俳優の山崎育三郎が主演を務めるテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『リエゾン−こどものこころ診療所−』が20日(毎週金曜23:15〜※一部地域除く)にスタートする。今作は郊外の児童精神科クリニック「さやま・こどもクリニック」を舞台に、自らも発達障害=凸凹(でこぼこ)を抱える院長・佐山卓(山崎)と研修医・遠野志保(松本穂香)のコンビが、発達障害を抱える子どもとその家族に真っすぐに向き合い、寄り添っていく姿を描く医療ヒューマンドラマ。

今回は山崎に佐山という役どころの魅力や、共演する子役たちを見て感じること、ドラマを通して届けたい思いを聞いた。

俳優の山崎育三郎 撮影:泉山美代子

――山崎さん演じる佐山は、発達障害を凸凹と呼び、優しくて穏やかながら芯の強さを感じるようなキャラクターですが、山崎さんが描く佐山の人となりや、魅力に感じる部分を教えてください。

症状や年齢に関係なく、どんな子どもや親御さんが相手でも全く自分がブレないところ、動じない懐の深さが魅力的な人物だと感じています。自らも凸凹を持つ佐山は、幼少期から自分を客観的に見て凸凹への向き合い方を徹底的に学んできました。台詞にもあるのですが「痛みを抱えているからこそ人に寄り添えることだってある」という思いが佐山の根本にあって、自分自身が凸凹を抱える当事者だからこそ痛みを抱える人に対して真っ直ぐに向き合っていけるんだと思います。

――演じるうえで心がけていることは。

凸凹の症状や重度は人によって全く違いますし、バックグラウンドや生きている環境が異なるから、抱える悩みも人それぞれ。そんな中で佐山が何度も口にする「どう向き合い、どう受け入れ、どう寄り添って生きていくか」という信念には毎日が生きやすくなるヒントが隠されていると思うので、佐山の思いを皆さんに届けることを一番大事にしています。



――山崎さんは子どもの頃から芸能活動をされていましたが、今回共演している子役の皆さんをどのようにご覧になっていますか。

本当に才能あふれる優秀な子どもたちばかりで驚きます。普段ははしゃいだり走り回ったりとかわいいのですが、本番が始まると、役としてそこに存在しているというスイッチの入り方や集中力が素晴らしい。僕は小学生の頃、初めは相手役の女の子の目を見られなかったんです。学校で女の子と見つめ合うことなんてなかったから、恥ずかしくてうつむいて台詞を言っていたら「ちゃんと目を見て芝居してよ!」って年下の女の子に怒られました(笑)。今回は、4歳の子もいて皆しっかりとお芝居をしているので、思い返すと僕は本当に何もできない子どもだったなと(笑)。



――ドラマ放送発表時のコメントでは、原作を読まれたときの感想を「今、自分自身が子育てで感じていることや想いが重なる部分が多く涙があふれました」と語ってらっしゃいましたが、改めて原作のどんな部分が心に響きましたか。

子育てをする中で子どものお友達とも交流があり、日々たくさんの子どもたちとふれあう機会があります。凸凹の子どもやその親御さんも身近にいるので、原作を読んだときに「凸凹を抱える子どもたちはこういうふうに考えていたんだ」、「こんな捉え方があるんだ」と、新たな寄り添い方を教えてもらえた気がして、すごく心に響きました。

――凸凹を抱えている方や親御さんはもちろん、子育てをしている方にも優しく寄り添っていくドラマになると思うのですが、今作を通して山崎さんが届けたい思いを教えてください。

ご自身やお子さんが人と違うものを持っていることに悩んでいる方もいると思うのですが、実はそれは一番の武器でもあり、最大の魅力でもある。発想を変えて自信を持てるようになればそれだけで日常が変わる可能性があるし、今作には、今悩んでいることを違う視点で見つめる方法が描かれているんじゃないかと思います。佐山は「これが正解です」とは言いません。だけど佐山のアプローチを見て、「こういう気持ちで向き合ってみたら新しい何かが生まれるかもしれない」と思えたり、選択肢や視野が広がることで救われる瞬間が必ずあるはず。子育てをしている親御さんにはぜひ見ていただきたいドラマです。







■山崎育三郎

1986年生まれ、東京都出身。07年ミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演。以降、11年『モーツァルト!』で第36回菊田一夫演劇賞・演劇賞を受賞。その後『下町ロケット』(TBS)、『あいの結婚相談所』(テレビ朝日)、『エール』(NHK)、『イチケイのカラス』(フジテレビ)などのドラマに出演。21年より『おしゃれクリップ』(日本テレビ)MCを担当。現在、映画『イチケイのカラス』公開中。5月よりミュージカル『ファインディング・ネバーランド』に出演する。