『地球に落ちて来た男』ドラマ版、デヴィッド・ボウイが演じた役をビル・ナイが引き継いだ理由
印象強いキャラクターを新しい俳優が演じることは珍しいことではないが、本日3月17日(金)よりU-NEXTで配信スタート予定の続編ドラマシリーズ版『地球に落ちて来た男』のクリエイターにとっては難しい挑戦だったようだ。
続編として描かれるドラマ版『地球に落ちて来た男』
映画『地球に落ちて来た男』は1976年に公開され、主演を務めたのは世界的ミュージシャンのデヴィッド・ボウイ。ウォルター・テヴィスの同名小説が原作で、不毛の地となり果てた母星に水をもたらす方法を探して地球に来たヒューマノイド・エイリアンが自身の能力を発揮して多くの発明を生み出して大成功を収めるも、思わぬ事態を招いてしまうというストーリーだ。
米Showtimeが手がけたTVシリーズ版は小説・映画の続編という形で、新たな異星人が地球で使命を全うしようと奮闘する姿を描いた。
Finished the series The Man Who Fell to Earth on CraveTV Showtime. It stars Chiwetel Ejiofor as an alien who comes to Earth to save us from an environmental catastrophe. Naomie Harris also stars as a scientist who helps him discover his humanity so to speak. It was pretty good. pic.twitter.com/VjKP2Aup2N
- DissocialSpace (@DissocialSpace) January 22, 2023
ビル・ナイを起用した理由
シリーズの放送開始当初、共同クリエイターのアレックス・カーツマン(『スター・トレック:ディスカバリー』)は米Entertainment Weeklyのインタビューで「デヴィッド・ボウイを抜きにしてこの映画を考えることはできません」と話し、「そして、彼の跡を継ぐということは、非常に手強いことでした。彼が遺したものは今でも愛されており、簡単に手を出せるものではなかったのです」と、この物語におけるボウイの存在の大きさについて言及していた。
ドラマシリーズ版ではキウェテル・イジョフォー(『ドクター・ストレンジ』シリーズ)が新たなエイリアンに扮し、彼と関わる科学者役をナオミ・ハリス(『007』シリーズ)が演じる。新たなキャラクターたちが活躍する新シリーズではあるが、カーツマンとショーランナーのジェニー・ルメット(『クラリス』)は「この物語には(映画でボウイが演じた)トーマス・ニュートンの存在が必要だ」と考えたという。
「私たちは、映画の中で起こったことをもとに、45年後のあのキャラクターにふさわしいのは誰だろうと考えました。そして、自分たちが既存のトーマス・ニュートン、またはボウイを書いているわけではないことに気づいたのです。全く新しいキャラクターを書いているのだと。それが私たちにとって価値あるものになりました」
しかし、その“新しい”キャラクターを演じてもらう役者を探すことは困難なことだったようで、「このキャラクターを復活させるということは、何をやってもデヴィッド・ボウイと比較されることを避けられません。だからこそ、そのパラダイムの中でその人自身が伝説となり、かつデヴィッド・ボウイを真似ない人をキャスティングする必要がありました」とカーツマンはキャスティングの難しさについて説明した。
最終的に、カーツマンは「地球上で最も素晴らしい俳優の一人」と信頼を置くビル・ナイ(『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ、『ラブ・アクチュアリー』)にその役を託すことにした。ボウイと同じくイギリス出身のビルは、ボウイにも会ったことがあるという。
「ビルがボウイのことを少しは知っていて、彼の存在や精神が実際にはどんな風に感じられるのかを理解できていたことは、私にとって大きな安心材料になりました」とカーツマンは明かす。「ビルはボウイのパフォーマンスから何かを感じ取りつつ、自分自身も表現しました。ビルはボウイと彼のパフォーマンスに敬意を表したかったと話しています」
ドラマシリーズ版『地球に落ちて来た男』は、U-NEXTにて3月17日(金)より配信スタート。(海外ドラマNAVI)