸を率い、世界最高の監督と言えるジョゼップ・グアルディオラが師事するほどの名将ファン・マヌエル・リージョは核心を込めて語っていた。
「だから、ベンチで叫んだりするのは、自分の仕事が足りていなかったことの証明に過ぎない」
多くの監督は試合中、ベンチから立ち上がり、タッチラインを踏み超えるような勢いで、ピッチに向かって声を枯らすのは、基本的に選手に対する指示なのかもしれない。コーチングエリアも存在しているわけだから、然るべき行為とも言える。きっと、必要に感じられる場面もあるはずだ。
しかし、その効果は乏しいという。
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プレー中の選手が、監督の指示をどこまで受け取れるのか? プレー経験のある人間なら、だいたいの予想は付くだろう。ハーフタイムならまだしも、試合中の指示などほとんど役に立たない。
監督がストレス発散に喚き叫ぶ。うまくいかないプレーに怒りを表す。その程度が関の山だ。
リージョは、師弟関係を結ぶペップをたしなめたこともあるという。グアルディオラはベンチで激高する姿が多く見られる。多くの監督は分かっていても、我慢できないようで...。
しかし、多くの指導者に師事されるリージョは、送り出した11人を、トレーニングでやってきた仕事を信じるべきだという。だからこそ、彼は交代さえ積極的にはしない。そのせいで、ヴィッセル監督時代にはメディアから批判的な質問も受けた。
交代は、試合中に監督ができる仕事の一つではあるだろう。選手を交代させることによって、戦局を動かせるかもしれない。あるいは、体力的にフルな状態の選手を投入することで戦況を有利にできることもあるだろう。戦術システムを変化させ、打開策になるかもしれない。
しかしながら、すべては仮定の話である。交代によって、戦況が悪くなる可能性も十分にある。保っていたバランスが崩れ、相手に流れを持っていかれるかもしれないし、マークのずれを生んで失点につながることもあるだろうし、途中出場の選手がブレーキになることもあり得る。
この点、グアルディオラも交代枠をすべて使いたがらない監督として有名だが、交代で戦況が良くなる保証など、どこにもない。それよりもピッチにいる選手の適応力を信じる、あるいはピッチ上の選手を動かす方が効率的な上策なのだ。
試合が始まった時、監督の役目は大方終っている。試合前やハーフタイムの一言は、意外に重要だったりする。しかしプレー中にできることなどたかが知れているのだ。
文●小宮良之
