運動後のクールダウンにおすすめ!静的ストレッチ5選

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ストレッチには大きく2種類があります。運動前に行うことでケガの予防やパフォーマンス向上が期待できる「動的ストレッチ」と、心身のリラックス効果などが期待できるため運動後に向いている「静的ストレッチ」です。

今回は、運動後に効果的な「静的ストレッチ」について、トレーナー・中川翔太さんが解説します。さらに、おすすめの静的ストレッチメニューも動画付きでご紹介します。

トレーナー
中川翔太(なかがわ しょうた)

京都府福知山市出身 

海上自衛隊に6年勤めたのち、トレーナーとして数多くのトップアスリートのフィジカル、ランニングトレーニングを指導。またトレーニング、栄養学、心理学の資格を保有し、パーソナルトレーナーとしては年間2,500セッションを越える一般の方のダイエット、食事管理、姿勢改善、生活習慣のサポートをはじめ、メディアでの発信など幅広く活躍中。

動的ストレッチと静的ストレッチ

動的ストレッチと静的ストレッチは効果が異なるため、その違いを把握したうえで、目的に合わせて使い分けることが大切です。

動的ストレッチ

動的ストレッチは、体を大きく動かし筋肉の伸縮を繰り返すことによって、筋肉の柔軟性と関節の可動性を高めます。

ダイナミックストレッチとバリスティックストレッチに大別され、スポーツのパフォーマンス向上や体温の上昇のほか、交感神経を優位にする効果があります。

静的ストレッチ

静的ストレッチはスタティックストレッチとも言われ、筋肉を伸ばして一定時間保持することで筋肉の緊張を和らげ、柔軟性を高めたり、副交感神経を優位にしたりする効果があります。

各ストレッチの使い分けとタイミング

運動を行う際は、軽いウォーミングアップ(ジョギングなど)の後、動的ストレッチを行うことで筋肉が温まり、運動のパフォーマンス向上が期待できます。

また、動的ストレッチでは関節も動かすため、ケガのリスクをより軽減します。

一方、静的ストレッチは、運動後のクールダウンに取り入れることで回復を早める効果が期待できます。運動後の筋肉は乳酸がたまり、収縮して固くなっているため、老廃物が流れにくい状態です。

静的ストレッチを行うことで、筋肉の緊張が和らいで元の位置に戻り、老廃物が流れやすくなります。

運動時以外に取り入れる場合は、午前中に動的ストレッチを行うと良いでしょう。動的ストレッチを行うことで交感神経が優位になり、目を覚ます効果があります。

また、寝る前に静的ストレッチを行うと副交感神経が優位になり、リラックスすることで睡眠の質を上げる効果が期待できます。

静的ストレッチとは

静的ストレッチは、筋肉を伸ばして一定時間保持するストレッチです。動的ストレッチは筋肉と関節を動かすのに対し、静的ストレッチは筋肉だけを伸ばします。

筋肉の緊張を和らげて老廃物を排出させる効果や、副交感神経が優位になることでリラックス効果が期待できるので、運動後や寝る前に行うのがおすすめです。

なお、運動前に行うと筋肉の柔軟性が必要以上に高まってしまうほか、リラックス効果により緊張感が薄れてしまい、パフォーマンスの低下につながることもあるため、注意しましょう。

静的ストレッチの効果

静的ストレッチの主な効果をまとめると、次のようになります。

筋肉の柔軟性向上、老廃物の排出効果

運動後は筋肉に乳酸がたまり筋肉が固くなってしまうため、筋肉痛やケガをしやすい状態になっています。

静的ストレッチで筋肉の緊張を和らげ、血流を良くすることで、老廃物の排出をスムーズに行えるようになり、筋肉痛やケガを予防します。

リラックス効果

深呼吸しながら行うことで副交感神経が優位になり、リラックス効果を得られます。

自宅や職場でできる簡単な静的ストレッチ

静的ストレッチメニューを5つご紹介します。筋肉を伸ばしている間は、息を止めないように深呼吸しながら行いましょう。

最後に動画も載せているので、ぜひ一緒にやってみましょう。

首のストレッチ

首の筋肉を伸ばすことで首こり、肩こり予防にも効果的です。

顔を右に傾け、頭の左側面に右手を置く 右手で頭を右に傾けるように引っ張る
※このとき左の肩が上がらないように注意 20~30秒かけてじっくりと伸ばす 元に戻り反対側も同様に行う

肩のストレッチ

肩のストレッチを行うことで猫背、肩こり予防の効果が期待できます。

胸の前で左手を右に向かって伸ばす 左手を押さえるように、右腕を90度に曲げる 右手で左手を後ろに引っ張るように押してじっくりと伸ばす
※おへそを前に向けて、体幹はまっすぐに保つ 20~30秒かけてじっくりと伸ばす 元に戻り反対側も同様に行う

胸のストレッチ

胸郭が開くことにより呼吸の改善や猫背、巻き肩予防の効果が期待できます。

両手を後ろで組む 手を下に向けて押し下げながら、両肘をつけるイメージで近づけ、肩を外側に向ける
※胸のストレッチを感じない場合は手を上下に動かし角度をつける 20~30秒かけてじっくりと伸ばす

ハムストリングス・お尻のストレッチ

腰痛予防や下半身のむくみ予防に効果が期待できます。

仰向けになり、左膝を90度に曲げて、右足を天井に向けて上げる 両手で右足の膝の裏を持ち、かかとを体に近づけて伸ばす 20~30秒かけてじっくりと伸ばす 元に戻り反対側も同様に行う

ふくらはぎのストレッチ

第2の心臓とも言われるふくらはぎは、血流が悪い状態では体全体の疲れにもつながります。しっかり伸ばして血行を良くしましょう。

両手をついて、右膝をつき、左足を後ろに伸ばす 左足のかかとを後ろに引いて20~30秒かけてじっくりと伸ばす 元に戻り反対側も同様に行う

静的ストレッチの注意点

静的ストレッチを行う際は、痛くない程度にじっくりと、気持ち良いぐらいに筋肉を伸ばしましょう。筋肉を100%伸ばすのではなく、70~80%ぐらいに伸ばすイメージで行うのがおすすめです。

また、筋肉を長時間伸ばすことで効果が高まるわけではないので、20~30秒を目安に行いましょう。

ご紹介したストレッチを、ぜひ運動後や就寝前に取り入れて、体のケアに役立ててください。

撮影/森カズシゲ