川野美樹さん(左)と寺内進容疑者

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 逃走していた容疑者が逮捕される前日、Twitter上に「拡散お願いします」という文言とある画像がアップされた。そこには被害女性の顔写真とともにメールの文面をスクリーンショットしたと思われる画像があった。

【写真】抱きつき、顔を近づけ…女性に執拗に迫る寺内容疑者

《〇〇ママ 昨日殺された河野美香さんです。ラウンジで働いていました38歳です。
寺内進は系列のラウンジで働く人で31歳です。ご存じの方はご一報ください》

 被害女性の名前は少し違うし、犯人と名指ししてはいないものの“寺内進”が容疑者ではないかという噂はネット上で瞬く間に拡散。関係者のリークなのか、あるいはデマなのか……マスコミのあいだでもさまざまな憶測が飛び交った。

 事件は16日の午後6時14分ごろ、博多駅の出口、博多口から150メートルほどのところにある朝日新聞社ビル裏側の路上で発生した。

「現場近くにある派遣会社に勤めていた川野美樹さん(38)が駅へと向かう帰宅中に、黒い服を着た30〜50代の男がいきなり刃物で襲いかかり、女性に馬乗り状態になってメッタ刺しにしたのです。男はそのまま逃走、川野さんは病院へ搬送されるも40数分後に死亡が確認。死因は失血だった」(全国紙社会部記者)

ストーカー男の凶行

 当時、逃走中の容疑者は被害者の元交際相手と目されていた。被害女性は、昼は前出の派遣会社、夜は飲食店で働いていて、元交際相手はその飲食店で出会ったという。およそ半年間付き合っていたが、昨年の秋ごろに別れていた。

「男は納得いかなかったのか、被害女性をつけ回したり、職場に押しかけたりと執拗にストーカー行為を繰り返した。それで被害者は警察に相談し、警察からストーカー規制法に基づく“接近禁止命令”が出ていたのです。男が被害女性を刺したのは、警察に通報したことへの逆恨みだと思われる」(同・社会部記者)

 冒頭の書き込みにあった “〇〇ママ”とは福岡県博多区の歓楽街・中州のあるクラブのママの名前だった。被害女性との関係を知るべく、中洲のママを取材すると、

「実はね、うちの系列の店への連絡事項で書いたんだけど結局、送らなかったメールがあって。そのメールの下書きを使ってうちのクラブに勤めるA子がSNSで勝手に拡散しちゃったのよ。

 だからもう、容疑者も被害者もうちの系列で働いていたんじゃないかって、マスコミがどっと押し寄せてきてね。そうじゃないんだけど」

 ママがメールに被害女性の名前を間違って入力したため、拡散された画像もそのままに。だが、容疑者の名前は当たっていた。18日、飲食店従業員の寺内進容疑者(31)が逮捕されたのだ。

 なぜママが犯人の名前を知っていたのかと尋ねると、

「私はある知人から、そう聞いたの」(中洲のママ)

 夜の世界のネットワークでママの耳には届いていたようだ。

 そして、書き込みをしたA子さん本人にも話が聞け、その真意を『週刊女性プライム』だけに打ち明けてくれた。

捕まってほしいという一心で…

「私も長年、中洲でホステスをしとるけど、この中洲で働いとる人同士のあいだで事件が起きて、犯人はあんな残虐な殺し方をして逃げとる。悲しいし、悔しいし、なんとか捕まってほしいという一心で、あんなことをしてしまったとですよ」

 被害女性と容疑者とは顔見知りでもなく、

「2人はほかの系列の別々の店で働いとったと聞いています。ママの名前のところは伏せるはずが、間違えてそのまま出しちゃって……。私のSNSも炎上しました」

 とはいえ、もし“寺内進”が容疑者ではなかったら……。罪なき人に“殺人者”という汚名を着せてしまった可能性もあるのだ。一時の感情に流されたSNSへの書き込みには注意が必要だろう。