2023年3月10日に経営破綻した「シリコンバレー銀行」に対し、アメリカ合衆国財務省・連邦準備制度理事会(FRB)・連邦預金保険公社(FDIC)が共同で預金者保護を目的とした通常の預金保険の上限を撤廃するなどの緊急の安全措置を行うことを発表しました。

Joint Statement by the Department of the Treasury, Federal Reserve, and FDIC | U.S. Department of the Treasury

https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy1337



Federal Reserve Board - Federal Reserve Board announces it will make available additional funding to eligible depository institutions to help assure banks have the ability to meet the needs of all their depositors

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230312a.htm



SVB, Signature Bank Depositors to Get All Their Money as Fed Moves to Stem Crisis - WSJ

https://www.wsj.com/articles/federal-reserve-rolls-out-emergency-measures-to-prevent-banking-crisis-ba4d7f98

Regulators Announce Plan To Ensure SVB Depositors

https://news.crunchbase.com/venture/silicon-valley-bank-treasury-depositors/

2023年3月8日に事業を閉鎖した仮想通貨企業との取引を主軸としていたシルバーゲート銀行に続き、2022年3月10日に、アメリカ銀行大手のシリコンバレー銀行が経営破綻しました。アメリカ合衆国財務省・FRB・FDICは共同で同行の経営破綻をシステミック・リスクと断定し、銀行システムへの信頼を強化するための新たな金融安全措置を執ることで、預金者保護を行うことを発表しました。

FDICで保護される預金保険の上限は1口座当たり最大25万ドル(約3360万円)と規定されていますが、FDICはシリコンバレー銀行の預金について、「顧客は、通常の預金保険の対象外となる預金も含め、2023年3月13日以降も預金を引き出すことができる」と発表しました。この措置についてジャネット・イエレン財務省長官は「シリコンバレー銀行の破綻処理に伴う損失は、顧客が負担することはありません」と述べています。なお、シリコンバレー銀行の株主と一部の無担保債権者は今回の保護の対象外と発表されています。



FRBによると、これらの資金は財務省・FRB・FDICが共同で創設した「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」を通じて利用可能です。BTFPはアメリカ国債や住宅ローン担保証券など質の高い担保を提供する銀行や貯蓄組合、信用組合に最大1年間の融資を行う基金です。

さらにBTFPには通貨安定基金による最大250億ドル(3兆3600億円)の追加資金があると明らかにされました。ただし、FRBは「これらの資金を活用する事態があるとは予想しているわけではありません」と強調。加えて、イエレン財務省長官は「私たちは二度とこのような措置を執るつもりはありません。しかし私たちは預金者保護を最優先にしており、預金者のニーズを満たすことに細心の注意を払っています」と述べていました。

ところが、2023年3月12日には、仮想通貨関連企業との取引を行っていた「シグネチャー銀行」の事業停止が発表されました。これに伴って財務省・FRB・FDICは「シリコンバレー銀行と同様のシステミック・リスク・エグゼンプション」を発動することを発表し、シグネチャー銀行の預金者も上限なく自身の預金を引き出し可能であることを明らかにしています。