撮影/たむらとも

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2月19日(日)に開催される格闘技イベント「BreakingDown7」に出場する啓之輔。かつて不良が集結した地下格闘技大会「THE OUTSIDER」に2008年の旗揚げ大会から参戦。数々の名勝負を見せ、“ミスター・アウトサイダー”とも呼ばれた。今回、試合を目前に控えた啓之輔に直撃インタビュー。不良がなり上がれるイベントして比較されることも多い「BreakingDown」と「THE OUTSIDER」の違い、平成の不良と令和の不良の違い、そして試合への意気込みを聞いた。

【写真】目の前に立つとやはり緊張感が…啓之輔の撮り下ろしカット【7点】

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まず「BreakingDown」と「THE OUTSIDER」の違いについて水を向けると啓之輔は静かに語り始めた。

「そもそもBreakingDownって不良の大会なんですかね? 自分から言わせると、BreakingDownに出ている選手って不良という枠組みで見たら本物じゃないですよ。大体、本当に悪いことしていたらSNSに書き込みなんてできないはずだし(笑)。実際、ネットでは俺に向かってキャンキャン吠えているような奴が、会場で会うと目を逸らして下を向いたりしているんです。あるいは考え方を変えると、SNSやYouTubeでフォロワーを必死で増やそうとするのが令和時代のリアルな不良像なのかもしれないですね。個人的には、なんかピンと来ないんですけど……」

現在、啓之輔は39歳になる。世代間ギャップや不良カルチャーの変容ぶりに驚くのも当然なのかもしれない。かつては栃木の暴走族で総長を務めた名うての不良少年も、時代の変化を淡々と受け入れているようだ。

「自分はTHE OUTSIDERのいいところも悪いところも全部知っています。特に初期は控室や客席でも当たり前にケンカが始まるような緊張感があったし、それで盛り上がっていた部分は確実にあると思うんですよ。その危険な雰囲気はBreakingDownには一切ない。でも、だからこそ運営できるという面もあるんじゃないですか。BreakingDownは中学生や、下手したら小学生も観ているわけですし」

啓之輔が指摘するように、乱闘騒動が頻出するTHE OUTSIDERは会場が借りられなくなるという問題が常につきまとっていた。コンプライアンスが厳しくなる一方の世の中で、リアルな危険性を興行として成立させるのは容易なことではない。

「BreakingDownに出るようになって、街でちびっ子に声をかけられることが多くなりましたね。『あっ、啓之輔だ!』とか指をさされるから、『せめて“君”くらいつけろよ』って伝えるんですけど(笑)。運営するジムの会員数ですか? う〜ん、BreakingDown効果で少しだけ増えたかな。でもBreakingDownに影響される子って、すぐ辞めちゃうんですよ。『うわ、痛い』とか言いながら。真面目に格闘技でプロを目指している子たちは、地道に練習しながらアマチュア修斗やアマチュアパンクラスで実績を積むから、逆にBreakingDownには出る気がない。とはいえ、観る分には楽しんでいますけどね。俺自身も次大会の瓜田(純士)君とバン仲村戦とかは結果が気になりますし」

そのBreakingDown7は2月19日(日)に開催される。啓之輔の対戦相手はジョリー。元K-1王者・安保瑠輝也のYouTubeメンバーとして知られる24歳である。両者はSNS上で舌戦を繰り広げており、ヒートアップした啓之輔からは「顔面崩壊させてやる」と物騒なKO予告まで飛び出した。

「BreakingDown最強と言われる飯田(将成)選手に勝ったのに、その次がジョリーじゃ役不足だろうと思っていました。でも今は、とっとと叩きのめしてやりたいです。そもそもの発端は、あいつが電話をかけてきたことなんですよ。『MMAルールじゃなくてキックで試合したい』とか言ってたけど、そんなのは俺じゃなくて運営が決めること。ムカつくのは、そのやりとりを勝手にYouTubeにアップしやがったんですよね。これがバラエティ番組のドッキリ企画みたいなことだったら自分も笑って済ませるけど、実際は単なる礼儀知らずのクソガキじゃないですか。きっちり“教育”してやるしかないと思っています」